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夢をかなえるゾウが、はじめて夢を手放すことを伝授した

夢を持つことが良いことだと決めたのは誰なのか


「夢をもつことを悪い」と考える人は、少ないだろう。
例えば、ドラマや漫画でよく目にするのは大きな夢に向かって頑張る主人公の姿だし、小学生の作文のテーマでは「将来の夢」がよく取り上げられる。

また将来について、両親など周囲の大人から質問責めにあった経験をもつ人もいるだろう。「夢をもつことはいいことだ」というイメージを、わたしたちは当たり前のように持っている。

いっぽうで多くの人が、夢を叶えようと努力する友人にコンプレックスを抱いたり、夢がない自分を責めたりした経験があるのではないだろうか。

夢をもつ人はきらきらと輝いて見えるからだ。夢がない人からすると、なおさら夢がないことを良くないことだと考えてしまう。

夢をもつことはいいこと。
知らず知らずのうちに、そうした洗脳されるような空気が至る所で漂っている。しかし「夢をもつことはいいこと」だと、果たして言い切って問題はないのだろうか。

問題ないとすると、その理由をわかりやすく誰かに伝えられるだろうか。
そもそも一体誰が「夢をもつことはいいこと」だと決めたのだろうか。
ふつふつと込み上げる、こうした問いについて『夢をかなえるゾウ4』では、丁寧に取り上げられている。

『夢をかなえるゾウ4』は『夢をかなえるゾウ』シリーズの4作目となる。過去に出版されたシリーズでは、神様であるゾウの姿をした「ガネーシャ」が、主人公に対して夢をかなえる方法を教えてきた。
主人公は「課題」をこなす形でガネーシャから教えを乞い、夢をかなえるべく奮闘する。累計400万部を突破する人気シリーズだ。

ところが4作目では今まで触れられていなかった、夢をもつことの根本に焦点が当てられている。夢をかなえることに焦点をあてた過去のシリーズとは、決定的に異なる作品なのだ。

夢を手放したいと願うのも、夢のひとつ


『夢をかなえるゾウ4』でも過去のシリーズと同様に、主人公は夢をかなえる方法を学んでいく。しかし物語が進むにつれて、夢をもつことが全面的に肯定されていないことに気づかされる。夢をかなえる方法を、ガネーシャが主人公に伝授してきたにもかかわらずだ。これが過去シリーズとは全く異なる点だ。

夢のマイナス部分を取り上げることで、「夢をもつこと」の意味についてわたしたちが考える機会を与えてくれる。

 ここでポイントとなるのは、主人公が「夢をもつことを悪いこと」だとは思っていないところだ。夢を追いかけることでここまで頑張れた経験が、主人公にはあるからだ。

夢があることは、どうしてもやりたくない苦手なことや泣きたくなるほど苦しいことを、乗り越えられる原動力となる可能性を秘めている。例えば、遊ぶ時間を削って受験や資格勉強したこと、好きなことを仕事にするために多くのことを犠牲にしてきたことは、どうしても叶えたい夢だったから頑張れたのだ。

それは主人公も同じだ。今までの頑張りがよぎり、夢のマイナス部分をガネーシャから聞かされるものの受け入れられず、不安そうにする。そんな主人公に対してガネーシャは、夢を追いかけて頑張ってきた主人公をやさしく肯定する。
同時に夢を追いかけることで苦しんでいる主人公に対して

『夢を手放したい』ちゅう夢を持ったなら、その方法も教えられんねんで

夢をかなえるゾウ4

と語りかける。夢を手放したいと願うのも夢だ、とガネーシャは言う。

 「え、手放しちゃってもいいの?」と思わず聞き返したくなる急展開のストーリーだ。その目が覚めるような展開に、はっとさせられる。夢とは人が願ったもの。どんな小さなことも自分ではダメだと思うことも、人が願うものは全て夢だとガネーシャは教えてくれる。

今日は甘いものをお腹いっぱい食べたい。仕事のない休日はずっと家で寝ていたい。そんな小さな願いも夢になる。

どんなことも願いは夢になる。そう考えてみると、手放してはいけないと考えるのは思い込みで、夢を手放すことは良くないことではないと気づかされる。

夢は幸せになるための手段でしかない

ガネーシャは、前作までのシリーズでは「夢をかなえる方法」を教えてきた。それに対して『夢をかなえるゾウ4』では「夢を手放す方法」も教えてくれる。

もしあなたが夢を追いかけることに疲れたり、夢がない自分を責めたりしているとしたら、夢によって苦しい思いをしているとしたら、今まで見えなかった新しい視点に出会えるだろう。

 夢を手放すことは、簡単なことではない。心から叶えたいと願っていたのなら、なおさらだ。今までの努力や犠牲にしてきたことを否定することになるかもしれないし、頑張る活力を失うかもしれない。

しかしどれだけ頑張っても、夢が叶わない時はある。例えば、受験や就職で第一志望のところにいけなかったこと、恋愛で相手とうまくいかなかったこと、スポーツをしている人なら試合に負けて悔しい思いをしたこと。頑張った分だけ叶わなかったときの落胆は大きい。

 ガネーシャは「人生の目的は幸せになること」と定義している。つまり夢をかなえることは、幸せになるための手段でしかない。たしかに夢を追いかけているときはきらきらして見えるし、夢をかなえたときは達成感がある。

けれど夢に縛られすぎて不幸になるのなら、夢を手放してもいいのだ。

今あなたは夢に縛られていないだろうか。夢を叶えないといけない、夢をもたないといけない、といった「しなければならない」という考え方によって不幸になっていないだろうか。少しでも夢に縛られてくるしい思いをしているのなら、一度ガネーシャの教えを聞いてみると閉じていた視界が開けるかもしれない。


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