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社名と名字 ネームバリュー【音声と文章】

山田ゆり
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1260
※note毎日連続投稿1357日コミット中。1260日目
※音声・文章、どちらでも楽しめます。



おはようございます。
山田ゆりです。



今回は
社名と名字 ネームバリュー
ということをお伝えいたします。


「今日はお忙しいのにお越しくださりありがとうございます。」

面談室で直属の上長が開口一番
先方に声をかけた。


今日は日ごろ使わせていただいている商品の説明をお聞きする日だった。

これまで何年も使い続けた商品の
一年に1回の更新の時期にあたり
改めてその商品がどういうものかを教えてほしいと
こちらからお願いしたのだ。

先方はいつもの担当者(女性)と所長(男性)だった。

こちらは直属の上長(女性)と担当ののり子だった。

上長が早速名刺交換をした。
上長が先方の所長にお会いするのは今回が初めてだった。


のり子はこれまで仕事の関係で
お二人には何度もお会いしていたので
名刺は差し出さなかった。



上長はのり子より20歳くらい若い。
若いのに低姿勢であり
そして何より口が達者だった。


初対面の方でも
相手が偉い方でも
うまく話ができる人で
そんな彼女をのり子はある意味尊敬していた。


相手は名刺をテーブルに置きながら話が始まった。


上長が流ちょうに話をし始め、
笑い声を発する。
先方もそれに合わせ笑う。
のり子は先方のお二人を交互に見ながら相槌を打つ。


明るい感じで上長の話が終わった。
先方の所長が商品の説明をし出した。


その時先方は
のり子の方を見ながら話をしていた。

のり子は一瞬
「まずい」と思った。


話の水を向けたのは上長なのに
それに対して先方が
のり子の方に向けて話をしてきたのだ。


時々は上長にも顔を向けるが
のり子の方に向ける率が明らかに多いのだ。

「私はそんなつもりないんだから。
お願い、上長の方を向いてほしい。」
のり子は心の中で願った。


先方が上長に目を向けてほしくて
のり子は時々、上長に声をかけてうなずいた。



こちらは上長が8割くらい話をしていた。
のり子はその話を聞き
先方のお二人を交互に見ながら相槌を打ったり
時々、隣の上長を向いて
「そうですね。」など同調の意を表していた。


その商品の直接の担当がのり子であっても
のり子の上司は彼女だ。


のり子はお互い、うまくいくためには
自分が前面に出てはいけないことを
これまでの経験で知っている。

だからほとんど相槌が多いのり子だった。


それなのにやはり先方の所長は
のり子の方を向く回数が多かった。


上長の高らかな笑い声が時々ありながら
話が終わりお客様はお帰りになった。



帰りの挨拶の時
上長は相手に労いと感謝の言葉を発して
流ちょうに挨拶をしていた。


いい感じで終わったのか?

帰り際の上長の挨拶を聞きながら
のり子は少し安心した。




お客様をお見送りして上長と一緒に面談室に戻った。



「駄目だね、あの人。」

上長がおっしゃった。


何が駄目だったのかというと
一番の理由は、知りたかった商品の説明が十分ではなかったことだ。

それはのり子も感じていた。
事前にこちらからお願いしていたことなのだから
それなりの資料を作って説明に上がるのが筋だと思うのだが、


先方はパンフレットだけお持ちになり
「詳しくは、先日お渡ししたそちらの書類に書いてあるのですが、
ちょっとそれ、お借りしてもよろしいでしょうか。」
とおっしゃって

こちらの書類を借りて
ここにこういう風に書いています
と説明していた。


こちらは、その書類で分からないから
説明に来てほしいと思って今回の席を設けたのだ。


だから、一般的な話ではなく
当社の使っているその商品についての
メリットデメリットを聞きたかったのだ。
しかし、それがなかった。


今回の説明の為に先方が作ってきた書類は全くなかった。
パンフレットだけで済まそうとしていたその姿勢に
上長は不満を抱いていた。



さらに、
彼女が最初、あんなに相手に話しかけたのに
相手は彼女に対してではなく
のり子に向かって話しかけたことから
相手への不信感を抱いたとおっしゃった。

そして、話の最中も自分より
のり子に多く話かけていたとおっしゃった。


ああ、やっぱり。


相手は名刺交換したとき
彼女の名刺を見たはずだ。
名字ももちろんご覧になり
話をしている時は上長の名字をおっしゃっていたから、
察してくれてもよかったのに。


彼女はのり子の子どもくらいの年齢だが
堂々と話ができ頭が切れる人だ。


名刺に書いてある役職は
もちろんのり子よりも上であり
そのネーミングは圧倒的な役職なのだ。


そして何より、
彼女の名字は社名と同じなのである。


だから相手には察してほしかった。


のり子はこの会社に転職してきたときに
「将来は会社の要になりたい」と
履歴書に書いた。


それは要職に就きたいという意味よりも
会社にとってなくてはならない存在になりたい
という思いがあったから。


のり子はこの会社に入ったのではなく
やりたい仕事がそこにあったから転職してきたのだ。

「入社」ではなく「入職」したとのり子は思っている。



のり子は今、昇格とかは既に眼中にはなかった。
転職したての頃は
周りの状況をよくわかっていなかったから夢も見たが

この十数年間の間でたくさんのことがあり
のり子がある程度の上に上ることはない
という現実が痛いほど分かった。



だから上の役職に行くことはあきらめたのだ。
やりたい仕事がやれればそれでよかった。




のり子より上の役職で
名字が社名と同じ



それだけで上長がどんな人なのか
先方に察してほしかった。



先方はネームバリューを気にしないで
のり子の方に顔を向けて話されたのだろうが
その心遣いがかえってのり子には迷惑だった。


そして心配した通り、上長の機嫌を損ねた。



まだ当分は、
やりたい仕事をしていたいと思っているから
上長との関係は壊したくない
と思うのり子だった。






今回は
社名と名字 ネームバリュー
ということをお伝えいたしました。

本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。 

ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。

山田ゆりでした。



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