45:2023/6/30 大人語講座メルマガ 第27号:全員が全員完璧じゃない、他

突然ですが、今月の筆者は今更ながら、結局のところ一人一人に必要になるスキルっていうのは個別性が高いという事実に直面しております。これは大人語講座自体を部分的には否定することになるので色々と考えさせられております。

何が起きたかというと、今月の筆者の職場で、一緒に仕事をしている後輩というのがまぁ仕事ができなくてですね。かなり困ってしまったのです。ここまで仕事ができない後輩というのは初めてで、色んなところで実害が出てしまう状態です。もちろん、先輩として適切な指導ができていたかというと、結果から見ればきっとできていないんだろうなと。できていないからこういうことになるんだろうなと。今まで、実に多くの後輩達と仕事をさせてもらいましたが、ここまでのことはなくて、大体みんな、普通に仕事ができるようになっていったものです。なので、今回も普通にできるようになるものと思っていました。でも、今も現在進行形でことごとく足を引っ張られまくる有様です。

この後輩、実は学歴は東大なんです。だから、勉強は物凄く出来るんですよね。でも、仕事は恐ろしいほどできない。仕事以前に責任感というものすら感じられない。やりたいという気持ちはあるようだけど、全てが上手くいかない状況です。一応、仕事の適性を見る審査をクリアして同じ職場にいるので、何がこの後輩をそうさせてしまうのか、かなりの謎でした。確かに、良く言われることとして、学歴と仕事の出来・不出来というのに関係はないというのは全くその通りだと思います。確率論的に、学歴が高い人の方が仕事ができる人が含まれやすくなるのかもしれないけど、必ずしもそうとは限らない。というか、そもそもここで言う仕事というのがどういうものなのかという定義にも依るでしょうね、という話もあるし。

とした時に、もうこれは、その後輩の得意・不得意ということでしかないんだろうなと思うようになりました。そう考えると仕事の適正を見る審査をクリアできた理由が判然としなくなってしまうんですが、まぁ、まぐれでクリアということもあり得るでしょう。単純に、勉強は日本トップクラスにできるんだけど、たまたまその職場での仕事が苦手であった、ということでしかないんだろうな、という割り切りです。得意なことはきっと他にあるんだろうな、という考え方です。

これはチーム的には結構悲劇です。めちゃくちゃできるっぽいということで入ってきた人材がただ足を引っ張るだけの存在だったというのは、周囲的には勘弁してくれということでしょうし、本人的にもストレスを感じることが増えてしまって誰も得をしないのです。遅かれ早かれこの後輩はクビになってしまうと思いますが、チームの不和が生じ、みんなの幸福度が下がっていくのを見るにつけ、なんかもう、今月の筆者は悟りの境地に達することになりました笑

別に、不得意なことは不得意で良いし、その不得意というものが全く良くなる気配がないのであれば、すぐに異動なり、違う会社に転職なり、そうやって自分に合うところを探せば良いだけじゃないか、と。そもそも全員が全員完璧である必要もないし、ちょっと不得意な程度のことであれば周囲が補えば良い。全くできなくてスキル向上の余地がないのであれば、もうそれは、放っておいても大丈夫な環境に身を置けば良いじゃないか、という気持ちです。自分だって、今の職場じゃないところにいけば、まるで使い物にならない人材になる可能性は高いわけですしね。

そう考えてくれば、自分が目指すゴールみたいなのがあって、それを達成するために「絶対にできないといけないこと」「不得意でも助けてもらえそうなこと」「不得意で放っておいても何とかなること」みたく自分のスキルを分けることができそうだなと思った次第です。

そう考えると、大人語講座は、「外大生が将来、何等かの価値を誰かに提供して報酬を得る方法をお伝えする講座」ではありますが、そもそもそれ、要るかな?などと思ったりもしたわけです。別に、手に職を持って働かなくても、お金を持っている人に金銭面でサポートしてもらう、ということさえできれば、実は大人語という技術は「絶対にできないといけないこと」ではなくて「不得意でも助けてもらえそうなこと」に変わっていくわけですね。だとすると、もはや世の中の多くのことは「不得意でも助けてもらえそうなこと」に収まってくるのではないかと感じます。「絶対にできないといけないこと」というのは逆に、あまりないかも?とすら思えてきます。

「不得意で放っておいても何とかなること」も多そうです。今月の筆者は大人数での飲み会など、非常に苦手ですが、まぁ、別に行かなければ良い話です。職場のみんなと昼ご飯、というのも、別に行かなければ良いし、最近だとおひとり様の席みたく、一人焼肉も一人カラオケも、なんだか一人を好む人に優しいサービスも増えている気もしますし。もちろん、そういうのは多くの人とご一緒した方が得るものが多いのは間違いないことも知ってます。知ってますけど、まぁべつに「不得意でも放っておいても何とかなること」も実際問題は結構あるんだろうな、ということでしょう。

ということで、全員が全員完璧じゃないし、できなくても良いことだってあるし、苦手なことは助けてもらえる環境にいけば良いのかもしれないし。なんだかそう考えるとふと色々なことが楽になってきました。そうは言っても、これはゴールを何にするかによって変わってきますけどね。外大生が将来「世界を飛び回って、世界中の課題を解決して活躍したいな」と思えば、やっぱり大人語という技術は「絶対にできないといけないこと」になりますしね。結局は、ゴールをどう置くかですね。ただ、ゴールをどう置いたとしても、誰にだって得意・不得意というのはあるわけですから、なんかもう、上手く立ち回れるなら、無理に不得意なことを得意にしなくても、そのままでも良いんじゃない?というお気持ちです。先ほど紹介した後輩の話も、普通に、得意なことが活かせる環境に身を置けば何の問題もない、という話かと思います。むしろ、その後輩の適正を見破れなかった側の落ち度なのではないかとすら思うようになった次第です。とともに、どうしようもない場合は仕方ないけど、全員が全員、完璧じゃないわけだから、誰かの弱点を補えるように自分が動かなくちゃな、と改めて感じた徒然でした。

じゃあ大人語講座はどう捉える?という話でいけば、先が見通せない時代で誰も正解を知らないし、こういう悟りの境地にくると、別に後輩のことを厳しく指導しなくても良いかな、とか思っちゃいますし、なんか厳しく指導したらすぐ辞めちゃいそうだし、とか上の立場の人達は思いがちだとすると、もはや若い人達は自分自身で色んなスキルを学ぶしかなくなってくる時代に突入している感じすらあります。となった時に、自分で学ぶためのある種の「ガイド」が他大生に比べて外大生は著しく欠如してしまう傾向にあるという仮説があるのなら、大人語講座はそのガイドとして充分機能するだろうな、という捉え方だろうと思いました。引き続き、外大生にとってのさらなる学びに繋がるような企画を出せるように邁進いたします。

さて、徒然はそのぐらいにして、今月はニュース的にはVポイントの話とか、GoogleがEUで独占禁止法の警告を受けたり、米当局がAmazonを提訴したりというニュースが出ていました。これらも、相変わらず過去のメルマガで予言されていたので、ここにそのリンクを記すという手抜きメルマガにしたいと思います。

今月大きな報じられ方をしたのはカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とSMBC(SMFGとも言う)がポイント事業を統合する、という発表をしたニュースです。これは最近よくウェブやテレビでも見る、銀行・カード・証券・保険などをスマホベースでグループ力を活かしながら一体提供するSMBCのOliveというサービスとも絡む話です。ここでの共通ポイントはVポイント。それに、CCCが手掛けるTポイントが統合されるなかで、名前をVポイントにしてしまおうという話です。Vポイントは会員数が少ないのが弱点でしたが、Tポイントとの統合でこの弱点を補うことができる流れです。この話は、以下の2つを読んでおくと理解がすすむと思います。特に2つ目。

・PayPayが加盟店から手数料を取るそうで

・SMBCとSBIの資本提携

そしてGoogleやAmazonがなんだかまたきな臭い感じになっていますが、これも今に始まった話ではなく、こちらを読んでいれば容易に理解可能です。

・インフルエンサーとプル型コミュニケーション

さて、今月も大変な手抜きで参りました。手抜きではあるんですが、本当に、最近の傾向としては過去のメルマガがそのまま未来の予言になっているので、普通にこうなる、という感じです。来月以降、またそうでもないニュースが出てくれば、改めてご共有できればと思います。

今月もお読みいただき、ありがとうございました!

大人語講座講師有志一同

お知らせ----

大人語講座として不本意ながら実施している就活講座については以下をご参照ください。

ここまでのお話の根底にあった大人語講座については以下をご参照ください。

ここから先は

0字
多磨という僻地で主専に忙殺され、都会の他大生との交流で自分から社会性が失われていることに気付く外大生は、何を意識して学生生活を送れば良いのか。似た気持ちを味わってきた卒業生達から、現役学生に余すことなくお伝えします。分量は20万字超で、一般的な200ページの書籍2冊分以上のボリュームとなっています。

卒業後すぐに必要となる「正解の無い問いに対してクリエイティブに答えを創る技術(=大人語)」を、世界でバリバリに働く卒業生から現役外大生に教…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?