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賃金の話。

皆さんがお勤めの会社はどのような賃金制度でしょうか。賃金制度は大きく分けると年功序列型と成果報酬型に分かれます。

私は、年功序列制度は今の社会をとりまく環境に適応できているとは思えません。制度が日本的経営の象徴と海外で紹介されるように、そもそもがグローバルスタンダードからはかけ離れてしまっています。

年功序列制度は終身雇用制度とほぼ一対として考えてもよいと思います。
戦後、日本が経済復興・成長を遂げていく中で、国も企業は優秀な人材が必要でした。そのために終身雇用制度で定年まで雇用を約束し、年功序列制度の名のもとに人材の流出を抑えようとしました。

年功序列制度は、年齢や経験と比例して能力が高くなっていき、企業の成績に寄与するという考え方に基づいていますが、実際にはそう単純ではありません。能力は入社後3~5年ほどはものすごい勢いで伸びますが、5年を過ぎたあたりから収穫逓減の法則よろしく成長角度はゆるやかになってしまいます。

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一方、賃金は一定の角度で伸びていきます。そのため、入社して当分の間は貢献・能力 > 賃金 の状態になっているはずです。つまり労働者は企業に労働力を貸している状態になっています。

そしてその返済を受けるまで、上の図でいうと能力と賃金の交点までは転職をしません。すると賃金水準が下がってしまうからです。

この労働力を貸している側の労働者がなぜか立場が弱いような感じになってしまっているのには情報の非対称性があるのでしょう。

しかし。どこかのタイミングで 賃金 > 貢献・能力 となるときが必ず来ます。これが年功序列制度のキーポイントです。一つの会社で長く勤務をしていればほぼ誰もがそれなりのお金を手にすることができたのです。
ですが、制度の前提条件となっていた事象が変化しました。

まず、経済成長の鈍化です。これにより賃金の上昇の角度は小さくなりました。

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図のように、線が交わらない可能性が高くなっています。

これでは将来に夢も希望もありません。かといって、角度をつけることは難しい経済情勢です。

次に、急速な情報化社会への転換です。

下の二つの図は、それぞれ現在50歳前後の層と30歳くらいの層の能力と賃金のイメージです。

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急激な情報化についていけていない現役ミドル層は相対的に市場価値を下げています。
対して情報化に対応できている若者の市場価値が高くなっています。

ですが、どちらの層も年功序列の賃金制度では、先行きが不透明なことがわかります。若年層は、市場価値が高まっているのは体感できるものの、実際の賃金は低く、将来も期待できないというジレンマに陥ってしまいます。

逆に現役ミドル層は、年功序列の名のもとに、言い方は悪いですが安穏と過ごしていた人も多く見受けられます。そういった層は経済成長の鈍化により当初想定していた退職時の年収までたどりつけない状態です。かといって、一つの会社で同じような業務しかしてきていないばかりに、転職市場でも後れを取ることが多くなってしまっています。

労働者にとって何一つ良いことがない状況です。この状態を解消するにはやはり成果主義しかありません。
成果主義では、能力のカーブに応じた賃金を得ることが理論上は可能となるからです。

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折しも、情報化の波により日本でも急激に広まりを見せたのです。それにより外資系企業や先端企業、IT企業、ベンチャー企業などを中心に成果主義が広まりました。
2017年の人事白書によると、成果主義を導入している企業は74.5%でした。私はこの数字を意外に多いと感じましたが、みなさんはいかがでしょう。

しかし、一口に成果主義といっても簡単ではありません。またの機会には、実際の中小企業の立場に立って、現状に即した具体的な制度について深堀りしてきたいと考えています。


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