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嗣人
2021年8月26日 01:28
長年、可愛がってきた愛犬が息を引き取ったのは春の終わり。 短く刻むような、苦しげに呼吸する小さな相棒を胸に抱いて、すっかり葉桜となってしまった近所の桜を眺めた。骨が浮くほど痩せ細り、軽くなってしまった身体が春風に飛ばされてしまわないよう、私は残された時間を噛み締めていた。 目も見えず、鼻も効かず、病魔に侵された身で尚、私の頬を舐める小さな命が愛おしくて仕方がなかった。涙を堪えられない私の