痴情の星

 兄がいるんだけどさ、どうも今ツバメやってるらしいのね。要するにヒモ。これが歳上好きで、しかも気が強くて潔癖症なのが大好物みたいでさ。で、ここからが重要なんだけれど、しばらくすると蒸発する癖があって。そんなだから本名名乗らないで、僕の名前使ってるらしいんだわ。だから、よくわからない人に僕のこと訊かれたら、知らないって答えてもらえる?
「うんまあ、手遅れみたいだけど」
「え」
 僕たちの横をゆっくり赤いポルシェが追い越して止まり、和装の女性が降りてきた。そして切れ長の目で僕をにらみつけると、こちらにゆっくりと歩いてくる。武道でもやっているのか、まったく上半身が揺れない。あの着物は大島紬かな。やばい人だこれ。
 僕の前に立ちふさがると、彼女はゆっくりと口を開いた。
「誠二はん。うちになにか言うことありますやろ」
「人違いです」
 次の瞬間、僕は冗談みたいに空高くまで投げ飛ばされた。

【続く】

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
11

こちらでもピックアップされています

逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集
逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集
  • 1864本

「逆噴射小説大賞」とは、ダイハードテイルズ出版局が主催し、社会派コラムニストの逆噴射聡一郎先生が審査員に加わる、コンテンポラリーで由緒あるパルプ小説大賞です。今回の本文文字制限は400文字以内です。しかしこれは「400文字以内で物語を完結すること」という意味ではなく「小説の冒頭部400文字で応募する」という意味です。つまり「この続きを読みたいと思わせる、最もエキサイティングなパルプ小説の冒頭400文字」を表現した作品が大賞を受賞し、その応募者は大賞の栄誉とともにCORONAビール1カートン(24本入り)を獲得できます。 応募要項:https://diehardtales.com/n/nfce422e0faef

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。