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嗣人
2023年7月2日 09:04
この世の憂さを晴らそうと呑む酒ほど、虚しいものはない。 酔いが覚めてしまえば、現実に打ちのめされるだけ。 茹だるような夏の夜に、ひとり虚しく酒に溺れている自分が酷く情けなかった。恋人を作り、家族を設けている友人たちが立派な大人に見え、そうではない自分は子供のままのような気がしてならない。 電信柱の影に蹲りながら、悪態を吐く自分の有り様が嫌になる。頭は痛むし、指先は痺れる。このまま死ん