作品記録:『ハルカカナタ』

月社です。
タイトルの通り、今回制作したボイスドラマ『ハルカカナタ』に関する台本、編集周辺の心情吐露になります。
今回から制作した作品には区切りとしてまとめの文章を挙げていきますので、少しの間、お付き合いの程お願いします。
音声公開した際ご一緒にと思ったものの、まとまった時間が確保できなかった
為遅れたこと申し訳ないです。早速ですが、簡潔に入らせていただきます。

目標

ここから口調崩します。
当然ですが作品公開する度にある程度目標の設定はしています。意識的にやらなければ、余り意味を為さないですからね。

目標は三つ。
1.起承転結が明確な素直で分かりやすいシナリオ構成にすること。
2.音声を表現に用いるボイスドラマならではの演出を導入すること。
3. 1.2.を踏んだ上で分かりやすいメッセージ性を作品に含めること。

こんな感じです。
全体的に基礎に立ち返った目標設定でした。
理由はぶっちゃけ久しぶりに作成するシナリオを挙げるのがビビってたから。
決してシナリオ制作に空白期間があった訳じゃないです。なんなら、シナリオ制作技術はとある場所でマンツーマンで教わってるので絶対に上がってます。上がってなけりゃ俺の自腹返せ。
(↑最近忙しそうにしてる理由の一つ)

端的に、自分の作品が聴く人に伝わらないかもしれない事にビビってました。
これまで作成した作品、例えば『忘却のオルフェウス』を挙げますが、原案である小説を大元にボイスドラマへと変換させたシナリオではありました。
凄く色々な方に聴いていただき、話題にも挙げてくれて嬉しい限りですが、今振り返ると、当時の自分は頑張りましたが、シナリオの全体的な質はかなり悪いですし、その上で脚本が何たるかを理解できていなかった為、音響も手探り手探りで、SEやBGMの統一感、ボイスドラマでやる意義が薄いです。
残酷描写の緩和やキャラクターの緊迫感の表現には相乗効果がありましたが、ミステリーとボイスドラマの整合性が凄まじい程悪く、その上長いので付き合うのも難しい。もし今の自分が作成し直すとすれば、台詞も設定も全て刷新させて、ボイスドラマではなく、ノベルゲームにしてプレイヤーも前のめりで没入できる形式を取ります。伝えたい事柄があっても、そもそも分かり難い箇所が多過ぎたと反省しています。
(勿論ですが、最後まで聴いてくださった方、関わっていただいた演者さんには感謝しかないです🙇‍♂️)

趣味とはいえど、創作者として頑張れる高みは登りたい。けどこんな状態では初めの一歩すら出来ていない。なので全てをゼロの状態にして、基礎に立ち返ることを選びました。

後細かい事を言えば、もっと文章との向き合い方を素直にしようと思いましたね。まぁ格好付けて小綺麗な自分見せるの辞めようと。元々厨二病拗らせて格好付けてる癖に、更に格好付けたら平安時代の十二単みたいに重過ぎですw 何はともあれその結果が、今回の『ハルカカナタ』です。

中身(シナリオ、BGM、諸々)

テーマ『終わり』のお話で何を書くか。
真っ先に浮かんだのが、ここ最近遊んだ一番好きと呼んでも過言でない作家田中ロミオのノベルゲーム『終のステラ』のラストシーンでした。ネタバレになるので、詳細な説明は省きますが、物語の全体的なテーマである『人間とは何か/何を以て人間であると主張出来るのか』とそのラストシーンである『美しく、理想的な人生という長い旅の終わり方』。
着想を得たきっかけはそこにあります。

(オープニングを聞けば、ある程度どんな雰囲気か分かります:宣伝乙)

中々不純なきっかけですが、自分自身、上記のような人間とは何か、人生の終わり方を考える機会が幼少期から多々ありました。ここで語るような話ではないですし、この作家が好きな由縁はそこにありますが、自分の中で一つの軸に据えようとしていたサブテーマがあります。
『意志の継承』です。
避けられぬ不条理に対する拒絶や抵抗の形。
親から子へ。恋人から恋人へ。友から友へ。
時間や距離を超越した人の想い。意志の形は様々ですが、人が誰しも抱く普遍的な人間らしい、美しい人生の終わり方の一つではないかと。
大切な人に忘れられるのは、死ぬよりも恐ろしいこと。
逆に言えば、大切な人に託せた物があったとすれば、どれだけ幸せなことか。

後は、目標に沿ってシナリオを作成していきました。1と2を行き来しながらの作成です。
音か〜、音楽はどうだ?音楽家とかどうよ?登場人物は二人くらいで対比関係にすれば書き易いかも……天才と凡人。
ピアニストならBGMもピアノで、センシティブでセンチメンタルな雰囲気を……新海誠やビジュアルアーツ作品のBGMはどうか。
託し方もどうせなら音を通したい。かなり古いけどカセットテープはどうだ?A面とB面、今の若者絶対知らないな。押したり、開けたり、身体動作に繋がるから演出も良さそう。作品として未来に残しても価値が増すな。
言葉も欲しいけど、どうせなら物をあげたいな〜。オルゴールにしよう。
『死』を題材にしながらも、幸福であると告げる生命賛美や祝福の音。本当は忘れて欲しくないと暗に願う、馴染み深い音……誕生日のオルゴール。
具体的な季節が決まってると作品に立体感が増すな…..梶井基次郎チックに春を選ぼう。
と、流れるように順々に決まりました。

台詞は余り拘っていません。
気にしたらキリがないので、誤字脱字以外は修正加えていません。
既に格好付けてると言われている辺り、潜在的に厨二病なんでしょうね、俺w

キャストさんですが、ここはもう信じるしか無かったです。
今回参加したワンテーマでは、これまで関わったことのない方に出来るだけお願いする方針を前々から決めており、その中から選考しました。
ただ、今回独白、掛け合い、泣きetcと求めたので、サンプルボイスから判別が凄く難しかったです。
なので参加作品巡回して、後は理性と直感の板挟みを喰らいながらお願いしました。結果は勿論、本当にお願いして良かったです。相羽みあ(https://twitter.com/aimia_nanaVoice)さんありがとうございました!🙏

その他

タイトルの元ネタ:現在公開中のスズメの戸締り主題歌RADWIMPSの『カナタハルカ』。新海誠が凄く好きなので当然初日に観に行きました。
そもそも自分が、フィクションのキャラクターには、一番遠い所に触れたり、辿り着いたりして、何か大切な物を持ち帰って生きる糧として欲しい、成長を遂げて欲しいと思ってるので、ピッタリだなと。

まとめ・反省

我ながらかなり高クオリティでまとまってると思います。
強いて言えば、ピアニスト要素が足りないのと遥香のキャラ性をもっと引き出せる掛け合いが出来たかもです……

遥香:詳細設定
 現代っ子であり、かなり庶民的な感性を持つ。明る過ぎず、暗過ぎない。友達付き合いもよく、ボケもツッコミもこなす、所謂極々普通な女の子。普段から自己評価が低く、考え方が内向きで、失敗や不祥事が起こる度に一々自分を責めてしまいがちになる。具体的な描写はないが、愛想笑いや周りの空気に合わせるなど、表立って自分を出す事を避ける傾向にある。
 全体的に彼方とは対称的に描いている。

台本から引用してます。台詞単体でも遥香が少々突っ掛かる感じに見えた為、オドオドした印象、又は彼方がグイグイ迫る台詞選びが出来ましたね。最終手段、説明的な台詞ですが余り良い選択でないので、ここはもっと瞬時に言葉を!言葉を!
ボキャ貧……

という訳で今回はここまで。
次はゲーム公開した際にまた執筆します。
改めて、ワンテーマボイスドラマ企画のなるらんど(https://twitter.com/mandnaruko)さん、読んでくださった、見てくださった方々、ありがとうございました!



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