【2023.09.06】鬱と中学校同期のあまねちゃん


鬱だった。
診察を受けた。
女性の医師だった。
優しい人だった。
どこにでも居そうな。

行きの道で車と2度衝突しそうになった。

時間より10分早く行った。
20分ほど待った。
待ち時間が長くなると、緊張が輪を増すから嫌だ。
手のひらは真っ赤で汗がべっしょり。

市川先生は、トラウマのある苗字だったが、
その悪夢に反したとても優しい人だった。
今まで偏見をもっていた全国の市川さんに謝罪する余裕もなかった。

話している途中はずっと声が震えていた。
手も硬直し、目線はやや下の方で動き続け、肩は少し上がっていた。極めつけは猫背であったことだ。
テンプレ的な陰気なやつの話し方そのもの、といったかんじだった。
情けない。
自分が暗すぎて先生にもとてつもなく申し訳なかった。
会話の端々でクスッと笑ったつもりだったが、恐らく先生からしたら、フンッ(笑)といった嘲笑じみていて、どこか諦めを感じる笑いに聞こえていた気がする。
死にたい。
自分のことを誰かに話すなんて、中学何年生かの時にとうに辞めてしまっていた。
だから上手く伝えることなんてできるはずもなかった。
何度も言葉につまり、先生に気を使わせた。
泣くのをこらえた。
これでも頑張ったのだ。

言い渡されたのは、鬱という診断名と治療方針だった。
そうだよね、うん。と、思った。


映像研には手を出すなを観ていた。
撮り溜めて、DVDに焼いておいたものだ。
11話だけが焼かれていなかった。
12話を見る気力が失せ、風呂に入った。

ふと、小学生の時、動物とホラゲが好きな、あまねちゃんという同級生がいた事を思い出した。

(中学も一緒だった気がする…思い出せない。
ごめんね、あまねちゃん。
苗字も思い出せない。
ごめん、本当にごめんね。
あまねちゃんは、私の事、覚えていますか?)

運動神経が悪かった。
度の強いメガネっこだった。
成績は理科を除いてはてんでダメだった(らしい)。
絵を描いたりもよくしていて、たしか美術部だった。
少し変わっていたので、男子から茶化されたしていた。
身なりに気を使っていなくて、少しむっちりしていた。
目はあんなにパッチリしていて、
大きく開いた眼からなのか、眼鏡の反射なのか、はたまたま知識への飽くなき好奇心からなのか。
彼女の目は、いつも曇ることなく、ダイヤの原石だった。(ように思う)
実際に仲が良かったわけでもなかった。
それでも、彼女の話は興味深いものばかり、私を楽しい気持ちにさせてくれるものだったなと。
ふと、思い出した。

次の人生は、あまねちゃんのように送れるよう、
精進したいと思う。

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