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台湾版『街角的魔族女孩』レビュー

こちらは「まちカドまぞく Advent Calendar 2020」18日目の記事です。とのすく温泉3回目は、個人輸入した台湾版まちカドまぞく『街角的魔族女孩』1〜2巻についてゆるっと書こうと思います。

※最初に宣言しておきますが筆者は中国語/台湾語ほとんどできません

目次
タイトル〜キャラ名
翻訳者泣かせの伊藤いづも節 
おまけ:台湾個人輸入ガイド

タイトル〜キャラ名

まずタイトル。中国語Wikipediaやbilibili配信では『街角魔族』とそのままですが、今回購入した台湾の東立出版社版ではタイトルロゴに合うように『街角的魔族女孩』と7文字になってます。「女孩」は訳すと「女の子」です。英語版の『The Demon Girl Next Door』に近いものを感じますね。

東立版「シャミ子」は発音重視で「沙彌(Shāmí)子」になってます。ピンイン的にはシャ→ミィ↑ズ、って感じですかね?ちなみにWikiやbilibiliでは音を似せつつキレイな字を当てて「夏美(Xiàměi)子」シア↓メイズ、となってます(こっちのほうが好きかも)。「シャドウミストレス」は英字表記です。

どうも中国語圏では漢字1文字で人の呼称にならないのか、桃を呼び捨てするときは自称他称とも頭に「小」がついて「小桃(シャオタオ)」になります。親友の「桃ちゃん」です、と良子に紹介する場面では、愛称なのか「桃桃」呼び。タオタオ呼び可愛い。「小」がついたら「子桃」はどうなるんだ?と思ったらまさかの「小小桃」。向こうの語圏ならではの言葉遊びしてる感じで楽しいですね。

ミカンさんはそのまま「蜜柑」、リリスさんはヘブライ語からの当て字の一派「莉莉絲」、良子は「良子」ですが1文字ルールで「良ちゃん」呼びの時は「小良」になります。

翻訳者泣かせの伊藤いづも節

日本語をフル活用したワードセンスが印象的なまちカドまぞくですが、その辺りの翻訳はどうなってるんでしょうか?印象的なところを拾ってGoogle翻訳につっこんでみましょう。

原作「これで勝ったと思うなよ!」
台湾「妳 別 以為 這樣 就算 贏了!」
G翻「あなたがこのように勝ったとは思わないでください!」

和訳の答案っぽさありますが大体意味は保存されてますね。

原作「小さなにくそにゃー!」
台湾「嬌小 傢伙 哪 根蔥ー!」
G翻「小柄な男、なんてタマネギ!」

「傢伙」は「野郎」、「蔥」はネギですが、オマケでついてくる安い野菜ってことで取るに足らないものの例えらしいです。「小さいだとこの野郎!しょぼネギとは何だ!」くらいが適訳ですかね。もし片手ダンプ直後に渡してた「ねぎとろデニッシュ=香蔥鮪魚丹麥麵包」と掛かってたら、日本語版超えた言葉遊びになってますよこれ。感動しました。

原作「ロイヤルホスポ!スカイラーコ!ズニーデ!バーミャン!」
台湾「熱雅熱!迦州風洋食館!士尼迪!巴米陽中華餐館!」
G翻「暑い!嘉州鳳陽レストラン!ディズニー!バミヤン中華レストラン!」

Google先生には荷が重すぎたので補足。まず元ネタファミレスの現地語は「ロイヤルホスト=樂雅樂」「すかいらーく=加州風洋食館」「デニーズ=丹尼斯」「バーミヤン=巴米揚」です。スカイラーコとバーミャンは漢字を微妙に変えて表現、ロイヤルホスポは「樂雅樂(Lè yǎ lè)→熱雅熱(Rè yǎ rè)」と似た音で表現してます。デニーズは中国大陸でAll Day'sというブランド名らしく馴染みがないのか、ズニーデはおそらく「ディズニー=迪士尼」のもじりになってます。

原作「こげつき魔族な上にゆきだる魔族なんて…あつくてさむい」
台湾「繼 呆帳 魔族 之後、居然 是 滾雪球 魔族… 又燙 又冰」
G翻「悪い借金の悪魔に続いてそれは実際には雪だるまの悪魔です…熱くて氷」

「呆帳」だと不良債権とか悪い借金を指すようです。さすがに日本語の「焦げ付く」のように「焼け焦げる」「貸した金銭が回収不能になる」の二義はなく、コマ外に「※「呆帳」的日文「焦げ付く」也有燒焦的意思」と注釈がありました。

原作「挨拶代わりに数発しばいて様子見よっかなって」
台湾「就要 痛扁個幾下當作打 招呼、再 看看情況」
G翻「挨拶として数回ヒットして、状況を確認する必要があります」

「しばく=痛扁」が殴打するの意味でそのまま使われてますね。第二義は原作通り、次のコマで「吃東西或喝東西 的 關西方言(食べたり飲んだりする事の関西方言)」と紹介されてるので後々のネタは安心して楽しめるようになってます。

原作「オブラートを諦めないで!」
台湾「別 放棄 用 糖衣 包裝 妳的話!」
G翻「あなたの言葉を砂糖コーティングで包むことをあきらめないでください!」

「オブラートに包む」は日本の慣用表現なのか、薬のニュアンスを残しつつオブラート(糯米紙)ではなく糖衣錠みたいに言葉のコーティングを求めてますね。日本語だと「オブラートに包め!」「フォローを諦めないで!」となるところがシャミ語で「オブラートを諦めないで!」になるの、いづも節効いててほんと好きです。

🥐🍑🍊😈🎾📷🍶📦🌸👓🦊🦡🍎🍉📕🐈🐸🐠🐗🍇

台湾版は繁体字で大体漢字のニュアンスを掴めるので、スラングっぽいところ以外は原作を知ってれば字の雰囲気でかなり楽しめます。機械翻訳が難しかったので割愛しましたが、擬音まつりの表現もフォント含めて結構頑張られていて楽しいですよ。(「ぽがー!」とかは日本語ママですが仕方あるまい)

おまけ:台湾個人輸入ガイド

街角的魔族女孩の1〜2巻は去年のクリスマスに買ったのですが、この記事を書くにあたり久々に台湾の通販サイト「博客来」を覗いたら今年6月に3巻が発売されてました。追加購入したので、記事本編で興味持った人向けにスクショで個人輸入のご案内でも。

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まず博客来のサイト(https://www.books.com.tw)に行って、メルアドとパスワードを設定して会員登録します。あとはAmazonみたいに欲しい商品を探してカートに入れればOKです。「放入購物車」、なんとなく分かりますね?

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カート画面で「海外結帳」を押すと海外用の住所打ちフォームが出てきます。

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収件人に名前、電話番号は国番号81に続けて0を外した自分の番号、住所は基本日本の住所の逆順で英字で打ってけば大丈夫です。前回は届きました。

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クレカが選べるので支払いに支障はないのですが、最初は注意書きをGoogle翻訳に突っ込みながら注意深く進めた方がいいと思います。初めての時はあらゆるちっさい字を訳しながら進みました。

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まぞく単体の値段が124台湾ドル=455円、500g以下の送料が260台湾ドル=955円くらいです。2冊買えばおおよそ日本できらら単行本買うのと変わらない値段で個人輸入できます。まあ装丁が本家きららコミック(A5)より一回り小さいB6サイズなのですが…。

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送料の一覧表です。左の数字が荷物のkg(公斥)、日本は2列目の亞州運費です。買えば買うほど1冊あたりは安くなっていきそうですね。ちなみに関東在住の頃に1〜2巻を買った時は、クリスマス商戦のさなかでも注文から丸3日弱で届きました。正直お手軽さに驚きましたね…今回の地方配送が何日で済むか楽しみです。

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最後に余談(宣伝?)ですが、英語版まぞく『The Demon Girl Next Door』1〜2巻がAmazonで来年発売されるようで、現在予約受付中です。ちょっと割高ですがさすがに英語の方が文法分かるので楽しみですね。またレビューでもできればと思います。

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2020.12.18(←台湾時間)とのすく温泉
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