三百年の難問!「フェルマーの最終定理」多くの数学者が敗れたのは何故か?ブックレビュー(令和6年2月9日(金)「日高新報」掲載)
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受験シーズンである。そこで今回は数学の問題を提議してみようと思う。
その前に著者のサイモン・シンについて少し略歴を記しておこう。
インド系イギリス人としてイギリスの南西部サマーセット州に生まれた彼はケンブリッジ大学大学院で素粒子物理学を学び博士号を取得する。しかし研究者の道へは進まずイギリスのテレビ局のテレビ局BBCに就職をした。BBCのスタッフとしてドキュメンタリー番組「フェルマーの最終定理ーホライズンシリーズ」を制作し放送することになった。この番組によりドキュメンタリー番組として各種の賞を受賞し、また米国エミー賞にもノミネートされた。そしてこの番組を元にして書かれたのが本書である。
ではその「フェルマーの最終定理」とはいったい何なのか?。以下の数式がそれである。
Xn + Yn = Zn
この数式を解くのに300年も掛ってしまったのである。多くの天才数学者たちが挑みいずれもが失敗していった数式である。
この関数式を書いたのは17世紀のアマチュア数学者ピエール・ド・フェルマーは、本の余白に、こうメモを残した。
~nが3以上の自然数(注:例1,2,3というような普通の数字のこと)を満たす自然数は存在しないという真に驚くべき証明を、私は見つけた。しかし、それを書くには、この余白はあまりにも狭すぎる~
1993年アンドリュー・ワイルズがそれを証明するまでは、である。
プリンストン大学の教授であったアンドリュー・ワイルズは、谷山・志村予想(東大教授)と岩澤理論(プリンストン大学)を駆使して、フェルマーの最終定理を証明したのである。
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