ゲド戦記とセリアドの剣
「言葉は沈黙に、光は闇に、生は死の中にこそあるものなれ」(ゲド戦記)
映画「ゲド戦記」(2006年、宮崎吾朗監督)を観た。アースシーでは、闇の力が支配し、神使であるはずの竜同士が戦い続けて、世の中の秩序が乱れはじめていた。そんなときエンラッド国の賢王(小林薫)が、王子のアレンに殺害された。
主人公のアレン(岡田准一)は、心の闇に支配されて父王を衝動的に殺害し、正気を取り戻したアレンは怖くなって国を捨て放浪の旅に出た。そんなとき、獣に襲われたアレンは大賢人のハイタカ(菅原文太)に命を救われた。世界のバランス(均衡)が失われて異変を起こしている災いの根源を捜す旅を共にすることになった。
ハイタカは、魔法学校でも最も優れた魔法使いで「アースシーの大賢人」と呼ばれた。竜と自由に話が出来る能力を持っていたので、「竜王」という魔法使いの中でも稀有な称号も持っていた。竜は、人間よりもずっと長く生きることが出来たため、すべてのことを知っていて人間とは違う「太古の言葉」を話していた。かつて人と竜はひとつだった。
「太古の言葉」は、生まれながらに持っている本質をとらえていた言葉のため、その言葉を唱えると人間や物質を操る力を持っていた。ハイタカの太古の言葉は「ゲド」であり、アレンは「レバンネン」が真の名であった。永遠の生命を得て生と死を支配しようと企む大魔法使いのクモ(田中裕子)は、手下のウサギ(香川照之)を使って、復讐を果たそうとハイタカと「セリアドの剣」を持つアレンを探し出そうとする。
セリアドの剣は、復讐や私利私欲でなく、人を守るため以外では使うことは許されなかった。
ハイタカは幼馴染のホートタウンに住むテナー(風吹ジュン)の家を訪ねた。そして命を狙われるアレンをしばらく家に匿(かくま)ってもらうように頼んだ。
ウサギに捕らえられそうになって、アレンが助けた顔に火傷の痕のある少女・テルー(手嶌葵)も、親に捨てられてテナーの家に引き取られていた。テルーは、自暴自棄になるアレンを嫌っていた。しかし同じように心に傷を負っていることを知るとアレンのことを次第に理解するようになった。ハイタカはテルーの影に竜の姿が映り、不思議に思っていた。そんなとき、アレンはウサギたちに捕らわれて、大魔法使いのクモの城に連れ去られた。クモの強力な魔法で、アレンは真の言葉を知られて、魂を抜かれてクモの操り人形のようになってしまう。
かつてクモは、大賢人ネマールを死者の国から呼び出して、生と死の魔法を使ったことで、世の中の均衡を失い、ハイタカは激怒。ハイタカはクモを黄泉の国の恐怖の底に突き落とした。そしてクモは復讐を誓っていた。果たして、「ハイタカ(ゲド)はクモの闇の世界から光を取り戻して、真の平和をもたらすことが出来るのか、そしてアロンとテルーの運命はどうなるのだろうか?」といった物語です。
令和の時代になってから、世界が混沌となって気候変動や自然災害が多発しています。ゲド戦記のハイタカ(ゲド)のように、地球にバランスをもたらす人物が現れるのだろうか。しかし、世の中の未来を変えるのは私たちの心構え次第なのかもしれない。
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