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10年間待ったアニメを劇場に観に行った

アイドルマスターミリオンライブ!のアニメが、ついに始まった。
10月からのテレビ放映に先駆け、1クール分の話数を3幕に分けて劇場先行公開。先日8月18日にその第1幕(話数にして1~4話相当)が公開され、9月8日から第2幕、9月29日から第3幕が公開となり、全話数分が映画館のスクリーンで鑑賞できる機会となっている。

で、そんなミリオンライブ!のアニメ(以下ミリアニ)第1幕、公開初日に観に行ってきた。
なんてったって10年待ってたコンテンツのアニメ化である。そりゃもう。
先述したようにアニメ1話~4話までの内容となるので今後どうこの物語が着地するかはまだ明かされていないのだが……
現状では間違いなく「10年待った甲斐のあるアニメ!!」と断言して差し支えない滑り出しだった!

ミリオンライブ!を、とまで言わずとも、少なくとも「アイドルマスター」と名のついたコンテンツに触れたことのあるオタクだったら「ウオオ~~~~こんなnote読んでる暇あったら今すぐ劇場に行ってミリアニ見ろ~~~~~~~~~~!!!!!!」つって尻を叩けるくらいには安心して人に勧められる作品に仕上がっているので、今更自分が何かを語るまでもなく完成した本編を観て貰えればいいんだけど……

しかしこうして今、無性に自分の感情を出力したくなって、久しぶりにNoteにログインしてまでガチャガチャキーボードを叩いているのである。この気持ちはなんだろう。確かに実際出来上がったアニメは素晴らしい出来栄えで誰にもオススメできるものだったんだけど、実際ここに至るまでには長い、なが~~~い紆余曲折があり、決して平坦な道のりでは無かったんだよ~~~~~っという事を忘れたくない自分がいるのだ。10年も掛かってるし。でも(だからこそ今このアニメが出てきたことが素晴らしいんだ~~~~!!)という気持ちと表裏一体なんだ。

今から語る内容は全て私見である。ミリオンライブ!にかこつけた、半分くらいは自分語り。長い間ひとつのコンテンツを追っかけてるとコンテンツの話なのか自分の話なのか理解らなくなってくる。日記。赤裸々。チラシの裏。
ネガキャン……のつもりは無いけど、やっぱり多少恨み節みたいな面もあるので合わない人はいると思う。それでも最後にはミリアニくん最高だったぜ……という話になります。
「うるせ〜〜〜お前のミリアニの感想だけ聞かせい!」という方は目次の#ミリアニネタバレ感想からどうぞ。

こういう事を思いながら10年間ミリオンライブを追っかけてたオタクが一人いた(あるいは、同じような心境の人もいたかもね)というサンプルとして読んでいただければ幸いである。ご笑覧ください。


馴れ初め

アイドルマスター ミリオンライブ!は、アイドル育成ゲームとそのメディアミックスから成るコンテンツ「アイドルマスター」から派生したタイトルの一つ。2013年2月よりGREEにてソーシャルゲームのサービスが開始。
無印アイマスの舞台となった「765プロダクション」の新たな挑戦として始まった「765プロライブ劇場(シアター)」を成功させるべく、765プロに新たに37人(後に2人増えて39人)のアイドルが加入。
元々765プロ所属の13人のメンバー(765オールスターズ、765ASと呼ばれる)と合わせて50人(52人)による劇場での日々が始まる……といった筋書き。
"笑って、悩んで、女の子(アイドル)たちは、もっと輝く
私たちと、この劇場(ステージ)で夢を叶えてください!"

さて自分はと言えば、ニコニコ動画でアイマスの動画を見たのがキッカケでアイマスシリーズのファン(プロデューサー、Pと名乗る文化がある)となり萩原雪歩のPとしてオタクをやっていた流れがあり、グリー版ミリオンライブ!(以下グリマス)も一応サービスイン当日から登録はしていた。しかし当時すでにアイマスのソシャゲは「アイドルマスター シンデレラガールズ(デレマス)」が先行しており、グリマスは「2番手」。765ASのアイドルが継続的に登場するという点はあるものの、ゲーム内容としては正直グリマスに特段目新しい所は感じなかった……というのが、当初の偽らざる印象だった。(モバマスでも初期の頃は765のアイドル出てたしね……)

それでもこの時点でミリオンライブ!というコンテンツがシンデレラガールズに対して明確な差別化ができていたのが、
「登場アイドル50人全員に最初からCVが付いている」
「CVがあるのでどんどん新曲が出るし、比較的早く全員にソロ曲が付く」
「765ASと共通した世界観で、アニメ版アイマスを手掛けたA-1Picturesによるキャラデザ」というあたりではなかろうか。
そんなこんなでサービス開始から1年経過が迫る2014年、ここに来てついに自分はミリオンライブ!というコンテンツと向き合うことになる。

2014年1月、アニメ「THE IDOLM@STER」の後日談となる映画
「THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!」
が公開された。
人気に火が付き始めた765プロのメンバーが、次なるステップとしてアリーナライブ開催が決定。ライブへ向けて天海春香をリーダーとし、新たにバックダンサーチームに7人のアイドル候補生を迎えて合宿に。ライブ開催が迫る中、焦りから次第に候補生チームに亀裂が入り、やがて春香はリーダーとしての決断を迫られる……といったあらすじ。

この映画に登場するアイドル候補生として、春香に憧れをもつ歌が大好きな少女、矢吹可奈を筆頭に、ミリオンライブから7名が選出された。
そして自分はというと、その7人の中の1人、北沢志保というアイドルに───当時の俺はまだ知る由もないことだが───向こう10年間狂わされ続ける事になる。

北沢志保  14歳。

母子家庭に育ち、少しでも家族に楽をさせたいという思いからアイドルを志す。クールでストイック、と称されることが多い性格で、職業としてアイドルを選んだ事もあり、仕事として結果を出すことに対する意識は強い。フィジカル面などではアイドルとしての資質に特別恵まれたタイプではないものの、負けず嫌いで努力を厭わない。幼稚園(保育園)に通う年齢の弟がおり、弟の前では心優しい姉の一面を見せる。大人びた印象の反面、ぬいぐるみや絵本探しなど少女らしい趣味も持つ。

「輝きの向こう側へ!」での北沢志保は、半ばミームと化した「もう時間がないんです!」という台詞に象徴されるように、まだまだ実力の伴わない候補生としての焦りや不安から他の候補生と衝突する、物語上のトラブルメーカーともいえる役割を担うこととなった。
合宿のシーンでは、レッスン中に一人離れて休憩する志保に、765の先輩である水瀬伊織が声を掛けるシーンが印象的。
談笑する765プロのメンバーを遠巻きに眺めながら、「同じ舞台にいる限り、皆ライバルじゃないんですか?無駄に仲良くする意味があるとは思えないです」とそっけない志保に、伊織は「アンタにはどう見えてるか分かんないけど、私は今でも皆をライバルだと思ってるし、負けたくないとも思ってるわ」と伝えてドリンクを差し出す。人一倍負けん気の強いお嬢様の伊織が、志保の考えを認めつつも反目しあうだけがライバルではないと諭す名シーンである。

終盤ではレッスンについていけず出演を辞退しようとする可奈と、それを引き留める春香の2人が物語の中心となる。ライブの日程が迫る中、志保は焦りから「もう時間がないんです!」と春香に可奈の事を見限るように詰め寄る場面などもあったが、最終的には春香さんが欲張りなところと器のデカさを見せ可奈は復帰を決意。北沢も春香さんに詫びを入れ、いよいよライブの幕が開く……

ムビマス視聴時では「えらく気合いの入った跳ねっ返りが居るじゃねえか……」くらいだった北沢志保への感情が明確にデカくなったのが、2014年2月開催のアイマスシリーズ初の合同ライブ、「M@STERS OF IDOL WORLD 2014」。そこで披露された北沢志保のソロ曲、「ライアー・ルージュ」のステージである。

(上記動画1:50~)
どえらい美少女がそこにいた。
今や声優アーティストのトップランナーの一人に数えられる雨宮天(あまみや そら)。
当時若干20歳ながら、今へと至る片鱗を見せる歌唱力。そして圧倒的に人目を惹くビジュアルで、俺は完全にオトされてしまった。
「ウソをついてなくちゃ、素直になれない───」
大人びた少女が想いを隠すために、言葉を染めるために引いたルージュ……
キャラカラーの白と、ルージュから連想された赤の2色のサイリウムがステージを彩る。
あの急っかちの跳ねっ返りが、ソロのステージだとこんな表情を見せるのか。
切なさに溢れた歌詞と緩急の効いたクールなサウンド。そしてそれを極上のキメ顔で歌い上げる雨宮天as北沢志保。すっかりヤられてしまった。

その後6月、アッという間にミリオンライブ!初の単独ライブ、
「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 1stLIVE HAPPY☆PERFORM@NCE!!」が開催。その頃の俺は口では「や、俺は『ライアー・ルージュ』という楽曲がメチャクチャ好きなだけでまだ北沢志保と雨宮天に対する態度は保留しているから……」などと嘯いていたが、ライブビューイング終わりには完全にガチ恋限界オタクいっちょ上がりといった様相を呈していた。
その後はあれよあれよという間にミリオン沼にドボン。並行してトラハモ(麻倉もも、雨宮天、夏川椎菜の"ミューレ2期生"、後のTrySailの3人によるラジオTRYangle Harmony)なども聴き始めて雨宮天さん個人のファンにもなり、特にミリオン2ndライブ以降……2015年から2023年現在に至るまでの9年間は、「雨宮天さんが北沢志保さんとして出演したライブ・リリイベにはだいたい行ってる」状態が継続している。

2014年という年は個人的にもライフステージの変化が大きい年で、そこにちょうど北沢志保と雨宮天という存在に激突したために、すっかり向こう10年の生き方を変えてしまった年となったわけである。忘れようもない。

ミリオンライブくんってさ、

閑話休題。このnoteはミリオンライブのアニメについてのお話だったね。
「765プロの先輩の映画に出演!」「キャラデザはA-1Pictures!全員ボイスもソロ曲もあるぞ!」という状態で歩みを進めていたミリオンライブ。2015年には先行するシンデレラガールズのアニメも放送開始し、さーてそろそろミリオンも……という空気はこの頃からずっとあった。あったのだが。
この記事を読んでいる現代のあなたならご存じの通り。
ミリオンライブ!のアニメは2023年8月まで公開されないのである。

突然ではあるが、あなたはコンテンツ総体としての「ミリオンライブ!」に対して、どういう印象を持っているか?と問われたら。
自分の答えは「クラスに一人はいる、ちょっとマイペースで不器用、時々やることが遅いとこがあるけど、話してみると個性が尖ってて面白いし結構義理堅いとこもある、友達になると楽しいタイプ」という感じになる。
どんな回答だ?おおよそコンテンツに対する評価ではないだろ。

既にモバマス(モバゲー版シンデレラガールズ)が先行している市場に同ジャンルのソーシャルゲームで突っ込んでいった時点で、ある意味グリマスの道は最初から険しいものがあったのかもしれない。
これは極めて私見であると念押しをした上でだが、グリマス(或いは後継作ミリシタも含め)の盛り上がりのサイクルは、
「ライブ、新曲の披露で盛り上がる→時間経過で盛り上がりが下火に→界隈に(オイオイ大丈夫なのかこのコンテンツ)という雰囲気がじんわり広がり人心が荒廃する→次のライブや新曲が登場してドカ沸き→時間経過で下火に→」という周期を繰り返している印象が常にあった。(※独自研究)

タイトルに「ライブ」を冠しているコンテンツだけの事はあり、折々に開催されるライブイベントの盛り上がりは本当にものすごい物があった。コンテンツ開始時から全アイドルに声優が配されている、ミリオンの強みが光る場である。
アイドルの声を担当する声優のメンツも非常に豪華で、麻倉もも・雨宮天・夏川椎菜のミュージックレイン同期組に、田所あずさ・Machico・木戸衣吹のホリプロスカウトキャラバン組、他にも上田麗奈、種田梨沙、伊藤美来、愛美……といった、各事務所のエース級女性声優の赫赫たる名前が並ぶ。(例示した人選は大いに推し贔屓あり ご容赦願う)
3rdライブツアーではキャスト37人全員が出演し、それぞれのアイドルとキャストの個性を遺憾なく発揮した。

ライブを彩る楽曲も名曲揃い。楽曲の話をしだすと個々人の好みが大きいので割愛するが、自分はミリオンの楽曲の魅力はソロ曲の充実度にあると思っている。2年目の時点でCDシリーズが「2週目」に入り全アイドルがソロ曲を2曲ずつ持つなど、楽曲によってアイドル個人の掘り下げが手厚く行われている印象が強い。
新しいCDシリーズが出る度に、ユニット曲も含めて全アイドルに新曲が与えられるなど、なるべく格差が出ないように足並みを揃えていく展開が心掛けられている。まあ……投票企画とかもやってるけどね!
正直に言えばもちろんライブの出演機会の多寡やキャラ人気などの差はある訳で、全員が全員完全に平等……とは言えない所もあるが、「一人も手放さない」というスジは通そうという姿勢は一貫している。

純粋にゲームの収益性を高め、より売り上げを伸ばすには、アイドル同士で人気を競わせたり、出演機会やCV実装をかけて投票させたり(ドラマ投票はミリオンもやってる)、ぶっちゃけて言えば「人気のあるキャラ」にリソースを集中してメディア展開するのが手っ取り早く確実な手段であっただろうが、ミリオンライブはその路線は選ばなかったのだ。
……コレ、美談っぽくするのは簡単だけど、自分は別にそういう話をしたい訳じゃない。そういう道を選んだ結果が、現状のシンデレラガールズとミリオンライブ!のコンテンツ規模の差であると、冷静にそう思っている。
ミリを卑下したい訳でも、デレを非難したい訳でもなく、数字としてデレはミリより”稼いでる”し、ライブ会場の規模も大きいし、モバマスはグリマスより長生きした。
敢えてミリオンライブ!に長年入れ込んでるオタクで、シンデレラガールズの事を羨ましく思ったことのない人は、多分いない。

それでも、
それでもミリオンライブ!というコンテンツの在り方に救われた奴は居た。
俺とか。
あと、たぶんここまでこのnoteを読んでくれている人の中にも、そういう人は多いんじゃないかな。

アニメ化という夢、あるいは呪い

シンデレラガールズが分割2クールのアニメ放映を終え、更にアプリゲーム「スターライトステージ(デレステ)」もリリースし波に乗っていくなか、ミリオンライブ!は……絶妙に燻っていた!
2016年の3rdツアー(マジで良いツアーだった)が終わり、2017年春にはミリオンライブ!の目標の一つであった武道館における4thライブの開催が決定していたが、ミリオンのオタクはうっすらと恐怖に震えていた。深夜のタイムラインで「目標だった武道館ライブを達成してしまったら、もしかしてミリオンライブ!はそのままフィナーレを迎えてしまうのでは……」という趣旨のツイートを見かけたのは一度や二度ではない。

しかも4thライブ直前に、ミリPの心を惑わすニュースがもう一つ飛び込んでくる。アイマスブランド内では後輩にあたる男性アイドルプロデュースゲーム「アイドルマスターSideM」のアニメ化が発表されたのだ。
(後発コンテンツでももうすぐアニメ化するのに、もしかして、もしかして本当にミリオンは……)という暗雲立ち込める中迎えた4th武道館ライブ。蓋を開けてみれば……
"765プロライブ劇場、第2幕開幕!"
新作アプリゲーム「アイドルマスターミリオンライブ!シアターデイズ(ミリシタ)」のリリースが決定!
まだまだミリオンライブは終わらへんで!新アイドルも2名増えて39人!39プロジェクト発足や!ヤッタ~~~~~~~!!!!!
ちょうど世界観を再スタートしたタイミング、なおかつ新アイドルも増えてご新規さんも入りやすい最高のタイミング!
いよいよ機会は満ちた!ついにミリオンもアニメ化か~~~~!!!!

くどいようであるが、
その後ミリオンライブ!のアニメは2023年8月まで公開されないのである。

アイマスの慣例として、周年ライブがあると大体アンコール後に事務所の社長や事務員が出てきて、今後の展開について発表する……というくだりがあるのだが、その発表の度にオタクが「おぉ~~~~~~~!?!?!?」と期待に満ちた声を上げる。
ミリシタのリリース後もミリオンの周年ライブに通い、発表パートの度に「おぉ~~~~~~~!?!?!?(アニメ化か~~~~~~!?!?!?)」と歓声を上げた事数知れず。そんなある時、世界を震撼たらしめる、あの禍(わざわい)がやってくる。
新型コロナウイルス感染症の世界的パンデミック。緊急事態宣言。ライブ・イベント業界はコロナの影響をモロに受け、ありとあらゆるイベントは中止・延期を余儀なくされ、ライブ会場で「おぉ~~~~~~~~~~!?!?!?」とクソデカい声を出すのも憚られる時代がやって来た。

ミリオンも当然ながらコロナの影響を受け、2020年5月に予定されていた7thライブが中止に。アイマスシリーズ初の野外ライブの予定は流れ、世間はすっかり自粛ムード。この時期はぶっちゃけあらゆるアニメ系・声優系のコンテンツは雌伏の日々であったと言わざるを得ない。(そしてこの時期に、物理的な「場」を必要としないVtuberが物凄い勢いで伸びてきたのもさもありなん)
アイマス各ブランドも苦しい日々を送ることとなったが、その盛り上がりを「ライブ」に大きく依拠する(※独自研究)ミリオンライブ!はコロナ禍において特に苦境に立たされていたように思う。
酸素(コンテンツが走り続けるためのエネルギー、ぶっちゃけお金)をミリシタやグリマスといったゲームが肺となり取り込み、ライブという心臓が強く鼓動することで楽曲や物語に文脈が乗り、エネルギーが充ちたコンテンツという肉体が躍動する───というのが個人的なミリオンのライブ観なのだが、まさしくコロナ禍の最中のミリオンライブ!は「心臓」を止めたまま走るマラソンのような日々だった。

そんな折に、2020年7月に開催されたミリシタ3周年の記念生配信で、突如40秒ほどの動画が公開された。

ミリオンライブ、アニメ化!?!?!?!?!?!??!???!?
ライブ現地とかじゃなくてニコ生で発表!?
しかも……手描きじゃなくCGアニメ!?
(この映像、もしコロナが無かったらコニファーフォレストでオタク達と絶叫しながらこの映像を観れたのかな~~~って思うと今でも口惜しさがある)

この時までアイマスのアニメは手描き作画によるアニメが通例で、アニマス、ムビマス、デレアニ1,2期、SideMと全てA-1Picturesによって映像化がされてきた。ミリオンも3周年曲Dreaming!のPVや、4周年PVでは手描きアニメだったので、突如公開されたCGアニメは結構賛否があったように思う。
元よりA-1Picturesによって「アニメ調」に作られたキャラクターデザインで、ミリシタでもディテールを抑えたトゥーン気味のCGモデルだったこともあり、等身が高い!髪サラッサラ!目ぇキラッキラ!なCG特報映像に面食らったところは、まあ正直あった。

A-1Picturesからのれん分けしたCloverWorks、そしてアニマスで監督を務めた錦織敦史氏の手掛けた、2021年アイマスブランドコンセプトムービー「VOY@GER」もまた手描きアニメへの憧れをくすぐる事になった。
2021年当時は折しも「シン・エヴァンゲリオン劇場版」公開後で、錦織氏は100億映画の総作画監督を務めた直後のまさに時の人。
CloverWorksとスタジオカラーによるリッチな映像と、モーションキャプチャーから描き起こされた圧巻のダンス。「やっぱ手描きのアニメが見てえよな……」ってつい思ってしまったのを否めない。


コロナ禍の中で色々とスケジュールの変更や遅れがあったものと推察されるが、アニメ化発表から3年(3年!?)、何はともあれミリオンのアニメ開始が2023年に決定。グリマス開始から10年の年だし、23年はミリオンライブの独壇場だぜ~~~〜……とは行かなかった!
先行上映開始前の春クールには、シンデレラガールズからU149のアニメ化が。
上映後、ミリオンがTV放送予定の10月からは後輩コンテンツのシャニマス(アイドルマスター シャイニーカラーズ)のアニメ劇場先行上映が決定したのだ。
前門のU149、後門のシャニアニといった具合にミリアニが前後で挟まれる形となったのである。
先に放映開始したU149はともかく(まあこっちはバンナムだけじゃなくてサイゲの筋のアニメという事もあるが)、同じバンナム(ランティスの筋?)の中でミリオンとシャニアニ被せなくっても良いじゃんかよ~~~!と思ったりもしたのだが、冷静に考えてみればシャニちゃんも5周年を迎えるコンテンツ。いつ始まるのかも分からない先行コンテンツの順番待ちをする義理はないのである!(むしろ2か月ほどとは言え先に放送を譲ってくれて感謝まであるんだよ これが逆だったら「5ブランドの中で一番アニメ化の遅いコンテンツ」の謗りは免れなかっただろうから…)
どのコンテンツも瞬間瞬間を必死に生きてるのである。まあ……アニメ化に10年掛けると界隈がどういう空気になるかは先行するコンテンツが身をもって示しているので……ね……

もしかして本当にアニメ化するのか……?

2023年2月、アイドルマスターミリオンライブ!はついに10周年を迎える。
23年は1月に9thライブ、2月にアイマス5ブランド合同ライブ、4月からはツアー開幕と、"禍"の鬱憤を晴らさんとばかりにライブが目白押しとなった。
1月の9thライブで8月の先行上映が発表され、各ライブも大きな盛り上がりを見せたものの、自分の中ではアニメ化への実感がぜんぜん沸かないまま8月を迎えることになる。
特に4月から開催された10thツアーの前半2公演は、「1st~4th(グリマス時代)」「5th~9th(ミリシタ時代)」がテーマの振り返りライブという事もあり、まだアニメの内容は一切が謎に包まれたままだった。

「もしかして本当にミリオンライブ!はアニメ化するのか……?」
これが上映までの偽らざる気持であった。
だって、10年よ?
ここまで読んでくれた人なら多少この気持ちを共有して頂けるかと思うのだが、ここまでアニメ化を引っ張られると「え、ホントに?〇〇日後にはアニメが始まるの?実はまだ出来てなくて何らかの理由で延期したりしない?」とすら考えていた節があった。自分の目で見ないと信じられないよ。

また実際、本当にミリオンライブ!はアニメ化「できるのか?」という懸念もあった。
何はなくともミリオンスターズは39人も居るのだ。そしてアニメは現時点で1クール分の枠しかない。単純に1話一人お当番……なんてやっている時間はないのだ。
アニメ化発表から3年、ミリオンライブ!が生まれてからは10年間という、あまりにも永い時が流れてしまったのも不安に拍車をかけていた。どうやったってハードルは高くなってしまっている。
半端な映像化では「10年待ったアニメがコレなの……?」と思ってしまう、あるいは思われてしまうのだ。
アニメ化というのはミリオンライブ!が10年間、ずっと、ずっと温存してきた「切り札」である。
映画公開前日、twitter(もう「X」だったわ)で見かけたどなたかのpostで、
「ずっと蔵にしまっていた"伝家の宝刀"が、実は錆びていたらどうしようと思うと、蓋を開けて見るのが怖い」といった旨の投稿を見かけて、いたく胸に刺さったのを覚えている。

そして遂に訪れた、2023年8月18日。
ついにアニメ「アイドルマスターミリオンライブ!」
第一幕の公開が始まる。

ここからは #ミリアニネタバレ感想 だぜ!
ネタバレ踏みたくない奴はブラウザバックだ!
……ここまで読んでくれた人で今更ネタバレを厭う人はおらんと思うけど一応な!



#ミリアニネタバレ感想

おいおいおいおいなんだこのszsh匂わせアニメはよ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
いきなり取り乱しているが、劇場を出て真っ先に俺の脳裏に浮かんだのはこれだった 徳が低すぎる

アニメ、ミリオンライブ!第1幕(1~4話)では、春日未来、最上静香、伊吹翼の「信号機(アイマスシリーズの、イメージカラーが赤系・青系・黄系の各ブランドセンター3人をそう呼び表す慣例)」3人を主人公に据え、彼女たちが765プロに加入し劇場のオープン前に「原っぱライブ」を企画するところまでを描く。ストーリーとしては完全に信号機3人の話がメインで、特に未来と静香の関係性が中心に話が進んでいく。

他のシアターメンバーは(追加メンバーとなる桜守歌織と白石紬以外)既に765プロに加入済みで、特に以前「輝きの向こう側へ!」でアイドル候補生として登場した7人はシアターの「1期生」として、未来たち3人の先輩として登場することになる。この設定がまた絶妙で、アニメ本編の尺を割かなくても、以前からのムビマスやミリオンを知っている人なら「あの世界」、あるいはそれに近しいルートを通ってきた7人なんだな……と視聴者に自然にイメージさせることができる。しかもミリシタでは同時に「M@STERPIECE」楽曲のイベントも開始し、「ミリシタ」とも「ムビマス」の世界とも少し違う、「ミリアニ」のプロローグを体験させて世界観の擦り合わせも抜かりない。

何が楽しみって、かつて「輝きの向こう側へ!」では青い跳ねっ返りを見せた北沢志保が、今度は静香を「後輩」として迎える時、どういう化学反応を起こすのか今から待ちきれねえんだよなぁ~~~~~!!!!!
今まで事あるごとに衝突してそのテの関係性が好きなオタクを喜ばせてきたこの二人だけど、明確に「先輩/後輩」という序列が付いた状態でどういう関係を育むのかが、もう楽しみでならんのですわ。オーディションの時から(あの子……)と不調そうな静香を見守ったり、伊織から直々に「(静香と志保は)雰囲気が似てる」(これを伊織が言ってるってのがまた……ネ!)と指摘されたり、今後のszsh展開が匂わされているので要チェックだぜ。

新規の視聴者には未来の王道アイドル物語に尺を割いてしっかり見せつつ、既存のPには今まで培ってきたアイドル同士の関係性を効率的に用いて描写し満足度を高めるという非常にクレバーな作りのアニメになっているというわけだ!
第1幕パンフレットでは、綿田監督が「ゲーム、コミカライズ、ドラマCD等から再構成したミリオンライブ」「今までのアイマスシリーズより『箱推し』に比重を置いた展開」「脚本の加藤陽一氏によるロジカルな構成」といった表現で、今後の展開が示唆されている。
もちろん現段階ではまだまだスポットの当たっていないアイドルも多いわけだが、第1幕時点で制作側の優れたバランス感覚が伺え、残る2、3幕への期待がグングン高まっている。

アニメ上映までは不安の一つだったCGでの作画もミリオンのアニメとして全く違和感ないレベル……どころか、終始(みんなお顔がいいな……引きの絵でもアップになってもお顔が整っている……)と思わされっぱなしだった。
特に2話のオーディションシーンでは、緊張から調子を崩す静香のテンパった表情の描写に唸らされる。わざと「ヘタな歌い方」「緊張した声の出し方」の音作りも含めて、「CGのアニメでこんな生々しい芝居ができるんだ……」といたく感心してしまった。

アニメオープニング主題歌の「Rat A Tat!!!」は、第1幕のエンドロールとして公開。シアター前の空き地でアイドル勢揃いで歌うサビも、「原っぱライブ」を踏まえて見るとグッと来るものがある。
っていうかOP映像最後の方のアイドル達が連続で映し出されるカット凄くなかった?
10秒もないくらいの短い間にかなしほとかあんゆりとかこのりおとかかおつむとか、これでもかとばかりに女女が詰め込まれていてメチャクチャ迫力があった   これが絶叫上映だったら「うわ!!!!!!!カプ厨のアニメ!!!!!!!!!!」って声が出てたわね(最悪)

9月からは第2幕の上映がスタートするので、もしここまで読んでくれてまだ第1幕を見ていない、そんな奇特な読者の方が居たなら今すぐに公式サイトからお近くの上映館を探して見に行って欲しい。っていうかここまでオタクの独白を読んでくれたのならぶっちゃけそれはもう10年連れ立った仲間みたいなモンだよ。  一緒に長年見守ってきたミリオンスターズの晴れ舞台を拝みに行こうぜ?

そして俺よりも熱心にミリオンライブ!を追い続けてきた同僚Pの方へ。お疲れ様です。
ここまで来るのに色々な葛藤があったと思います。あるいは昔ミリPだったけど色々な経緯で界隈を去った人も居るかもしれません。
もし貴方がまだミリアニを劇場に見に行っていないのなら、どうかもう一度、この一度だけでもいいので、ミリオンライブ!と向き合ってあげて欲しいのです。
劇場ではきっと、貴方がずっと見たかったはずの、夢に描いた「ミリオンライブ!のアニメ」が待っています。
長い助走を経て遂に羽ばたくミリオンスターズの輝きを、貴方自身の目で見届けてあげてください。11月に北九州で会おうぜ。

むすびに

いや話なっっっっっっが!って思った?俺も思った  ここまでで約12,000文字あるらしいですよ   おバカ

「ミリアニ感想、書くしかねえだろ……!」って思ってノコノコと書き出したんだけど、書いてる間に出てきた他の方の感想を漁ってたら思ってた1000000倍くらい評判が良くって絶賛の嵐だったので、そんな中で自分が語るべき事、語りうる事は何だ……?となって内容がだいぶ自分語りにシフトしていってこの有様です。褒められまくってると(いや……ただ平坦な道を歩んできただけのコンテンツでは無かったので……✋)みたいなこと書きたくなっちゃうんだよな   オタクくんそういうとこだよ
まあ俺のnoteだしな、俺が書き残したい事を書いてあればそれでええんじゃガハハ、という気持ちと、あるいは同じような心境を抱えてミリアニを観に行くのに二の足を踏んでいた人の背中を押す一助になったりすれば……などという下心もあったり。
あと俺自身がオタクの執着と愛憎入り交じる長語りを読むのがけっこう好きなので  赴くままに筆を走らせました。笑ってください。石は投げないで。

長らくのお付き合いありがとうございました!
ミリアニ、観てくれよな。

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