解いた周縁に起ち上がるのは線なのか。
もう随分時間が経ってしまった。鎌倉に三瓶玲奈さんの個展を見にいったのは八月の下旬のことだ。その日は美学者で一般社団法人「哲学のテーブル」代表理事の長谷川祐輔さんと詩人のカニエ・ナハさんを迎えて三瓶さんが語るというトークイベントも用意されていて、一通り画を拝見した後にそこに紛れ込ませていただきもした。
三瓶さんは日頃、まるで修行僧のように線を描くプラクティスをこなしている。手首を固定してスライドした線や、キャスターごと身体を移動させたときの線など、とにかく線を引いている。その