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maki
2022年2月6日 03:33
2.きっかけそれらの平面的な立体は、立体的な色彩に彩られ、部屋の隅にこじんまりと置かれていた。それらは長い間そこに置かれたままにされ、窓から差す陽の光でいくらか色褪せているようにさえ見えた。僕はその平面的な立体に近づき、対象を拡大して観察した。光の粒と呼ぶにはあまりに不清潔な、言わば塵のような粒子もまた陽の光を反射し、物体の周りを漂っていた。それらの粒子は次第に細かくなり、一瞬のうちに僕の視界
2022年1月16日 00:41
0.プロローグキッチンでは、嫌なことばかり考えて、嫌なことばかりを思い出した。ちょうどニ年前、つまり一昨年の夏に彼女と別れた。無論彼女のことは愛していたし、彼女も僕のことを愛した。それでも別れてしまったのは、それこそどうしようもない話だった。単純さが故に言葉にできない複雑な事情なんて、辺りを見回せば案外そこかしこに散在しているのだ。彼女と別れたその日に、深夜のキッチンにやけに白い照明を灯