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TABU tabloid

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共同主宰・たかやまのアート・レポートなど *tabloidはメンバー個人が作成するマガジンです。 *マガジントップ画像:齊藤智史氏の“イシキ”より
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#展覧会

透けているけど、明らかにそこにあるもの。

川端さんの絵は藝大の学部時代から拝見していて いつもその精緻な鉛筆の表現に驚嘆してきた。 しかしながら、川端さんはただ正確に対象物を描くということではなく 人と人(あるいは対象となるもの)との間に横たわる相互作用の不全を描いている印象がある。 歪んだ(あるいは歪められた)目元。その視線は行く先を失い、 見るものもキャンバス上の人物の目線を捉えることはできない。 やがてその視線が捉えたであろう人物たちが、霞の向こうに現れる。 けっして焦点が合うことはなく、ディテールは定かでは

そこに封じ込められた時代感。

パナソニック汐留美術館 開館二〇周年記念展 「ジョルジュ・ルオー かたち・色・ハーモニー」 汐留にジョルジュ・ルオーを見に行った。 パナソニック汐留美術館は、開館以来、ルオーの作品を継続的に収集し、 二〇二三年三月時点で二六〇点を所蔵しているそうだ。 今回は、フランスや国内の美術館などから、国内初公開作品含む 初期から晩年までの代表作約七〇点が展示される。 〝かたち・色・ハーモニー〟とは、ルオー自身の言葉。 理想の装飾芸術を目指すうえでのルオー自身が掲げたモットーだという

確固たるしなやかな存在。

波能かなみさん個展【Girls in the Paper.】(〜9月30日まで) @ギャラリーそうめい堂 波能さんは武蔵野美術大学油絵学科版画専攻を卒業したあと 2018年に、東京藝術大学大学院美術研究科版画研究室修士課程を修了した 作家さんだ。 初めて作品を拝見したのは 【第66回 東京藝術大学卒業・修了作品展】‬‬の 「ひとであること」と題された展示だった。 階は忘れたが、絵画棟の端の部屋で 波能さんの描くふくよかな女性たちは、 和紙で囲われた空間に身を委ね、 鑑賞者