第57回米騒動と◯◯年記念

第57回米騒動と◯◯年記念

1、導入

ツイキャスという音声配信サービースで

「真夜中の補講」

という配信があります。

配信者は東京女子大学准教授の藤野裕子氏。

藤野氏は近代の民衆史が専門で

『都市と暴動の民衆史 東京・1905−1923年』

などの著作が知られています。

先月には

歴史研究会大会の様子を配信する事で、学会というものの敷居を低くするために尽力されている様子で

個人的に非常に注目しています。

2、米騒動の研究

昨日の配信のテーマは米騒動。

確かに学生時代に教科書には載っていたので名前を知ってはいる程度ですが、それでもいくつか気付かされたことがあったので整理してみます。

「米騒動」とは基本的には固有名詞ではなく、

米の価格高騰によって、庶民が入手できなくなり、暴動を起こすこと。

という一般名詞ですが、歴史の教科書でも頻出の

大正7年(1918)に富山県で起きた暴動が規模も大きく、代名詞になっている感があります。

この暴動は全国に広まり、参加者100万人を超えたとも言われています。

第一線の専門家の配信ということで様々な切り口で米騒動に迫っていたのですが

まず興味を引いたのが

現代の富山で米騒動がどのように語られているのか、ということ。

例としてあげられたのが、中学校の運動会で競技種目となっている「米騒動」。

男子が騎馬戦に出るのと対になって、女子が担う種目とのこと。

いくつか動画で確認したという藤野氏の話では、米俵に見立てたモニュメントを奪い合う競技だとか。

そこで藤野氏は現代の研究に照らすと、米騒動のイメージとはかけ離れていると指摘。

従来は

漁村の女性たちが米価の高騰は富山の米を県外に出すからだと考え、米を積み出すことを阻止しようとしたこと

が発端と考えられてましたが

現在では

都市漁民、労働者たちが起こしたもので、ストライキなど労働闘争の発展とも関わる

という考え方になってきたようです。

最新の研究成果が、教科書に反映されるまでには相当時間がかかる、ということもありますが

一度固定化されたイメージを覆すのは大変ですね。

3、記念事業と研究の進展

そして、もう一つ妙に印象に残ったのは

「◯◯年記念」

というテーマ。

例えば、前述の米騒動の発端から今年はちょうど100年に当たります。

明治維新からですと、今年はちょうど150年。

それに合わせてNHK大河ドラマも「西郷どん」をやっていますし、

東北地方では「戊辰戦争150年」ということで、各地で記念したシンポジウムや展示会などが開催されています。

藤野氏は研究の進展にもそれが関係しているとおっしゃっています。

例えば明治維新150周年ということで今年は学術書でも特集が組まれたりと研究が進む、ということがあるでしょう。

逆にいうとそれが過ぎてしまうと、関連書籍の刊行も減り、研究の歩みが緩やかになります。

藤野氏の配信では

米騒動の研究者がもっと増えて欲しい!

という趣旨の話でしたが、

それを受けて、私も専門とする中世の研究が進展するように、

「◯◯年記念」

となるような大事件が
1118年、1218年、1318年、1418年、1518年と

にないか、遡って見ました。

1番インパクトがありそうなのが

西行法師生誕900年

というところでしょうか。

このコラムの連載でいつか取り上げて見たいと思います。

#真夜中のほこう #藤野裕子 #米騒動 #ツイキャス


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やったー!\‪( ˙꒳​˙ \三/ ˙꒳​˙)/‬
中世考古学が専門の行政内研究者。夢は晴耕雨読。歴史文化の価値が高まる社会の実現を目指す。仕事ポートフォリオ:自治体学芸員として【松島町歴史文化基本構想】考古学者として 【2018「中世」『宮城考古学』20】