同人小説「だけ」で暮らしていきたいなら、まずは1年で100万字書きましょう①
こんにちは、千賀つづらです。
普段は小説やシナリオなどを書いて暮らしている、いわゆる同人作家です。
大きな数字を出す、いわゆる「釣りタイトル」は苦手なんですが、1年で100万字は釣りでもなんでもなく私が実際にやっていることでもあります。
私は普段、成人女性向け(乙女向け)の小説を書いて暮らしています。
商業で年に数冊、同人では大体年に10作ほど制作しているんですが、専業で物書きをしていると言うと、たま~にこういう相談をいただきます。
「自分も小説だけで食っていきたいんだけど、どうしたらそんなことができる?」
そう聞かれた時の答えが、タイトルです。
同人小説「だけ」で暮らしていきたいなら、まずは1年で100万字書きましょう。
…実は、正確にはちょっと違って、こんな風にお話をします。
1年で企画を20本・小説10本書くか、あるいは100万字書きましょう。
そう言うと、大概はちょっとがっかりした反応をされます。
「違うんだよなぁ、そういうのじゃなくて…」と、明らかに落胆されたこともあります。
でも、私はこの方法しか知らないし、この方法でなんとかやっていっています。大分パワータイプというか、数で押し切るやり方なんですね。
しかし、上記の数字が大変大きいものだというのは私もわかっています。
では、どうしてこんなこと言うのか、その理由を説明していきたいと思います。
「小説だけで食べていく」はプロだって大変
よく「デビューしたけど、専業作家でやっていくのは大変」みたいなことをプロの作家さんがおっしゃっているのを、聞いたことはないでしょうか。
それと同じで、同人作家だって専業でやっていくのは結構大変です。
DL同人の利益率とかは販売サイトを見ていただければ掲載されているんですが、大体売値の半額程度が著者の手元に入ってくると思ってください。
一般的な商業で出回っている小説の印税が10%、あるいはそれ以下と言われているところ、半分、つまり50%というのは非常に大きなものに見えます。
ですが、商業と同人ではそもそも出回る量が違います。
特に女性向けの同人ノベル界隈に関しては、思っているよりもまだまだ人口が少ないです。
同人ノベルはまだ市場が小さい
例えばマンガだと、DLsiteさんでトップクラスに売れている作品が35万本程度。
音声だと大体3万本。
では小説はというと、約5600本です。
女性向けのノベルで一番売れている作品ですら、売上本数的には音声作品の1/5にも満たないのです。
もちろん、音声やマンガに関しては制作費が小説のそれとは比べ物にならない場合があるのですが、今回は割愛して単純計算しました。
これを更に商業ラインに乗っている作品と比べると…
とてもじゃありませんが、寡作で「食べていく」ことが難しいというのは理解していただけたかと思います。
というか、そもそも私が主戦場としているDLsiteにおいて、ノベルジャンルは「小説売ってるんだ!知らなかった!」とびっくりされるレベルだったりします。
更に小説は、漫画やイラストと違ってパッと見で「あっ、この作者好き!」となる要素が皆無ですから、とにかく数を出して作者の認知度を上げていくしか方法がないのです。
自分が「寡作の天才」だとは思わない
しかし、それでも、人というのはどこかでこんな気持ちを抱いてしまいます。
「いや、今書いている話はすごく面白い。もしかしたら1年で1万本売れてファンが増えてめちゃくちゃ褒めてもらえてウハウハに…」
もちろんそう思うことは間違ってないですし、私はむしろそれくらいの気概で作品制作をした方がいいとすら思っています。
ですが、「だからこそ寡作でいい」とは思わないでほしいです。
どんな名作でも、どんな良作でも、このコンテンツ飽和時代では一瞬で埋もれてしまいますから。
寡作ながらも爆売れする一部の天才というのは存在しますが、自分がそうなるという未来はあまり考えない方がいいです。
むしろ「めちゃくちゃ売れたら速攻で次の作品を出す!」くらいの気合を入れていた方がいいまであります。
そしたら「お、あの作品の作者、もう新作出してる!」となって、手に取っていただきやすいですから。(ある程度作品を手に取ってもらえると、サイトによってはトップバナーに掲載していただけることもあります)
ヒットした時のブーストは、さらなるヒットのために使いましょう。
まずは企画20本、小説10本書いてみる
さて、前置きがとっても長くなってしまいましたが、そろそろ本題に入ります。
前述したように、同人小説(この場合は私が主戦場としている成人女性向けの一次創作同人)だけで暮らしていこうと思うのなら、企画を20本立ててみましょう。
そこまで厳密に考える必要はありません。
これくらいのざっくりとしたアイデアで構いません。
これを20本です。
なぜ企画を20本出すのか
なぜ小説が10本なのに企画を20本考えるかというと、大体20本も考えれば半分がボツになったり、二つの企画をひとつにまとめたりして話が膨らんでいったりした結果、より良いものが残るからです。
ただ、数多くの企画を立てて精査するのもいいですが、「小説のネタ100本ノック!」とかいって膨大な数を考えようとすると、やってられなくなって大概頓挫します。
登場人物の属性とかも、かぶってOKです。
悪役令嬢が3回続こうが、人生に疲れたOLが7人いようが、この段階では問題ありません。主人公の属性がかぶっていても、ストーリーライン如何では全く別の物語になります。
書き方も、1つ「これ!」と決めた企画を小説として書き出しながら、頭に思い付いた企画を3~4本まとめて考える、とかでも大丈夫です。
私は手を動かしている方が頭が働くので、大体1本の小説を書いている間に企画を4つほど出して、隙間の時間で内容を精査しています。
そして作品を作っていく
そして内容がある程度固まった作品から着手し、小説として形にしていきます。
簡単であってもストーリーを入れ、更に複数回のサビ(そういう行為のことです)を入れるのならば、大体4~5万字は必要です。
なのでこの時点で4~5万字×10作=40万~50万字書かなくてはいけません。
ここでタイトルの「100万字」を見た方は、「あれ、100万とか言っときながら50万字しか書いてないじゃん」と思うかもしれません。
確かにただ小説を書いて売るだけだったら、これだけで充分です。
ですが、ある程度「書いている人」を覚えてもらい、そこから購入につなげるためにはもう少しコンテンツが必要です。
ですが、今回は長くなってしまったのでこのあたりで一度切りたいと思います。
次回は更にコンテンツを拡充し、作品や作者の認知度を上げていく方法を書いていきたいと思います。
私のやり方はかなり数でゴリ押していくやり方なので万人におすすめはできないのですが、普段こういう考え方をしているんだな、という一つのサンプルとして見ていただけると嬉しいです。
それでは、また近々更新できればと思います。
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