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ベルギー人と結婚して本当によかったと思うこと・後悔していること

一般的に欧米系の男性といえば、背が高くてハンサム、女性に優しくて家族を大切にしてくれる・・・といったイメージがあるのではないだろうか?
私が物心ついた頃、たまたまテレビで北欧人と結婚した日本人女性のドキュメンタリーが流れていた。彼女の旦那さんが「〇〇(日本人女性の名前)はとても素敵で、彼女を心から愛しています」のような内容を、なんの恥ずかしげもなく語っていたことが衝撃的で、彼の優しい笑顔がとても印象に残った。それ以来、私もこんな旦那さんが欲しいと、どこかでずっと思ってきたのかもしれない。

それから十何年後、私はベルギー人と結婚し、現在日本で共に暮らしている。日本人にとってベルギーといえば、「チョコレート」「ワッフル」くらいの存在感だが、九州よりちょっと小さいくらいのその国は、思った以上に複雑である。
まず、「ベルギー語」というものはなく、オランダ語・フランス語・(一部)ドイツ語が公用語で、国の上半分と下半分でオランダ語圏政府(フランダース政府)とフランス語圏政府(ワロン政府)に分かれている。言語が違えば文化や考え方も大きく異なり、私の夫はオランダ語圏側のベルギー人であることを先に伝えておく。また、「ベルギー人」と一言で言っても、実際は多種多様な人々がいるので、これから書く内容はあくまで ”一例” として参考にしていただきたい。

ベルギー人と結婚してよかったこと その1
周りの人と違うことをしたい時、「ベルギーではこうだから」と言えばほぼほぼ納得してもらえる

日本では、周りはこうしてるから自分たちもそれに従わないと・・みたいなルールがたくさん存在する。たとえば結婚式だが、私たちは式は挙げず親しい友人を招いてレストランで結婚を祝った。もしも私の夫が日本人だったら、世間体や両家の親の意見も汲んでちゃんとした式を行わないとー と思ったかもしれない。実際は金銭的な余裕がなかっただけなのだが、「ベルギーでは親しい人だけ招いてレストランとかでお祝いするらしいよ」と親に説明すると、すんなり納得してもらえた。この、「ベルギーでは○○らしい」という説明はとても便利で、無駄な対立や確執を避けられる。

ベルギー人と結婚してよかったこと その2
実家に帰ることを口実に海外旅行ができる

私は二十歳になるまで一度も海外旅行をしたことがなかった。小・中学校時代に同級生で海外旅行していた子がいなかった訳ではないが、国外への旅行はセレブの嗜好だと思っていた。今は格安航空が台頭しており、一般人でも海外へ行くことは金銭的には難しくなくなったが、それでも何か目的を作らないとなかなか他国に行くことはないのではないか。それが、特にクリスマスは家族みんなで集まるから、という理由で簡単にベルギーに行けるようになった。(ただし必要な旅費を用意できコロナ問題がない場合のみ)さらに、ベルギーという国はその立地に恵まれており、週末どっか行こうよ〜というノリでいとも簡単に隣国(オランダ・フランス・ドイツ)に行けてしまうのだ。

ベルギー人と結婚してよかったこと その3
考え方が日本人と似ていて意外と一緒に生活しやすい

海外留学や大学院を通し、世界の様々な地域出身の人たちに会ったが、オランダ語圏に住むベルギー人はかなり日本人的だと思った。たとえば、時間に対する感覚。「じゃあ明日13時に待ち合わせね〜」と言って、きちんと13時±10分くらいに会える。また、きちんと働く人が多い印象を受けた。私の夫も仕事に関して毎日時間通り通勤するし、めったな理由では仕事を休まない。そんなの当たり前じゃない?と思うかもしれないが、日本を出ると、自分を含めた多くの日本人がいかに真面目で勤勉かに気づかされる。
また、本音と建前に近いものも彼らは使う。「今度遊びに行こー」と誘われ、行きたくない場合は「もちろん!」と言うらしい。このような文化背景は日本にも通じるところがあり、一緒に生活しても文化的違いで違和感や不快感を覚えることはほとんどない。

と、ここまでは「よい点」を挙げたが、ものごとには必ず負の側面もある。ここからはベルギー人と結婚して後悔していることを、日常の夫への愚痴を含めて書いていこうと思う。

ベルギー人と結婚して後悔していること その1
良くも悪くも男女平等主義

男女平等という言葉は、日本では達成すべきこととして掲げられているため、いいこと・目指すべきことのように思ってしまう。もちろん女性の社会進出の文脈で言えば、男女平等というのは達成されて欲しいと私も願っている。しかしミクロなレベルで見ると、あながちいいことだけじゃないな、と感じることが多々ある。たとえば、夫とふたりで外食する時(結婚前も含め)ほとんどの場合が割り勘だった。「女性には奢らねば」「女性にお金を払わせるなんて男として恥ずかしい!」といった、男としての義務感や羞恥心は皆目ない。またスーパーへ買い物に行った際、女性の私が重たい荷物を持っているからといって、代わりに持ってくれることもない。この2つの点で言えば、私の知る日本男児がいかに優しいか(というか、私が今までどれだけその恩恵を受けていたか)を痛感してしまう。以前までの私は男女平等の良い側面しか知らなかったが、男性と同等の権利を得るということは、今まで男性が負担していてくれたことを自分で負担する義務が生まれるのだな、としみじみ感じた体験だった。

ベルギー人と結婚して後悔していること その2
言葉にしないと何も伝わらない

ベルギー人に限った話ではないが、欧州・アメリカ大陸出身の人に「察して」もらうことは至難の業である。それらの地域に行くたび、むしろ言葉を介さずとも相手の意図を「察する」ことができる日本人が超人なのではないかと思い始めた。このことは思った以上にストレスが溜まる。今まで体から放つ雰囲気や顔の表情・身振り素振りで相手にメッセージを送っていたものを、いちいち言語化しないといけないのだ。明らかに体調が悪い顔面をつくり、しんどそうなジェスチャーをしても全く気づかれず、「今熱があるからしんどいの。だから家事手伝ってくれない?」まで言わないと何も伝わらない。

ベルギー人と結婚して後悔していること その3
日本にない食にうるさい

お酒好きの人はご存知かもしれないが、ベルギーはビールがとても有名である。私の夫はベルギービールに強い誇りを持っており、ドイツビールは絶対に飲まない。ドイツビール好きのドイツ人と出くわした日には、どっちのビールがおいしいかについてバチバチ議論する。どっちもおいしいじゃダメなのか?まあ日常でドイツ人に出会うことは滅多にないのだが、ビールへの愛はそれだけに留まらず、スーパーやショッピングモールに行くたび必ずお酒コーナーのラインナップを確認する。
夫はチーズに対しても同様の行動を取る。彼曰く、日本のチーズは味がなくチーズではないらしい。だが本物のチーズは日本ではかなり高価だ。「ベルギーにはこれもこれもあるし、価格も半分以下で買えるのにー」と日本のおいしい食を前にして文句を言われるとイライラしてしまう。まあ、私もベルギー滞在中は「しめじがない!白菜がない!」といつも騒いでいたのだが。

最後に

この記事では、ベルギー人と結婚してよかったこと・後悔していることを3つずつ述べた。国際結婚をしてみて1つ思ったことは、平穏だった日常がかなりカオスになり、そのカオスさがまた楽しいということである。今後ベルギー人と結婚したいと思っている人、パートナーは日本人がいいけどベルギー人との結婚ってどんな感じ?!と好奇心旺盛な人の参考になれば何よりである。




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