え〜、続きまして〜

タイトルは好きな言葉を記すと言っておきながら記念すべき第一回がまるでフリかのようにボケる。本当にボケ中年なのかもしれない。そんなボケ中年は高校野球が大好きである。偉そうに胸を張れる数少ない趣味である。

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2020年5月20日。高校球児の目標、夢、時に父、祖父、兄など一族の想い、歴史が詰まった聖地、甲子園を舞台にした102回選手権大会は地方大会含め一切行わない事を決めた。この写真に写る青年たちは埼玉スーパースターズ元メンバー。U-15 サムライJAPANの平尾柊翔、浦和実業の豆田泰志とまさに102回大会をキャリアの集大成とする高校三年生だ。

今日、平尾と少ない時間だけど顔を合わせる機会があった。昨日のうちに分かっていた予定だが、なんと言っていいか、なんと言葉をかけていいかわからない。選手権の事には触れず普通に過ごした方がいいと思ってはいた。選手、家族、関係者。時に一族で戦い、喜び、励まし合ってここまで来た。本人の夢を支えた物語の第一章が終わろうとしていた。当たり前のハッピーエンドは真夏に訪れると思っていただろう。しかし、当たり前の終わり方が出来ない事を告げられた。まだ5月だ。

私は天邪鬼ではあるが高野連の決定は納得がいかない。色んな柵が複雑に入り混じってるのがわかる。高校野球は特別だ、などと否定的に言われる事もあれば肯定派からも高校野球は特別なんだから、ともはや出口のない論戦すら起きていた。自分が思うにプロ野球よりも先に安全性を立証するような野球の試合をアマチュア、特に高校野球で世の中に示す事が良しとされず中止の理由になったんだと思う。

コロナウイルスを甘く見た代償は大きかった。一部のプロ野球選手も感染した。結果、プロ野球の開催は白紙になり、その影響があまりに大きく共倒れという最悪な事態になったと思っている。もはや起きてしまった事だし責任問題とかではなく、甲子園中止報道されてから影響力の強い選手や監督、OBの発言に注目していたが大きな動きは無かった。決定前のリークだったから反応出来なかったと言われれば仕方ないが私はそう思えなかった。

その中でWBCでキャプテンも務めた宮本慎也さんが延期も視野に入れてみては?と口を開いた。私は賛成だった。こんな中年の声は届かないが毎日毎日新規ウイルス感染症の数が報道される中、センバツ中止の時とは明らかに違う意識が人々に生まれている証拠のような数字が報じられはじめたのだ。マスク、手洗い、ソーシャルディスタンス。喉元過ぎれば熱さも忘れる人はいるが明らかに以前とは違う。そこに光を感じた。2ヶ月押しならば... と。

我々一般人は外野だ。良くも悪くもファンでしかない。ただ、脳の数はハンパない(笑)開催プランのディスカッションはTwitterで始まった。ここからは大人がいかに本気で議論できるか、核心を突いた話が出来るか、だった。Twitterを何時間みただろうか。凄い人数のファンが本気で代案を考えていた。アンチが横槍をつつこうが動じない。揺るがない。人間本気になると怖さを感じるもの。暴力じゃなく思想でも本気になれば言葉に凄味が出てくる。この熱意と無数のアイデアがあれば開催出来る、と本気で思い始めた。普段からあーしろ、こーしたほうがえー、とツイートしまくってる自分としても同志がこんなにもいるんだったら例え外野でも有識者にこの声が届くのではないかと。

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もう5月も半ばだが、中止を受け「まだ5月」に気持ちを切り替えた。球児は何も悪くない。誰も感染していない。今こそ大人が力を合わせて花道を作るべきだ。‪同情は要らない。ここからは本物の想いだけが球児を救う。甲子園やらないから引退はとりあえず忘れよう。一軍、二軍、背番号、公式試合が全てじゃない事を見せて欲しい。選手は今までと同じ、変わらぬ毎日を送って欲しい。仲間で過ごした時間は貴重な出来事で、目標を奪われても絆は奪われない強さを最後に見せる場所を大人が必ず作るから。

実は大人もめっちゃしんどい時期なんだ。けど球児や部活動の集大成を奪われた子供たちが憎きコロナと戦うために猛勉強したり安全性を‬強める衛生用品を作るだったり大会運営の内部の人間だったり。社会に出てこんな悲しい想いを誰にもさせたくないって人間が生まれてくれれば大人も報われるんだ。それが出来るのも今コロナに色んな事奪われた人間が出来ることじゃないか?例えばプロ野球を目指してた少年が大人になり、プロ野球の夢は潰えたとしても渡米する日本人メジャーリーガーを飛行機に乗せたパイロット‬になってたとしたら自分の努力は誰かの夢も運べるって事だと思う。本当に誇らしい事だと思う。

例え会場が違くても時期が変わっても幻の甲子園だったとしても球児のやって来たことは絶対無駄にならない。全ては社会に出て自分らしく活躍する為の事。部活動してる全ての人へ。なりたい自分へ。君たちは日本の未来だ。

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