07:面接官が面接やグループディスカッションで見ているポイント(面接官経験者より)

本講座もいよいよ最後です。前回までで自己PRの高め方を具体例とともに記してきましたが、今回はその後、採用に向けた選考に入る部分です。多くの企業では、事前に学生が準備してきたエントリーシートで本選考に進む学生を振り分け、筆記試験や面接、グループディスカッションといった選考に進んでいきます。本項では、筆記試験については触れません。また、グループディスカッションについても評価軸の観点から多少触れたいとは思いますが、この学びには経験の場数が必要となりますので、大人語講座リアル版や大学で実施されるセミナー等々で実際にロールプレイングを通して学んでいただいたり、大人語講座書籍版のプロジェクトファシリテーションの項で技術的な面の知識のインプットをしていただくことを推奨します。正直、こういった文字で学ぶタイプの独学での対策には限界があるでしょう。ということで、主には面接についての話をしていきます。本項で触れる予定のテーマは以下の通りです。

―本項の概要
―免責事項
―面接官の仕事と評価方法と評価軸
―グループディスカッションを見る試験監督の仕事と評価方法と評価軸
―補足:面接における就活セクハラへの備え

では、早速中身に入っていきましょう。

<本項の概要>
主に企業の採用活動における面接とグループディスカッションという選考について、学生としてどう対策していくべきか、具体例を通じて説明していきます。なお、本項ではグループディスカッションについて割くボリュームよりも、面接について割くボリュームの方が大きいです。グループディスカッションについては前述の理由から、大枠の考え方と評価軸の話のみ示します。面接の「具体的」な対策と言っているのは、仮に前回の項で作成したような自己PRで書類審査を通ったのであれば、こういう点を面接官は明らかにしたがる、というような説明で具体性を担保していきます。なお、本項は過去に面接官の経験がある卒業生、グループディスカッションでの評価経験がある卒業生監修のもと、オフレコで展開していきます。

では、いつものように免責事項です。

<免責事項>※前回とほぼ重複しますが念のため記します
本題に入っていく前に心苦しいお断りがあります。大変申し訳ないのですが、当たり前のことながら、ここから先の内容は「『必ず』成功できる」という類のものではありませんのでご注意ください。「『絶対』狙い通り内定獲得できる」ノウハウが世の中にあれば、こんな楽な話はありません。残念ながらそれは不可能です。我々が提供できるのは、あくまで、一定の定量的な経験に基づく方法論です。これは後でも触れますが、確実に成功する方法を示すのは難しいのですが、確実に失敗する方法を示すことは比較的容易です。以後示していく内容は、確実に失敗する外大生の事例を数多く見てきた視点から失敗をなるべく避け、成功する確率をできる限り高める、という考え方でお伝えしていく内容です。よく言われることなのですが、就活というのはどうしても「運」の要素が絡みます。面接という手法を取り入れる以上、あるいは最終的には人が内定者を選ぶ以上、合う/合わないという相性の問題は出てきてしまいます。本気で合わない人が自分の面接官になってしまった場合、それはもう運が悪かったとしか言いようがないことになります。一方で、今も昔も「実力」が重要な要素であることも疑いようのない事実です。ここで言う「実力」が何を示すのかは講座の肝になってくるので講座内で詳述しますが、その「実力」を最大限に高めておくことで(実力を下げる方法を取らないことで)、「運」が回ってきたときに確実に自分のものとする、というのがコネ無し就活生の基本的な就活の戦い方になってきます。そのあたりの機微について、本題に入る前に明記しておきたいと思い、補足させていただきました。

また、本講座は自分の関心があるところをつまみ食いできるように設計しているつもりですが、それでもどうしても前回までの内容を踏まえないと理解度が浅くなってしまう場面もあるかとは思いますのでその点も頭に入れて読み進めていただけますと幸いです。特に本項は最後の項という性格上、今までの講義を全て積み重ねてきた前提で書かれているため、この項を読むだけでは物足りなく感じられる可能性が高いですし、効果も半減するかと思います。また、面接やグループディスカッションという選考は、企業によってその実施方法、評価基準といったものが異なるものです。ここでは、様々な企業に共通するであろう最大公約数的な考え方の基に話を進めていきますので、その点についても予めご了承ください。

では、最後まで、一気に参ります。

<面接官の仕事と評価方法と評価軸>
新卒の就活では様々な都市伝説が流れていて、何やら一発芸をしてメチャクチャウケたら内定が出るとか、その手の話が大量に出回っています。もちろんよく言われるように、それらの都市伝説で言われているようなことが仮に本当にあった出来事だったとしても、「内定が出た」ということは結果に過ぎず、ウケることをしたから内定が出た、というわけでは必ずしもありません。面接官経験者に言わせれば、内定が出た理由は、その企業が持つ評価指標を知る面接官が、その評価指標に則って数分間で学生の採点をし、他の学生との相対評価でその学生の点数が結果的に高かったからです(ちなみに面接官は一人ひとりの学生に対して絶対評価で採点するように言われているケースが多いと思いますが、最終的には相対評価にせざるを得ないのは自明です)。要は、面接官は評価軸を持っていて、そこにその学生がハマるかどうか、というのが内定可否において一番大きいということです。もちろんその企業の評価軸の中に「面接官を笑わせる能力」という評価項目があるのであれば、面接中に面接官を笑わせることができる学生は内定に近づくわけですが、そこまでピンポイントな評価項目を持っている企業は稀だと思います。多くの場合は、相手を笑わせる、みたいな楽しく会話を成立させる能力というのは「対人能力」といった大枠の評価軸の範疇で総合的な得点に結びついているはずで、「笑わせる能力」というピンポイントな評価軸で得点に結びつくことはないと考えて良いでしょう。

だとすると、面接官達が持っている評価軸というのは一体何なんだ、という話になってきます。この点について、以下にオフレコで記していきます。

そもそも面接官にはどういう使命があるのかと言うと、

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