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染めて織る*綾織のマフラー

8月の染めは高温作業なので制作は数点のみと限定し、やりたかった事や日頃出来ていない片付けなどを集中して行う時間に当てることにしています。
そんな中、やりたいと思っていた1番の事が手織りでした。
春に卓上手織り機を使い、初めての作品となるコースターを織りました。
初めての作品なので出来栄えについてはご愛嬌ですが、手順自体はもそれほど難しく感じず、それなりの形に出来るもんだなと満足する体験でした。

せっかく道具があるのだからもっと何か織ってみたいとネット検索をしていたら、「綾織」の作品が目に入りました。
「筬(へドル)を2枚にすると綾織が出来る」とあります。
私の織り機で出来たるのは筬1枚で織る平織りだけなのですが、今ついている筬受けを専用の2枚受けられる部品に交換すれば、可能になるそうです。

平織りと綾織の違いは以下です。
【平織(タフタ)】
経糸と緯糸が交互、左右対称模様、頑丈、摩耗に強い、皺が出来易い
【綾 織(ツイル)】
経糸もしくは緯糸を2ー3本飛ばして織る、斜め模様、柔らか、摩耗に弱い、皺になり難い

平織がもっとも基本的な織り方であり、経糸や緯糸の色を変えて織ることで柄もバリエーション豊かに楽しめます。
まだ始めたばかりでそういった工夫なども試してないのに…と、急なステップアップを迷いましたが、やりたいと思うなら今やらないと!と意気込む気持ちが勝ってしまいました。
手持ちの筬も織り機の購入の際についてきた40羽が1つだけだったので、2枚目が必要ならと筬受けと共に購入することにしました。
筬は糸サイズによって変えるものなので、良いチャンスだと思えました。
合わせて書籍も購入。
前回は説明書やいくつかの動画やサイト記事を元に、コースターを織ったのですが、今回は書籍に記載のものを作ってみることにしました。

選んだ本は文化出版局の「たのしい手織り」という書籍です。
今回はこの本の綾織のマフラーAを作っていきます。
手織り書籍をあっただけ全て図書館で借り(近所の書店には1冊も手織り本がなくて悲しかった!)、無いものはネットで出来るだけ作品紹介を確かめてみたのですが、この本が一番かわいくて作ってみたいと思える本でした。
もう一つ、誠文堂新光社の箕輪直子さん著「手織り大全」も購入しました。
手織りのあらゆることが1冊にまとまっている本です。
上級者向けの内容で、私の織り機では出来ない事も多いのですが、手織りの基礎情報として持っておきたいなと思い買いました。

さて。
前置きが長くなりましたが、そろそろ実践していきましょう。

まずは筬受けの交換です。
ドライバーで元々ついていたものを外し、同じ穴へ付け替えるだけ。
つけてあるのが2枚用です。

中央の段に筬を立ててみました。
上、中央、下と、3段階に筬を移動して糸の交差を行えます。
私のは古い機種なので部品の交換をしましたが、商品サイトを見ていると今販売されているものは最初からこれがついているように見えます。

ストックから糸を選んできました。
右側、暖色の段染めは、手染め毛糸を始めた初期の頃に、玉巻で売られているウールを染めたものです。
左側はピエロさんの防縮ウール。
ヴォーグ社の棒針編み通信講座を受けた際に、スカート用で多めに購入していた余りです。
どちらも使い道に悩むままでしたが、活用できて良かったです!

シャトルに糸を巻きました。
ただグルグル巻くだけでなく、厚みが出ないように横側にも8の字に巻いていくそうです。
厚いと張った経糸の隙間を通せないからです。
茶色のは捨て織り用。

次は経糸の準備です。
必要な長さの距離を織り機から測って、家具などを使ってペグ(棒)を固定しました。
糸を織り機に結びな、その立てたペグを通って織り機に戻してまた通す、というのを必要本数になるまで繰り返します。
折り返しを利用することで、2本分が取れるということですね。
経糸の長さが約2.4m必要だったのですが、我が家でその距離をテーブルから測るのはなかなか難しかったです。
張る作業ですから、ある程度動かないで耐えられる家具でないといけませんし、高さも同じようなところに揃えないといけません。
なんとか近くの棚板を利用しましたが、緩みも出来て上手くいった感じではありませんでした。

この経糸を準備するには整経台という専用道具があるのですが、今の新しい手織り機裏には穴があいていて、ペグを数本刺してそこで整経ができるようになっているそうです。
コースターの時は180cmのテーブル内であまり気にせず張れましたが、これについては考えないといけないですね。
私の機種には穴がないので自分であけるか、別な整経台を用意するかになりそうです。

これはダメな状態、結び直しました

苦労したものの、なんとか糸を揃えて端も結びました。
本の指示通りに、糸を筬の穴にそれぞれ通したのでここで撮影。
ところがいざ織ろうとしたら間違っている事に気づき、右側1/3を通し直しです。
考えたら結びも束の量が多すぎて、隙間がどデカく開いてしまっていますから、フロントスティックへの結びも全部やり直し。
あーあ、やっと織れると焦りすぎてしまってますね。

気を取り直して、さぁ織りましょう!
茶色で捨て織りから始め、段染めの糸へチェンジです。
2枚の筬の位置を順番に変えていくことで、右側へ斜めに模様が上がっていくようになりました。
おお〜!ちゃんと綾織になっている!
間違うとこれが斜めに揃わなくなっていきます。
合っているよね、慎重に進めないと。

最初は緊張しながらでしたが、決まった順番で筬の移動をしていくだけなので、ある程度繰り返すと余裕も出てきました。
すると端側で折り返す糸の加減がバラバラなのが、気になってきます。
キツく引っ張りすぎていたり緩んでいたりと、休憩を挟むごとに変わってしまいました。
いやいや、初心者なのだからあまり気を取られずに、まずは完成を目指そう。

編み物でもなんの手作業でもそうですが、加減を見極められて作れるのが、仕上がりの綺麗さの要ですよね。
私はこの加減というのは、経験によって得られるものだと思っています。
人により得られる速度は違いますが、何度も繰り返して無意識で手が動くほどになった時、自分の加減というものが持てると思います。
編み物でも初心者向け作品としてマフラー作品がよく登場するのは、長さで繰り返す回数が多いといった点でも、理にかなっているのではないでしょうか。
繰り返し、繰り返し。
手が作業を覚えたら、自然と揃ってくるはず。

カセの替わりめです。
ランダムな染めなので、色が急激に変わりました。
これはカセが変わる前に、新しい糸と交互に織っていればこんなに目立たずに済んだのかな。
とはいえ、ゴロっと色が変わるのも面白いです。
まだ構成を考えられるほどやり方も分かっていないので、その辺はもっと成長してから趣向を凝らすようにします。

そんなこんな前向きな気持ちで続けていたら、中盤から端も少し整うようになってきました。
やっぱりこまめに休憩を挟むのが、確実によくない気がしました。
後半にかけては、少しまとめて進めるようにしました。

4カセ目の経糸をシャトルに巻き、半分くらい織ったところで経糸の終わりに到着しました。
最初の茶の糸を巻いたシャトルをどこへ片したか見当たらず、赤い経糸の残りで捨て織りをしました。
やっとゴール!
バックスティックにくぐらせている経糸を切りました。

反対のフロント側も結びを解いて、これでマフラーが織り機から外れました。
わー!1枚の布がきちんと出来ている!
織りが終わった時より、この時点の方がさらに感激しました。
織っている時は巻き取りながら進めているし、1部分ずつの織り柄は確認出来るけれど、全体像をしっかり見られるのは外した時だけだからです。

布になったことで完成したような気でしたが、房作りの工程が残っていました。
両側の経糸を同じ長さに切り揃え、房を作っていきます。
この切り揃えるというのが、かなり難しいと思いました。
前髪を自分で切るのと同じ感じで苦手!

4本に撚りをかけて結びます。
全部するのはちょっと大変。
でも、これ思っていたより実物は可愛いのですね、気に入りましたよ。

とういうわけで、完成です。
真夏に織った段染め糸のウールのマフラーです(笑)

巻いてみるとすごくいい感じ。
首でゴワゴワチクチクするかなぁと心配でしたが、大丈夫そうでした。
厚みもほどほどで、しっかり巻ける安心感があります。
手編みのマフラーは柔らかさ重視で編んでいましたが、久しぶりに味わった全く違う感覚です。
織りマフラーって、とても気持ち良かったんだなぁ。

カセの濃淡が少しずつ違うっているので、色の差が分かります。
段染め色が刷毛でサッとはいたように、色づいているのが好きです。

完成サイズは147cm×34cmでした。
書籍よりかなり短く仕上がってしまいました。
糸が違うというのもありますが、私は詰めすぎて織っていたのではないでしょうか。
無心で織り進めてしまい、今何センチなのかを確認するのも忘れていました。
きっと、糸の準備の際に1cmあたりに何本と計算して行うのが本来のやり方なので、何回織ったら何センチというのも分かるんですよね。
全く気にしてなかったなぁ。

前回より大きなものに取り組んだおかげで、考えていくべきところがいろいろと分かりました。
編みもの以外にも手染め糸を活用できるクラフトが出来て、今後が更に楽しみです。
歩みは鈍くても、好きなものを作れたらと思っています。
次回はなんにしようかな。


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