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母と夫がいたさくら祭り【音声と文章】

山田ゆり
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≪6分46秒で聴けます≫
音声と文章
どちらでもお好きな方をどうぞ。



おはようございます。
山田ゆりです。


今回は、
【母と夫がいたさくら祭り】
ということをお伝えいたします。
 

今ごろになると、あの日のさくら祭りを思い出す。

夫は自分本位で人に合わせることをしない人で
家族と出かける事があまり好きではなかった。

逆に私はお花見や夏祭り、ジャガイモ掘り、
田植え、稲刈り、紅葉狩り、入学式、卒業式、
学習発表会、参観日など
年中行事は家族みんなでしたいと思っていた。

だから、お弁当やブルーシートを持って
お花見に行こうというのはいつも私で
夫は毎年、嫌々一緒に付いてきていた。


しかし、あの年のお花見だけは違っていた。


私はいつも通り、おにぎり、焼きそば、
卵焼きなどを早朝から作り、
それらをピクニック用の大きな保冷バックに入れた。

他にティッシュケースやゴミ袋、
皆が家で使っている食器・箸・コップも用意した。
今の時代、使い捨ての容器は使わない。

4畳半くらいのビニールシートは前日
夫に両面拭いてもらった。
飲み水も用意し、準備万端で出かけた。

あの頃、夫・私・母・娘3人の6人家族だったから
軽自動車2台で出かけた。


いつもは渋々みんなと出かける夫だったが、
その日は珍しく普通だった。
むしろ、楽しんでいる風でもあった。

どうしたんだろう、
とかえって心配するくらい夫はご機嫌だった。


アルツハイマー型認知症も9年目を迎えていた母に
寒くないようにオーバーコートを着させ
首には私がいつも愛用しているマフラーを巻いてあげ、
マスクをかけてあげた。

そして、紙パンツとビニール袋を入れた母の小さな鞄を
斜め掛けしてあげた。

自分のものだからという意識を
母に持ってほしかったから私はそうしたのだが
母もその鞄は、出かける時にいつも持たされていたから
それが自分のものだという認識があった。



桜の名所である公園についた。

混雑を予想して早い時間に家を出たつもりだったが
公園の周りの駐車場は既に満車の立て看板が目立っていた。

運よく、私たちは駐車でき、公園まで家族6人で歩いて行った。


私は母と手を繋いで歩いた。
認知症9年目の母は既に保育園児のようだった。

これまで3人を育てた経験があるから
だんだん子どもになっていく母の扱いは慣れていた。
頑張らない介護に目覚めてから私は
母の介護を楽しんでやっていた。


母に手を差し伸べると手をつないでくれた。

母が元気な時、私は
母と手を繋いで歩いた記憶はあまりない。
母はいつも元気で明るくて立派だった。

だから、私はかえって甘える事ができなかった。

まさか、母が老齢になってから
手を繋げるとは思ってもみなかった。

ビニールシートを広げ皆で食事をした。
持ってきたお料理の他に
園内の出店からおでんや唐揚げなども買ってきて
思い思いに食べた。

広げたおかずに桜の花びらが
どんどん降ってきて
私たちは笑いながらふたをした。


一通り食べ終わったところで娘たちが
アイスやコーンフライなどを買いに行った。


私はお弁当を片付け
ブルーシートにゴロンと寝転んだ。
夫は既に横になっていた。
母はただじっと座っていた。



静かに時が流れていた。


流れる雲を見ながら、
また来年も来ようと思った。


6人で出かけても全員が写っている写真は余りない。

二女が自撮りで皆を撮ってくれるが
その時は決まって二女の顔だけが大きく写っていた。

でもその日は、観光客のカップルの方の写真を撮ってあげて、
そのお礼にと私たち家族6人を撮ってくださった。



皆ニコニコしている。
普段、愛想笑いをしない夫が珍しく笑っていた。
母は相変わらずキョトンとしている。
でも、いい写真だ。

久しぶりの家族全員のまともな写真だった。



「来年も来ようね」


娘たちもそう言っていた。



しかし、翌年、桜の開花を待たずに母が急逝した。
そして、夫も急逝した。



だから、今でも時々私たちは言う。
「あの時、皆で出かけて良かったね。」


母と一緒に過ごしたあの時間
いつもよりご機嫌だった夫


あの日の桜は
私たち家族の心の中にしっかりと残っている。


今回は
【母と夫がいたさくら祭り】
ということをお伝えいたしました。


本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。

ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。

山田ゆりでした。



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