「ひとごと」か「たにんごと」か、それが問題だ。
「ちょっと煮詰まっててさぁ……困ったよ……」
あぁああぁあ!!!
それってぇ!!!
”誤用”ですよねぇ!!!
……なんてことをツッコむ人間ではないよ。私は。
日本語は変化するものである。
受容の心。 大事だよね!
だから「他人事」は「たにんごと」だよね?
「他人事」は「ひとごと」という読みが正しい。
だが初めて見たのなら読めなくても仕方ない。
「氷柱」と書いて「つらら」と読むようなものを熟字訓というが、
「他人事」も熟字訓だ。
熟字訓は知っていなければ読めないのである。
「大人しく覚えろよ!」という人もいるだろう。
しかし生まれ方がどうにも気に食わないのだ。
「ひとごと」はもともと「人事」という漢字で書かれていたが、
のちに「じんじ」と区別がつかないという問題が出てきた。
そこで「他人事(ひとごと)」という表記が生み出されたのである。
……ってNHKが言ってた。↓
そしてNHKはというと、わかりにくいということで「他人事」という表記は使用していない。
表記するときは「ひと事」に決めているのである。
だがよく考えてほしい。
「どうせ他人事だからねぇ」という発言が意味しているのは、
「どうせ”自分に関係ない他人のこと”だからねぇ」である。
「他人のこと」である。
「たにんごと」である。
えっ、「ひとごと」って何?
ひと?
意味広くない?
自分も身内もそれ以外も含んでない?
「たにんごと」のほうが用法に即してるよね?
誰でも読めるし、意味もあってるし、文句ないよね?
……もちろん先に存在していたのは「ひとごと」であり、それ以外に他人の事柄を指すような言葉がなかったせいでこんなことになったわけではある。
しかし他の批判されるような誤用と違い、「たにんごと」は理に適っている気がするのだ。
むしろ「それ”ひとごと”って読むんですけど~www」と勝ち誇ったように言ってる人のほうが、馬車を褒めて車を貶しているような雰囲気を感じなくもない。(なんか他にいい例えがありそうな気がするけど)
もちろん「ひとごと」のほうが正しいのは歴史的事実ではある。
しかし「たにんごと」の方が、意味も読みのわかりやすさも優れている。
「自分事」という言葉が使われるようになった現在においては尚更だ。
誤用誤用と言いたくなる気持ちもわかる。
だがもう誰も「輸出」を「しゅしゅつ」と読まないのと同じで、まっとうな道に進む誤用なら良い変化なのではないだろうか。
そんなことを考えて、鯖を焼く夕方なのだった。
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