月のレシピという作品を読んでくださってありがとうございます。 ギリシア神話で、父性の象徴であるのが太陽に対し、母性の象徴とされるのが月です。 このことからインスピレーションを受けこの作品を執筆しました。 そして話の終わりに出てくる三日月のネックレス。 三日月には物事の始まりという意味があります。 また、三日月への祈りは幸運に恵まれるという言い伝えもあります。 このことから''私''が母の死を乗り越え、新たに人生を始められるようにという願いを三日月のネックレスで表現しました。
「あと必要なものは母親の愛情か。」 困った、八方塞がりだ。 無償の愛をくれた母はもうこの世にはいない。 どんなに私が求めても、もう二度と優しい声で名前を呼んでもらうことはできない。 温かい腕で抱きしめてもらうことも、 綺麗な手で涙を拭ってもらうことも。 行き場を失った私は仕方なく家に帰ることにした。 この半年、母のことはなるべく考えないようにしていた。 鉛のように重い足を無理やり引き摺りながら母の部屋に入る。 扉を開けた瞬間、母の匂いが私を包んだ。 悲しみから逃げるように母
次は猫のあくびだ。 これまた難しい。 「やっぱりマタタビとか必要なのかな。」 真っ暗な夜の街をふらふらと猫を探して彷徨う。 そんな時1匹の黒猫が横切った。不吉だ。 耳は欠け、尻尾も短く、お世辞にも綺麗とはいえないみすぼらしい姿だ。 野良猫なのか、捨て猫なのか、まぁ猫であることに変わりはない。 「ちょっとすみません。あくびを1つ頂けませんか?」 「あくびねぇ、今僕あんまり眠くないんだけど。」 「そこをなんとか。」 つれない態度の猫にこんなにも必死に頼み事をするのは生まれて
月が消えた。 ある日突然。 それは母がこの世を去ってからちょうど半年後のことだった。 月のない夜はこんなにも暗く寂しいものなのかと思った。 それなのに、ニュースにもならず人々は普通に生活している。 「みんな困らないのかな。」 小さく呟いた独り言は1人静かな部屋に大きく響いた。 「月、作ろう。うん、そうしよう。」 そんなことを決意し、私は本で埋め尽くされている屋根裏部屋へと向かった。 ホコリの積もり具合から、長い間この部屋を訪れていないことは一目瞭然だ。 しばらくして本
眠れない夜は本を読みましょう。 漫画でもいいのです。 それが嫌なら音楽を聴きましょう。 J-POP、ロック、アニソン、洋楽、演歌 なんでもいいのです。 読むことも聞くことも嫌なら、綺麗な写真を眺めましょう。 でも、結局のところ過ごし方はなんだっていいと思うのです。 「よふかしのうた」という漫画にこんな台詞が出てきます。 ''今日に満足できるまで夜ふかししてみろよ。'' 眠れないなら無理に寝ようとするのではなく、自分が満足できるまで夜という時間を楽しむのも1つの正解だと私は
こんばんは。そして初めまして。 堅苦しい挨拶は苦手なので、今宵は詩人ジャラール・ウッディーン・ルーミーについて少しだけ。 ルーミーはペルシア文学史上最も偉大な詩人と言われています。 そんな彼の詩の中で、私が特に好きな一節を今回は皆さんとお話しできたら嬉しいです。 『The wound is the place where the Light enters you.』 『傷口は、光があなたに入ってくる場所だ。』 という意味です。 この詩に出会った時、 ''あなたにある傷