##NAME##感想
この記事は児玉 雨子先生の小説『##NAME##』の私の感想をまとめたものです。ネタバレを含みますのでご注意ください。
雪那は幼かった。美砂乃さんのことも母親の気持ちも十分に考えていたとはいいがたい。いじめっ子をいじめ返したり、学友に墨汁をかけたり、ネッ友とのつながりの切り方が乱暴だったりするのは、絶対に正しいとは言えないと思う。けれど、幼かったり正しくなかったりするのは、それだって絶対悪いとも言い切れないと感じさせられる。
彼女があの世界、彼女のリアルで、呼ばれたい名前があるだけ幸運だったのかもしれない。
雪那を幼かったと表現するなら、子供ではいられなかったのが美砂乃さん。
この物語は雪那の一人称視点で紡がれるから、美砂乃さんがどれだけ現場で嫌な思いをしたのかや美砂乃さんがどんなふうに雪那のことを思っていたのかは少し見えずらかった部分があると思う。だがそれがこの作品の欠点であるといいたいのではなくて、だからこそ雪那へ感情をぶちまけたシーンがショッキングで劇的に見えるという話である。正直あのシーンを見たときはハッとした。
総括として、つらくて苦くて他人から見てもかわいそうでもその価値を決めるのは自分自身で、その中でのときめきを愛したっていいっていうのは確かにそうだと思った。
彼女たちの幸せは私の想像の及ばないところにあるかもしれないが、幸せになってほしいと思った。
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