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道具の話*ゆのし器

3月初めから新しい染め柄の糸を試作しています。
その糸で靴下を試し編みしています。
一度編み終えたのですが少々訳アリになりまして、全て解いて最初から…ということになりました。
現在、片足分の編み直しを終えている状態です。
続けてもう反対足分も!といったところですが、ここで一手間掛けたいと思います。

編んで解いた糸というのは、うねうねとした波をうつ形になり、まるでラーメンのちぢれ麺のような状態です。
解く作業を皆さん親しみを込めて「製麺」と呼び、誰しもが何度も経験している作業だと思います。
そしてそこから編み直しをするわけですが、初回の真っ直ぐな糸とは違う使いづらさを感じると思います。

このちぢれ麺状のままで編むと、癖のついた部分の目が大きくなったり締まりすぎたりとボコボコした編み地はなり、上手く編めてない!と不安が膨らみます。
編んだ後に水通しやスチーム、ピン打ちなどをすれば糸も伸びるので、さほど気にならない状態に仕上がるのですが、編んでいる最中が気になって仕方がないのです。
実はこの状況を打開出来る道具があるって、ご存知でしょうか。

クルクル、ウネウネの毛糸

「ゆのし器」です。
湯の蒸気で平たくするという意味ですね。
アイロンを器の上に乗せ、スチームをかけた状態にして使い、糸を伸ばします。
大手企業ブラザー様から販売されたものですが残念ながら昭和のモノでして、現在は製造販売されていない商品です。
昔は着られなくなったセーターなどを解き、新しく編み直していたりと糸も大事に使っていたので、こういった品も需要が多かったのでしょうね。
私は見たことがなかった道具ですが、編み機を調べた際に存在を知りました。
英文パターンが読み解けなかったり靴下のサイズが上手くいかなかったりと、何度も解くようなことが多かったので、数年前にフリマサイトで探し譲っていただきました。

このように穴から入れて、突起に引っ掛けてまた穴から戻します。
スチームをかけると器もかなり熱くなりるので注意が必要。

こんな感じで配置。
ゆのし器から出てくる糸を玉巻器で巻いていきます。

Twitterでは巻いている動画を投稿しました。
ゆっくり巻くので時間は少し掛かります。

巻き終えたらこんなにスルンとした状態に!
糸は解くと、うねうねだけでなくボサボサ感も出てしまいますが、2回くらい玉巻をするとかなり落ち着き、新品に近いくらいに戻っています。

ゆのし器、とっても良い道具です。
編み物好きには、令和になっても必要ですよねこれ。
企業様にはぜひとも再度取り扱い検討してもらいたい逸品です。

使える古道具が好きなので、よくオークションやフリマサイトはマメにチェックしていますが、他のものに比べて出品もそこそこある気がしています。
私のはアイロンタイプですが、鍋型のものや管のみのものだったりと、異なるタイプもあります。
気になるという方はぜひ検索されてみてください。
簡易的でもやってみたいという場合は、蒸気に潜らせればいいので鍋と蓋に菜箸を挟んでおいてその間を通す、という方法でも多少の効果は得られると思います。

古道具は時が経つにつれ手に入り難くなるものだと思うので、どれも大事に使っていますし、手入れもするように心がけています。
そしていつか私も手が動かないような事になれば、譲ってまた他の誰かの役に立って欲しいと思います。

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