ひとの手
手摘みの距離でずっと一緒にいられたらよかった
ただそこに在るものたちと踊るように遊び回った記憶
手つかずのものたちは変わらずにいた
そのことを忘れて過ぎたわたしの時間
壊す前から分かっていたこと
壊すのは簡単で短すぎた
過ち
止まらなかった
なくしたあとに気づくこと
便利さの後ろめたさ
失った規模の大きさ
わたしもあなたの一部だった
記憶の奥深くに刻まれた祈り
手つかずの存在への祈り
物言わぬものに合わせてきた両の手のひら
感謝から謝罪へ
霧が晴れるように私たちは過ぎ去る
ただそこにあり続けた結果が生み出す世界
私たちには作り出せない
奇跡