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飛鳥山
春の眩しい光がどの方向からも差し込んでくる。
飛鳥山の台地は北西から南東に細長い地形で、東側の崖下にはJRの複数の線路が走っている。東京十社の一つで格式の有る王子神社や広重の江戸百にも描かれた王子稲荷神社がある北側の丘とは石神井川(音無川)で分断されているが、谷の地形が不自然であり、山を崩して荒川(隅田川)方面にショートカットさせる人為的な河川改修が行われたという説もあるらしい。
名所だけあって春の飛鳥山は平日でも人が多い。遊具のある園地では定番の遊具の他にもお城を模した建物や都電車両や蒸気機関車の展示物もあり子どもの声が絶えない。桜の他にも多くの植物、6月には紫陽花なども美しいところだ。南側に行くと古墳などもあり、さらに晩年の渋沢栄一の邸宅もあったことから資料館なども作られている。
JR王子駅の南口からは線路の跨線橋を越えて山の中腹からアクセスできるが、北口からは飛鳥山モノレール(あすかパ-クレ-ル、アスカルゴ)が公園入り口から山頂まで2分で結んでいる。2分の間に流れる観光案内の声は北区アンバサダー倍賞千恵子さんである。
もちろん桜は見事なのだが、山頂があまり横に広いエリアではないため歩行者のルートは限られる。いくつか動線はあるのだが、やはりこの季節はどこも人が滞留する。混雑する飛鳥山を少し離れてみた。
古い工場の門が開かれていた。桜の季節だけ開放してるという。レンガ作りの建物の横を通り裏のスペースに出るとそこに一本の大きな桜が見事であった。
(撮影 2021/3)
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