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嗣人
2021年5月16日 18:22
苔生した岩の間を淀みなく流れる清流を眺めながら、ぼんやりと缶コーヒーを啜る。遠く山間を彩るような紅葉が綺麗で、紅、黄色、緑。渓谷全体が鮮やかなパレットのようだった。「微糖にしときゃよかったかな。苦ぇ」 行儀悪くコーヒーを啜る俺のすぐ側で、大野木さんが水没した携帯電話を必死になって探している。この寒い中、膝まで浸かって携帯電話を探さなきゃならないとは公務員とは面倒な仕事だ。あれが私用の携帯なら