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今でもある

 「かわいい…」
 少しだけ起きている時間が増えた無垢なるものは、オレンジがかったようなアンバーアイで、それさえも心奪われる要因となる。

 私の黒い目と髪は怖いと言われて、いとこや知人たちからからかいの対象となっていた。
 だから、割と自由な校風だった学校に在学中明るめの髪色に染めたが、定着のため繰り返し染めなくてはいけないうえに、染まりづらい髪質だったらしく、途中で気力も財力も尽きてやめてしまった。
 カラコンも目に合わず、涙が止まらなくなり、叶わなかった。
 それからは、黒い髪も目も無感覚となっていった。
 そうやって感情を手放す事を何度も繰り返す私には、何も残らないだろうと思っていたのに、無垢なるものへの執着にも似た感情がある事に失望した。

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