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サヨナラはいらない、ずっとずっと。「アイカツ!ミュージックフェスタ FINAL」

 アイカツ!シリーズ 10th ANNIVERSARY アイカツ!ミュージックフェスタ FINAL、2日間お疲れさまでした。私も人様からお譲りいただいた応募券で無事チケットを握れたので、おしゃもじ片手に東京に来ました。

 詳細なレポは他の方が上げてくださると思うので、箇条書きで思い出深いポイントをつらつら書いていきます。結論だけ先に言うと、「アイカツ!を終わらせてたまるか」という熱い情熱を歌唱担当さんやフレンズ!とプラネット!のチームから、のみならずセトリやモニター映像からも感じられたことが、この2日間の全てだったと思います。8,000人強の観客と作り手の相思相愛、映画『未来へのSTARWAY』もそうですが、この関係性があるからこそ、『アイカツ!』は素晴らしいと声を大にして言いたい。アイカツ!、大好きだ~~~~~~~🍓🌈👭🪐

プラネット!の涙

 前夜祭の一曲目を飾るのは、「HAPPY∞アイカツ!」。正直に告白すると、この時点で感極まってしまいました。

 『プラネット!』は実に不遇な作品で、コロナ禍によってDCD展開は大きな痛手を受け、STARRY PLANETは思い描いていた活動が出来ないまま、この日を迎えたと思います。全国でライブをやって、子供たちの前でパフォーマンスをして、アイカツ!の原動力である「憧れ」のバトンを渡していく、その役割を中々果たすことができなかった。

 アイドルなのにライブができない。その苦しみは、どれほど大きいものなのでしょう。残念ながら、メンバーも多忙になったり体調を崩されたりと様々な事情があり、今回もフルメンバーは揃いませんでした。その無念を深く抱えているのは、他の誰でもないSTARRY PLANET☆の皆さんに違いありません。DCDの撤退含め、スタプラちゃんのパフォーマンスが見られるのは最後かもしれない……。そんな緊張感が漂う今回のミュージックフェスタFINAL、開演の寸前まで心の中にあるのは不安と恐怖でした。

 そんな要らぬ気遣いを吹き飛ばしてくれた、鮮烈なるオープニングアクト。「行こうハート弾ませ」の歌い出しから一気にプラネット!の世界観に引き込み、観客が歓声で応える。スタプラちゃんにとって「初めての声だしOKライブ」であることの意味が、ここに来て重みを増してきました。ようやく自分のコールで応援できる。実写という新しい試みゆえの手探りさ、コロナで活動が制限された無念、それらを抱えながらうまく行かないことばかりの道を歩き続け、スタプラちゃんたちも“ここまで来られた”。そのことを精一杯祝福したくて、慣れないライブ仕草でおしゃもじ形のペンライトを振りまくる。

 その後彼女たちは、「レディ・レディ・レディ」「Magical Door」「ミライContinue!!」を披露し、二日目のFINAL講演におけるアンコール一曲目は「キラリ☆パーティー♪タイム」が選曲されました。これは出演者全員で歌うもので、アイカツ!シリーズ10年の軌跡の中に『プラネット!』の光が深く深く刻まれていることを示す圧巻のフィナーレ。

 その多幸感に包まれたまま、ご挨拶へ。このパートは演者さん一人一人の想いが凄まじくて書ききれないですが、スタプラちゃんの挨拶は涙なしで見られませんでした。瑞季さんや羽野さんがしっかり笑顔で締める場面も良かったし、璃音ちゃんが堪えきれず涙してしまい、それを支える長尾さんが誰にも泣き顔を見せまいと後ろを向いた姿は格好良かった。

 座長たる伊達花彩さんは天然極まるMCで会場を沸かせその可愛らしさで先輩方にも愛されている様子が微笑ましく、「満足です!」と笑顔で締めた時の彼女は誰よりも凛々しかった。それでも、最後の最後、歴代主人公担当だけのご挨拶でついに決壊してしまわれました。あぁ、肩の荷が降りたのかなとか、緊張していたんだろうなとか、これまでの歩みを思い出したのかなとか、色んなことを考えてしまって、見ているこちらもぐちゃぐちゃに泣いてしまいました。

 『アイカツプラネット!』は理不尽な世界によって損なわれたものが、とても大きかった作品でした。彼女たちの新しい物語が観られるのか、今は何のアナウンスもありません。悔しいという気持ちが消え失せることはないでしょう。それでも、彼女たちはやり遂げた。スタプラちゃんの青春が確かにここにあった、その欠片を東京ガーデンシアターという舞台で見られたこと。これは一生ものだったし、『プラネット!』のことがもっともっと大好きになりました。「ミライContinue!!」の歌詞にもある通りです。“心からありがとう

スターズ!のオタク、成仏す。

 ここでいきなり自分語りなんですけど、アイカツ!のライブ現地が今回が2・3回目でして、曲のコールに関する知識は付け焼き刃の予習で得た知識しかないし、いわゆる「現地で聴けたらいいなリスト」みたいなものを勝手に心の中で作っていたのですが、そのビンゴシートがまさか全部2daysで開くことになるとは思いませんでしたね

 前夜祭では「スタートライン!」「STARDOM!」「Bon Bon Voyage!」とOP/EDを彩った名曲がズラリと並ぶ中で“これ聴けたら墓掘る”と言っていた「裸足のルネサンス ~エルザ & レイ ver.~」におけるりえ様&りさ様の美しさ麗しさに絶句し、続いて「episode Solo(2番からせな/みき追加ver)」が流れ出した時は「死……」とつぶやきました。

 前夜祭最終ブロックでは「The only sun light」⇛「MUSIC of DREAM!!」という最終回みてぇなセトリを喰らい、イントロで歓喜の絶叫を上げてしまう始末。元々、コロナ禍で苦しい時に繰り返し聴いていたMoDを生で聴けば、そりゃあ人は狂います。そして、スターズ!に限った話ではないのですがあまりの強火なセトリに「前夜祭の意味わかっとるんか???」と帰りのモノレールでオタクと話し合いました。

 で、これが全くの杞憂だったんですよね。二日目には「POPCORN DREAMING♪」で濃厚な“ゆめロラ”を耳に突っ込まれて、ボンボヤのバージョン違い(りさ/みほ)を浴び、やたらゴシックな映像と共に現れたのは……れみ/ななせ/大西沙織!!???!??!?!??!?

 そうです、こうやってオンパレード!の曲もやれるところが「10年」なんですよね。今回初の参加となった大西さんを加えた最強の「Dreaming bird」で会場のボルテージは上がりっぱなし。MCを挟んで「Jewel Star Friendship☆」まで回収でき、あとは「We are STARS!!!!!」を頼む……という祈りが……届きました。

「サヨナラはいらない ずっとずっと……」「アイカーツ!!」

「We are STARS!!!!!」

 それはまるで祈りのようでもあり、宣言のようであり。歌唱担当さんと観客の「アイカツ!は永遠」という気持ちが呼応するような歌唱とコールの応酬。すでに三時間近く叫びっぱなしのオタクも、ひたすら休まず叫び続ける。

 ところで、「We are STARS!!!!!」の生歌唱はこれまでも機会の少ないレア曲ということもあり、これは目に焼き付けなければ、と思いつつ、歌唱担当さんよりも中央のモニターに釘付けになってしまう。なんと、(木村隆一監督曰く)佐藤照雄監督による『スターズ!』の編集ムービーが流れており、そのあまりの完成度にただただ落涙を隠せなかったのです。

 ゆめ、ローラ、小春、あこ、真昼たちのフォーカスし、彼女たちの歩みを追っていくその映像は、シーンセレクトからひしひしと愛が伝わってくる仕様になっていて、コールを刻む傍らで目はそちらに釘付け。ムービー自体は1番の歌唱までの長さでそこからはパフォーマンスに集中……できなかったんですよね。

 ムービーの最後に流れたこの一枚絵。自分が新参ということもあり「見たことない版権絵だったなァ」とボンヤリしていたところ、歴戦のオタクから「アレ新規絵では?」ということになり、一夜明けて月曜日、真相が判明しました。新規絵でした。まごうことなき、2023年に描かれた、ライブのための、スターズ!の新規絵。

 そんな、そんな大きすぎるお土産をいただいてもいいのでしょうか……と震えが止まりません。ちなみに、上掲のツイートが投稿された当時は帰りの飛行機に乗るための保安検査を受けた直後でして、飛行機の搭乗口変更のアナウンスを聴きそびれ全く関係ない待合室で過ごす羽目になった、それくらいの驚きを受けました。いや、だって、桜庭が可愛すぎるので……。

 というわけで、スターズ!からアイカツ!入信オタクは怒涛の供給を受け危うく帰宅難民になりかけた、という最高のオチが付きました。どれだけ感謝しても返しきれないくらいの恩義があるのに、またスターズ!から受け取っちゃった……。この二日間で走馬灯に映るであろう景色がめちゃくちゃ増えたので、何も言うことはありません。ありがとうございました……それはそれとしてみつばちのキス(まひロラ)と10th映画待ってるからな!!!!!!!!!!!!!!!

せな・リベンジ

 ところで、今回のミュージックフェスタでどうしても回収したい曲がありました。「正義のキモチ」です。

 というのも、フレンズ!をフィーチャーした23年1月開催の「アイカツ!シリーズ 10th Thanks Party<4th month>」においてせな/松永あかね/木戸衣吹が揃うこともあり最も期待されていた曲。ですが、せなさんが直前に新型コロナに感染したため欠席となり、代わりにななせさんが「小春ちゃん」としてゆめの代打を努めサンメガミになるという、それはそれでアツい展開で会場に絶叫をもたらしました。

 そんな経緯もあり、今回どうしても聴きたい「正式メンバーでの正義のキモチ」に期待がかかっていたのですが、念願叶うのは二日目のこと。「Dreaming bird」を終えてリリィの衣装を着たななせさんがちょっと不思議な曲フリをされたんですよね。で、会場が少し「???」となった空気を感じましたが、先月の4thを踏まえれば「ななせさんが繋ぐ」ことに意味があるのです。そして、照明が差し込みそこに立っていたのは、アイドル楽隊サンメガミ!!!!!!

 ピュアパレットに挟まれ堂々とポーズをキメるせなさんを見て「ウォオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!」と心が沸き立ったことを鮮明に覚えています。

 そして何より、楽しかったですね。こんなにライブ映えすると思わなかったというか、気持ちよくコールを入れさせてくれる間がしっかり入っているし、曲と歌詞のキャッチーさがとにかく最高。会場全体のどよめきと喜びが全てを物語っていて、この曲が終わってほしくないと思うキモチはどんどん増していく。そして何より、元気いっぱいに歌うゆめちゃん/せなさんが見られてよかった。そのために東京に来たまであります。

“強すぎた”ラスボス曲

 「東京ガーデンシアター、壊れるかも」と思った瞬間が、何度もありました。「正義のキモチ」のイントロもそうですし、最後のご挨拶において田所あずささんが「穏やかじゃない」を言った瞬間もそう。アイカツ!は曲数が多い分、次に何が飛び出してくるか予想できないという側面が強く、ライブは常にサプライズを受け続けるような感覚に。

 ただ、最大瞬間風速と、熱気のボルテージの臨界点は間違いなくここでした。「The only sun light」を歌い上げたりささんに寄り添うように現れた二人の人影。すべてを察したころにはすでに遅く、8,000人の観客が一人残らず焼き尽くされました。「Take Me Higher(美月&エルザ&ひびき ver.)」です。

 いや、あの、これ実は「正義のキモチ」と同じ楽曲ブロックの締めに選ばれていて、サンメガミ回収で全部やりきった〜〜〜〜って油断してたんですよ。そこに突っ込まれるわけですよ、歌唱力お化けのトライスターを

 りすこさんの堂々の貫禄は言うに及ばず、二曲続けてなのに全く披露を感じさせない“パーフェクト”なパフォーマンスのりささん、そして今回初参戦の日笠陽子さん。いやもうちょっとここだけ異次元だったんですよね。

 美月・エルザ・ひびきを背負っているであろうお三方が、歌唱ではハーモニーよりも歌唱力と声量で自分が前に前に!とバチバチに闘い合うことを重視した歌い方になっていて、その暴力性すら感じさせるパフォーマンスは受け手としては「解釈一致にも程がある」の一言。会場のペンライトが赤に統一されたこともあり、眺めとしては「大火事」に近いものがありました。

 そして直後のMCでは、この楽曲の披露に向けてお三方がかつて「決起集会」をされたことがある、という裏話に会場は大盛りあがり。それほどの想いが込められた歌唱、いやバトルを見せられて、ちょっと酸欠になりそうなくらい絶叫しました。

アイカツ!は続くよどこまでも

 2days込みで7時間半、40曲近く披露したという「アイカツ!ミュージックフェスタ FINAL」。そんな夢のように楽しい時間も、終わりの時がやってきました。

 最後の挨拶は、これまでの10年を振り返った「私とアイカツ!」になっており、歌唱担当さん・声優さん双方のアイカツが好きという素直な気持ちが、胸を刺します。フアンがアイカツ!によって人生が変わったのと同じように、作品づくりに携わった方々もアイカツ!によって支えられ、今ここに立っている。そのことを思えばこそ、一つ一つの言葉が、涙が、より巨大な意味を持つようになる。

 今回のフェスで最も期待されたであろう「シリーズの今後の展開についての告知」は、なされることはありませんでした。筐体は撤退し、アニメは止まったまま、今回冠された「FINAL」の意味も明言されませんでした。そのことに対し、若干の不安は残ります。ディアステージを去ることを表明している歌唱担当さんも数名いることから、これだけの大掛かりなライブイベントは今回で最後なのでは、という予想もtwitter上で目にしました。

 ただ共通していたのは、「アイカツ!は終わらない」という想いを、全員が抱いているということでした。りすこさんが「いつ美月をやってほしいと言われても最高を出せるように精進していく」と語ってくれたり、るかさんは「これからもよろしくね」という言葉で結んでくれたりと(記憶違いでしたら申し訳ございません)、誰もが「終わり」や「お別れ」を意識したトークをしていませんでした。

 また、「氷の森」を前夜祭で披露を済ませ、FINALでは披露しなかったことにも、意味があるのではと思ってしまいます。湿っぽく終わるのではなく、これからもアイカツ!を続けていこうという想いで帰れるように、「キラリ☆パーティー♪タイム」と「SHINING LINE*」で締める。たとえ作品の供給は止まっても『アイカツ!』が終わったわけじゃない……いや終わらせねぇよ!?という意思を感じました。そのことが、二日間の中で一番嬉しかったかもしれません。

 コロナ禍で奪われたもの。それはDCDを遊ぶ機会であり、『アイカツ!』が商業的に続くかどうかの分水嶺に多大な影響を及ぼしたことでしょう。ゆえに、今回の映画と併せて「撤退戦」のニュアンスを感じ取ってしまい、ライブが始まる前は少し沈んだ気持ちでもありました。

 もちろん、ご挨拶で語られた発言は演者さんのものであり、公式の発言であると担保するものはありません。ですが、8,000人の現地の観客と配信で見守っていた人たち、キャストもスタッフもひっくるめて全員が『アイカツ!』という作品を強く強く愛していて、その想いがたくさんの奇跡を産んだことを思えば、ここで終わっちゃだめだろ!!!!!という気持ちに、どうしてもなってしまいます。

 筐体にお金をつぎ込んだわけでもなく、慌てて公式グッズを少々買った程度の新参の私に、アレコレ口を挟む資格はないはず。それでも、アイカツ!は素晴らしい、アイカツ!が続いてほしい、という気持ちに満ちたあの夜のことは一生忘れないし、何より「楽しい!」「終わってしまうのが寂しい!」という気持ちでいっぱいにしてくれたコンテンツが終わってしまったら、そんなの嫌じゃん!!!???もっともっとアイカツ!していたいし、アイカツ!から受け取ったものを次の世代に渡していくには、彼らのための『アイカツ!』が必要なんだよ。だから、お願いだから、またこの景色が見たい。会場が小さくなっても、全員が揃わないとしても、アイカツ!が過去のものになってほしくない。そんなワガママな願いが叶いますようにと、東京の空に願って、地元に帰りこの文章を書いています。

 アイカツ!に出会えて良かった。アイカツ!が好きだ。そんな想いに包まれながら、自分の履修の集大成としてこの場に立ち会えたことを嬉しく思います。この景色まで連れてきてくれた全ての人、『アイカツ!』シリーズに携わった全ての人に感謝して、これからも自分のSTARWAYを歩いて行こう。

 願わくば、この道の先の未来で、新しいアイカツ!に出会えますように。ありがとうございました。

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