ヘルプ・アクション(コラム)

問題行動という言葉を1度は耳にしたことはあると思います。また、実際にそのように呼ばれる行動を見たこともあると思います。暴言暴力、破壊行動、盗む、嘘をつく、授業を妨害するなど様々です。

私も多くのイラッとさせてくる子たちと出会ってきました。読んで下さっている皆様もそのような経験があると思います。このイラつきは何故生まれるのでしょうか?ある意味、このイラッとする経験が、その子に思いを向けるための第一歩になる大切な感情なのかなと思います。

1.問題の一人歩き
私は問題行動という言葉は使わないようにしています。
あくまで〝行動自体が問題である〟としている事は分かるのですが、問題行動というワードを貼り付けられた子の印象はどうでしょうか?
・万引きをしたA君
・暴力を振るい怪我をさせたB君
・死ねと暴言をはいたC君
このように、問題行動と人がセットにして語られる事がほとんどです。
万引きは悪い事⇒万引きをしたのはA君⇒A君は悪い子
このように結果的にA君が問題児として印象づけられてしまいます。往々にしてあるレッテル貼りです。1番怖いのは、このレッテル貼りを無意識に行い、「問題を起こす貴方が悪い」という評価をしてしまう事です。
問題行動という言葉は、一人歩きして、その子と関わった事のない人まで、問題児という印象を植え付けてしまいます。

2.行動の裏には
では、問題行動と呼ばれる行動にはどのように付き合うべきなのでしょうか。まずは、大人が問題行動と呼ぶのを辞めるべきだと思っています。(個人的な意見です)
その代わりに〈ヘルプ・アクション〉という言葉に置き換えて話を進める事を提案したいです。
ヘルプ・アクションとは、〝助けを必要としている行動〟もしくは〝助けて欲しいというサイン〟というニュアンスを持った造語です。
子ども達が起こす大人にとって煩わしい行動の裏には、助けを必要としている何かが隠れていると思っています。大人にとってもそうです。仕事で失敗してむしゃくしゃしてテーブルをドンっと叩いたり、友達との関係が上手くいかなくて親に当たってしまったり、もしくは自分を責めてしまったり、とよくある話だと思います。子どもも一緒です。何か消化しきれない何かを自分なりに消化しようとしている行動なので、その行動そのものを責めたり正そうと注意をしたりするのは、逆効果です。例えば、貴方が疲れてため息をついたら、「ため息つかないでくれる?こっちまで疲れるから」と言われたら嫌な感じがしませんか?それと同じような感じだと思ってもらえたら理解が進むと思います。罪を憎んで人を憎まず、と同じ意味かも知れません。

3.言葉はあくまで気持ちを包む衣
言葉自体の意味を捉えると関わりは上手くいきません。
その言葉を、どのような場面で、どんな心理状態で言ったかが重要です。また、その人の過去が言葉に乗っている場合もあります。言葉の意味を捉えているだけでは、このような、言葉の裏の本質に気がつきません。
その言葉を誰に向けたのかも重要になってきます。同じ言葉でも、あなたに向けた言葉には特別な思いが乗せられている事もあります。
こんな経験はありませんか?他の人には言わないのに、自分にだけキツい言葉を投げかけてくる。これも貴方に向けたメッセージです。言葉の意味というよりも、貴方に発する事で意味を持つ言葉です。「もっと優しい言い方をして?」と伝えるのももちろん大切です。しかし、あえてキツい言葉を発して気づいてもらおうとする事を理解してあげるのも大切です。そんな言葉を投げかけられたら、優しい言葉で伝えれるようになる、という事は大人の都合であって、二の次です。
私はそんな時「いつもと違って強い言葉使ってるけど何かあった?」と伝えます。「あなたらしくないなー」と伝える事もあります。同時に、一緒に揺れ動いているとその子の伝えたいことが分かってきます。分かってきたら「いつものあなたらしくないないけど、〇〇があったからイライラしちゃったのかな?」と、気づいているよ、というサインを送るのも効果的です。私を見てくれている、という意識を本人に芽生えさせることで、私の視線を気にするようになります。そうなったら、「こそういう時は、こんな方法で私にメッセージを送ってみて」と、代替となる言葉や行動を伝えていきます。このような言葉かけや提案を繰り返していく事で、揺れ動いた時に適切な伝え方がみについていきます。

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