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小説✳︎「紘太と結里子」 第12話

こちらは
「月明かりで太陽は輝く」
のサイドストーリーです。
宜しければ、まずは本編を
読んで頂けたらうれしいです。

ベランダから見送る結里子の姿。
本当に愛おしい。
そう思いながら、紘太は大きく手を振った。

駅につき電車を待つ間
スマホを取り出し、イタリアンのお店に
日時決定の連絡を送った。

『サプライズ、うまくいくかな?指輪気に入ってくれるかな?』
結里子の1番の笑顔が見られたら、最高に幸せだと思った。

スマホを出したついでに
アルバムにある結里子の写真を眺める。

一緒に行った沖縄の海。
二人の生活小物を揃えに行った時、真剣に選ぶ結里子の横顔。
祭りで焼きそばを食べながら、頬に青のりのついた顔。

沢山の写真の中に、今度は彼女の花嫁姿を納めることが出来たらいいな。
デートでウエディングサロンの前を通った時、ショーウィンドウのドレスを目で追っていたのも、気が付いていた。あのお店にも行ってみよう。

職場でも、あっという間に時間が過ぎてしまうくらいだった。
昼休みには結里子が作ってくれた弁当を広げ、今度はこれが『愛妻弁当』になるのかな?プチトマトを頬張り、微笑んだ。

その日は定時に仕事も終わり、帰宅できた。結里子が夜勤の夜は、1人飯。負担をかけたく無いから夕飯は作らなくて良いよって言うけど、野菜サラダなんかが、冷蔵庫に作り置きしてくれたりする。

コンビニ弁当と結里子の作ってくれたサラダを食べて、映画の続きをみているうちにうとうとする。一人暮らしの時と違うのは、部屋の中にいつも、彼女の気配があること。居ないけど、ソファの隣にいつもいる様に感じられる事。そんな幸せを噛みしめながら、ベットに入った。

次の日の朝、紘太はコーヒーを飲み干し、流しにカップを置く。テーブルには夜勤明けで帰ってくる結里子の為に「お帰り」のメモを残す。
今夜にはまた会えるけど、いつものルーティン。

駅のホーム。最前列に立つ紘太。
高身長は、電車のドアも腰をかがまないと入れない。前に誰かがいるとぶつかってしまうことも多い。
だから、あえて最前列に並ぶ様にしていた。
いつも乗る電車がもうすぐ来る時間。
今日も結里子へのサプライズプロポーズを想像していた。




#紘太と結里子
#月明かりで太陽は輝く
#サイドストーリー

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