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TABU tabloid

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共同主宰・たかやまのアート・レポートなど *tabloidはメンバー個人が作成するマガジンです。 *マガジントップ画像:齊藤智史氏の“イシキ”より
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#open_letter

時空冷凍庫から取り出された、解凍できないメッセージ。

キンマキさんの画をはじめて拝見したのは、五美大展だった。 「木を見て森を見ず」という作品である。渓谷の河原に、豆粒のような人物たちが描かれている。自然の大きさを感じさせる画だ。もう一枚のキャンバスには、その人物たちがバーベキューをしているシーンが描かれている。背後に川が流れている。そしてもう一枚。今度はバーベキューの網の上がクローズアップされている。バーベキューをやっている人物のスニーカーがわずかに描かれている。 あたかもドローンで空に舞い上がったごとく、あるいは河川敷数十セ

子どもの頃と交信する、私小説のような作品たち。

上北沢にあるギャラリー「Open Letter」で室井悠輔さんの「Bサイ教育」(会期終了) という展示を見た。室井さんは1990年、群馬県生まれ。2019年に東京藝術大学大学院美術研究科グローバルアートプラクティス専攻を修了した作家だ。 それにしても、いつも「Open Letter」にお邪魔するのは、展示最終日になってしまう。なぜだろう。 ま、それはともかくまずは、室井さんのステートメントから言葉を抜き出してみよう。 室井さんの展示作品数は、このギャラリーとしては多い方

分け入っても分け入ってもたどり着けない。

山本亜由夢さん個展「我々の休暇」 アーツ千代田3331から上北沢の一軒家に移転した Open Letter。 オーナーの自宅兼ギャラリーとなった。 ギャラリー部分は、DIYで仕上げられ、 漆喰の壁塗りワークショップに私も参加した。 いやぁ、楽しかった。 上北沢に来ても、土曜日・日曜日のみ開廊のスタイルは変わらない。 これがなかなかにハードルが高い。 そしてパンデミック。 そんなさなか、オーナー家は三人家族となった。 壁塗り以来お邪魔できずにいるうちに いろいろなものが動