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ショートショート

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「こうだったらいいな」「ああなりたいなぁ」「もしもこうだったら怖いなぁ」たくさんの「もしも」の世界です。
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叶わぬ思い(ショートショート)【音声と文章】

※note毎日連続投稿1800日をコミット中! 1721日目。 ※聴くだけ・読むだけ・聴きながら読む。どちらでも数分で楽しめます。#ad  おはようございます。 山田ゆりです。 今回は 叶わぬ思い(ショートショート) をお伝えいたします。 「大好きです」 そう言っても大丈夫な関係 それを言っても絶対 それ以上進展する心配がない相手だから堂々と言える 「大好きです」 奥歯まで歯並びの良い真っ白な歯が見えるほど大きな口を開けて君は笑う それに合わせて僕も笑う 君は僕の本当の気持ちを知らない 知っていたらそんな無防備な笑い方はできないはずだ 僕は君の笑顔を見ることができて幸せだと思う そんな君をずっと見ていたい 君を困らせてはいけない 「大好きです」 本心なのになぜか笑いに変えられてしまう言葉 まぁいいさ これが僕の本当の気持ちなんだから 今回は 叶わぬ思い(ショートショート) をお伝えいたしました。 本日も、最後までお聴きくださり ありがとうございました。  ちょっとした勇気が世界を変えます。 今日も素敵な一日をお過ごし下さい。 山田ゆりでした。 ◆◆ アファメーション ◆◆ .。*゚+.*.。.。*゚+.*.。.。*゚+.*.。 私は愛されています 大きな愛で包まれています 失敗しても ご迷惑をおかけしても どんな時でも 愛されています .。*゚+.*.。.。*゚+.*.。゚+..。*゚+

謎の10連休(ショートショート)【音声と文章】

※note毎日連続投稿1800日をコミット中! 1720日目。 ※聴くだけ・読むだけ・聴きながら読む。どちらでも数分で楽しめます。#ad  おはようございます。 山田ゆりです。 今回は 謎の10連休(ショートショート) をお伝えいたします。 今回の年末年始は12月30日から10日間とします 年末年始休暇まであと2週間という時に会社の代表から全従業員へ向けて休暇の件でメールが届いた。 えっ! ウソ! 今日は4月1日? いや、外は窓の周りに雪がこびりついている。 これは本当に社長からのメールなのかと真っ先に疑った。 しかし、どうやら本当らしい。 「海外旅行に行ける!」 どうせ行けないのに、そんなことを思って見ていたら、自然に顔がにやけてきた。 しかし、メールを読み進めて行く内にガッカリしてきた。 連休の真ん中で、新年会がホテルで行われる。 特に参加できない人は社長へ理由を提出すること。当日は出勤扱いはしないとのことだ。 つまり、出勤扱いではないが絶対に参加しないといけないという意味だ。 これを10連休と言えるのか? 社外関係者宛ての年末年始休暇のお知らせが配布された。 そこには10連休の大きな文字が記されていた。 それを手渡しすると必ず先方は 「10連休ですか!凄いですねぇ!」と驚く。 実際は、真ん中で強制的に出席する新年会がある、とは、恥ずかしくて言えない。 長期休暇は嬉しいが、素直に喜べない。 外部に対して嘘をついているような後ろめたさを感じるからだ。 果たしてこれを10連休と言えるのだろうか。 新年会はホテルで盛大に行われた。 座るテーブルは入り口でくじを引き決まる形だった。 僕は社長のテーブルの隣のテーブルだった。 乾杯の挨拶が行われ、新年会は始まった。 僕は右手にビール瓶を持ちながら社長の席に近づいた。 社長に新年の挨拶を再びして社長のグラスにビールを注いだ。 大学時代ラグビー部だった社長は今はその面影もなく、タダの太めで体格がいい人になっている。 しかし、威圧感は十分あり、細めの僕が傍に立つと、獲物に睨まれた小鹿のように感じた。 社長に挨拶を終え、自分のテーブルに座った。 テーブルには前菜として「赤魚茸みそ焼き」と「紅白なます」が運ばれてきた。 僕はのんびりとそれを味わった。 その後、僕は同僚の高橋のところに行き長々と話をした。 高橋は一瞬小声で 「実は俺、今日、来たくなかったんだ。」と言っていた。 それを聞いた周りの人も 「俺もだ」「そうそう」 と口々に言っていた。 新年会には随分とお金をかけているというのが伝わってくる。 こんなことするよりも、僕たちのボーナスを多くしてくれた方が嬉しいのにと、口々に言い合った。 何はともあれ、義務の新年会はお開きになった。 休みの半分、あとどう過ごそうか。 独身の僕はなんでもできる。 どこでも行ける。 自由なのにその自由を満喫するすべを知らない。 こんなに長く休めるのに。 どうしようか? 僕はとりあえず身体を動かしてみることに決め、ジムに通い始めた。 入り口で手続きを済ませトレーニングルームをぐるりと見回す。 ランニングの機械で耳にイヤホンをし、長い髪を高い位置に結んだ女性がいた。 僕はそれから毎日そのジムに通うようになった。 謎の10連休は新しい僕の始まりのきっかけになった。 今回は 謎の10連休(ショートショート) をお伝えいたしました。 本日も、最後までお聴きくださり ありがとうございました。  ちょっとした勇気が世界を変えます。 今日も素敵な一日をお過ごし下さい。 山田ゆりでした。 ◆◆ アファメーション ◆◆ .。*゚+.*.。.。*゚+.*.。.。*゚+.*.。 私は愛されています 大きな愛で包まれています 失敗しても ご迷惑をおかけしても どんな時でも 愛されています .。*゚+.*.。.。*゚+.*.。゚+..。*゚+

覚悟ができなかった(ショートショート)【音声と文章】

※note毎日連続投稿1800日をコミット中! 1716日目。 ※聴くだけ・読むだけ・聴きながら読む。どちらでも数分で楽しめます。#ad  おはようございます。 山田ゆりです。 今回は 覚悟ができなかった(ショートショート) をお伝えいたします。 これまでたくさんの悪さをしてきた俺だが、最期に謝りたい人が一人だけいる。 戸籍上未婚の俺だが、実は一度、結婚式を挙げている。 彼女とはお見合いだった。 小柄でほっそりした彼女は、笑うと歯並びのいい白い歯が印象的で彼女が人差し指と中指と薬指で髪をかき上げるしぐさに俺は毎回、心臓がドクンとしていた。 彼女はそれまで特定の人と付き合ったことがなく、世間知らずなところがあった。 彼女は初めてのデートの日、俺が運転する車に乗る時に、後部座席に乗ろうとしたほどだ。 彼女はいつも上質な服装をしていて、服装に無頓着な俺でも彼女の服は確かなものだと何となく感じていた。 俺たちはデート初日から意気投合し、「結婚」に向かって話が動き出した。 世間知らずな彼女は、俺の運転で行く海や山に毎回喜んでくれた。 俺は子犬のようにはしゃぐ彼女を見るのが楽しくて毎週、朝7時には彼女の家に車で行き、夜10時頃までデートを重ねた。 出逢って1か月後に、運転しながら彼女の右手を優しく握った。 彼女は最初驚いて手を引きそうになったが、その内、指をふんわり広げて俺の指に絡ませてきた。 「実は、こんなことしてみたかったの。」と彼女は小悪魔のように微笑み、挑むように俺の目の奥を覗き込んでくる。 普段の清楚な彼女からの変わりように俺の心がぎゅっと掴まれてしまった瞬間である。 そこに彼女の覚悟を感じた。 そして、話はとんとん拍子に進み、出会って3か月後に挙式ということになった。 毎週俺たちは逢瀬を重ねた。 しかし、挙式の日が近づくにつれて俺は胸の中がモヤモヤしてきた。 彼女を嫌いになったわけではない。むしろ出会う度に新しい発見がある彼女にノックアウトされている自分がいた。 「俺が結婚する」「どんなことがあっても俺が彼女を守っていく」 結婚とは、楽しいことばかりではなく、「覚悟」が必要なのだと段々分かってきたのだ。 自分にはその覚悟があるのだろうか。 彼女を幸せにすることが俺にはできるだろうか。 今の会社は転職してまだ2年も経っていない。安月給の今の仕事を果たして続けて行けるだろうか。 これまでのように「何となく気に入らないから」と転職を繰り返してきた俺だが、もうそんなことは言っていられなくなる。 自分にはその覚悟があるのか。 上司に叱られた日には「こんな会社、辞めてやる!」と心の中で叫んでいる自分に、「本当にこのまま結婚していいのか」と自分に問いかける毎日だった。 「結婚」を軽く見ていた自分はこのまま流されてしまうことが怖くなった。 明日が挙式という夕方に俺は彼女に電話した。 「俺はこれから旅に出る。探さないでくれ。」 彼女はとても驚いていた。「とにかく話を聞きたい。」と彼女から言われ、俺の車で真っ暗な山の中に車を停め、話をした。 そして彼女が可哀そうになり、明日の結婚式と結婚披露宴には出席すると彼女に約束した。 翌日俺は時間通りに式場に出向いた。 何事もなかったようにその日の式次第は進んだ。 俺は得意の笑顔を招待客に振りまいた。 彼女も人生で一番輝いていた。 しかし、俺の心は晴れなかった。 結婚披露宴が終わり、友人たちとの二次会の時に、楽しそうに友達と話す彼女の耳元で俺は小さく囁いた。 「俺が今、どんな気持ちでいるか、お前は分かるか!」 彼女は口角をこれ以上上げられないというほどの笑顔だったが、俺の言葉で一瞬、凍り付いたような顔になり、俺の目の奥を覗き込んだ。 そして、「おめでとう!」という友人たちに再び笑顔を振りまいていたね。 そして俺たちは新婚旅行に出かけた。 入籍は帰国後にするということで日本を離れた。 場所が変われば気分も晴れるだろうと思ったが、俺の気持ちは真っ暗だった。高い金を出して外国に観光に来ている状態は俺には「地獄」にしか思えなかった。 帰国後、彼女と一緒に住み始めたがその内俺は家には帰らなくなった。 「結婚」は俺にはまだ覚悟ができていない。 もう、偽りの生活はできない。 俺は婿入り道具を大型トラックに乗せて引き上げた。 結婚式と結婚披露宴を行ったが、役所には結婚届を出さなかったから、二人とも戸籍上は「未婚」のままだった。彼女に「バツ」が付かなかったのがもしかしたら不幸中の幸いだったのかもしれない。 その後、一度だけ彼女から「会いたい」と連絡が来て会った。 その時も彼女を愛してはいたが、自分には戻る覚悟はなかった。 同じ市内に住んでいては未練が残ると思い、俺はすぐに地元を離れ、県外の工場に住み込みで働きだした。 あれから30年以上が経った。 彼女がその後、どうしているか俺には分からない。 点滴の液がポタッポタッと落ちる。 看護師さんの足音がばたばたと足早になる。 あの時「覚悟」をしていたら、俺の人生はどうなっていたのだろうか。 やがて、雑然とした音が聞こえなくなり真っ白な世界がふわぁっと俺を包んだ。 脳裏の中に歯並びの良い真っ白な歯を見せて笑う彼女の笑顔が一瞬浮かび、そして消えた。 今回は 覚悟ができなかった(ショートショート) をお伝えいたしました。 本日も、最後までお聴きくださり ありがとうございました。  ちょっとした勇気が世界を変えます。 今日も素敵な一日をお過ごし下さい。 山田ゆりでした。 ◆◆ アファメーション ◆◆ .。*゚+.*.。.。*゚+.*.。.。*゚+.*.。 私は愛されています 大きな愛で包まれています 失敗しても ご迷惑をおかけしても どんな時でも 愛されています .。*゚+.*.。.。*゚+.*.。゚+..。*゚+