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TABU tabloid

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共同主宰・たかやまのアート・レポートなど *tabloidはメンバー個人が作成するマガジンです。 *マガジントップ画像:齊藤智史氏の“イシキ”より
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2023年6月の記事一覧

透けているけど、明らかにそこにあるもの。

川端さんの絵は藝大の学部時代から拝見していて いつもその精緻な鉛筆の表現に驚嘆してきた。 しかしながら、川端さんはただ正確に対象物を描くということではなく 人と人(あるいは対象となるもの)との間に横たわる相互作用の不全を描いている印象がある。 歪んだ(あるいは歪められた)目元。その視線は行く先を失い、 見るものもキャンバス上の人物の目線を捉えることはできない。 やがてその視線が捉えたであろう人物たちが、霞の向こうに現れる。 けっして焦点が合うことはなく、ディテールは定かでは

そこに封じ込められた時代感。

パナソニック汐留美術館 開館二〇周年記念展 「ジョルジュ・ルオー かたち・色・ハーモニー」 汐留にジョルジュ・ルオーを見に行った。 パナソニック汐留美術館は、開館以来、ルオーの作品を継続的に収集し、 二〇二三年三月時点で二六〇点を所蔵しているそうだ。 今回は、フランスや国内の美術館などから、国内初公開作品含む 初期から晩年までの代表作約七〇点が展示される。 〝かたち・色・ハーモニー〟とは、ルオー自身の言葉。 理想の装飾芸術を目指すうえでのルオー自身が掲げたモットーだという

測れない距離感の向こう側。

インスタで開催されていることを知ったムラタ有子さんの展示に伺った。 六本木通りを西麻布方面へ。けっこう歩いたところで、右に折れてすぐ。 ギャラリーサイド2。初めて伺うギャラリー。 ギャラリーには鍵が掛けられていて、インターホンを押して来訪を告げる。 すると二階からギャラリストの島田さんが下りていらして解錠してくれる。 この展示は、新作油彩画一四点と新旧ドローイング六点で構成されている。 ムラタ有子さんを拝見するのは初めてだと告げると、 基本的な情報を的確に伝えていただいた。

オフの微笑みにほっとする。

三好桃加 初個展「仁王像たちのオフの日」  寺院の山門に二体一対で立つ仁王像。ここから先に仏敵を入れないために日々守護についている。現代ではこの仁王像たちもそれほどの激務をこなしているわけではなく、休日には休日の仁王像たちがいる。それをユーモラスな視点でものにしたのが、東京藝術大学大学院文化財保存修復彫刻研究室を二〇二二年三月に修了した三好桃加さんだ。  彼女の作品は、藝大の卒展・修了展で大いに話題になったそうだが、事前予約のチケットが取れずそれを真に受けて当日に行ってみる