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クリニックで事務の新人が入った際に粒栗がすること

クリニックに時々新人やそれに類するスタッフを雇用することがあります。

経験の浅い人を雇用すると言い換えてもいいかもしれません。

どうしてもクリニックでは人の入れ替わりは起きますし、産休・育休で人が一時的に抜けることもあります。

それは仕方がないことで、クリニックの中では常に起こり得る事です。

そうした際に、即戦力となるベテランをタイミングよく雇用できる可能性は大きくはありません。

もちろんお金に物を言わせて他院等から引き抜くことができれば別かもしれません。

しかし、周りの評判も含め、そういうことはしないほうがいいと思っています。

なので、経験の浅い人が入るとどうなるか?が問題になります。

退職者の補充の場合、当院では以前は1ヶ月重なるようにして雇用していました。

というのも2人体制で、1人がやめて、1人入るでは当然業務が回らないからです。

最近は3人いるので、無理に重ならなくてもいいかとは思っています。

しかし、通常業務に加え、教育業務が増えるので、既存スタッフの負担は増えます。

もちろん、新しい人がいなければもっと業務は増えるので、教育業務が一時的に増えてもスタッフが多い方が長い目で見れば既存スタッフにメリットが多いのは間違いありません。

ただそうは言ってもなかなか通常業務+指導は大変だろうなとは思います。

ちょっと話は逸れますが、僕が勤務医時代、研修医が入ってくると教育担当にさせられることが増えてきた時期があります。

そうなると通常業務に加え、指導という労働が増えます。

しかし、今までどこの病院でも循環器業務や当直業務を言われることはあっても「研修医の指導」を業務として明記してあったところはありません。

つまり教育は労働の一環なのか?という疑問があります。

管理職や常勤であれば業務の一環かもしれませんが、大学からの派遣で行って、1年間限定で働いているのに、研修医の指導は業務の一環か?という疑問を常々抱いていました。

例えば大学からの派遣されてきた自分より若いDrの指導ならまだ理解できますが、将来自分たちのところに来るかどうかもわからない、病院が募集し採用した研修医の指導を自分がやる必要性があるのだろうか?と思っていました。

そして教育に対する対価はゼロ。

で自分の下についているというだけで、看護師から研修医へのクレーム処理はしなければならない。

そもそも指導に対する対価をもらっていないのに、どこまで研修医の面倒を見るのか?その責任の範囲はどこまでなのか?という非常に曖昧な責任と疑問を抱えながら指導をしていました。

実際、指導が面倒臭ければ自分が全部やりそれを研修医に見学させるだけでもいいのかもしれません。

それなら負担もないですし、自分の業務時間が伸びることもありません。

ただそれがこれから専門を決めていこうとする若い研修医にとって、正しいかと言われるとそうでもない気がして、結局は時間をかけて教えたり、考えさせたりしていました。

で、またクリニックの話に戻りますが、スタッフは今後戦力になる人を教えるので業務の一環と言えなくもありませんし、それで自分たちが楽になるのも間違いはないのですが、やはり負担感は大きいような気がしています。

となるとその負担感をどうやって解消するか、また責任の所在をどうするかという点が問題になります。

そこで考えたのが、スタッフが入ったら、既存のスタッフに「指導手当」をつけるということです。

具体的には、当院では1万円/月をつけます。

残業の数時間分に該当する金額になります。

もちろん残業代を包括した手当ではなく、残業は残業ですべて認めます。

いや、業務の一環とすればいいだけのことで、そこまでするのか?と思うかもしれませんが、指導手当をつけ、それを受け取っているのであれば、既存のスタッフは指導する「責任」が生じます。

僕は無償で責任を負わせることが嫌いで、新たな仕事が増えるなら、その時一過性にでも手当をつけてそこに責任と結果を求めることは決して間違っていないと思っています。

甘やかしているわけではなく、僕が今払っているお金でやってくれる範囲はここまでであり、臨時でそれ以上を求めるのであれば、そのときは手当をつけるのは普通じゃないかと考えています。

そしてその方が堂々と指導を依頼できますし、指導について問題なり教えられる側に不満があれば、こういう指導をしてほしいと伝えることもできます。

人間、自分がしていることに意見を言われることはあまり気持ちのいいものではありません。

そして、それが今までの業務にプラスされただけで対価を貰わない状態で言われるか、指導をしてくださいと依頼され、対価(といってもそれほど高くはありませんが)をもらって教えている状態で言われるのか、それは違いが出てくると思っています。

なので、当院では、経験の浅い人が入ると、その新しい人に応じて、最大1年間、既存のスタッフに手当をつけています。

新卒新人の場合は、スタッフに1年間、毎月1万円ずつ付けています。

粒栗では看護師の新人はいないですし、正直、看護師には手当はつけていません😂

それは経験者が来てくれますし、それなりにできる人が来ているからです。

一方の医療事務はやはり経験がなかったり、新卒だったり、経験はあっても電子カルテはしたことがない、レセプト業務は完全にはできない等、レベル差が激しいので、医療事務さんには手当をつけています。

医療事務さんたちの本音はわかりませんが、手当てがつくことにより、教えるのも業務の一環であるという認識はしてくれているように思います。

そのため、月1万円でちゃんと教えることを業務として認識し、また、新しい人にちゃんとした教育、説明、指導をしてくれるなら、安いと考えています。

ある程度の経験者なら2-3ヶ月くらいの支給をすることもあります。

そしてそれは既存のスタッフも納得してくれます。

教えることがなくなるからです。

なぜこれを僕がするかというと、新人が入った際に医療事務にせよ看護師にせよ、いじめのような指導ですぐにやめてしまったという事例を耳にするからです。

開業医同士で飲みながら話をしていると、ほぼ100%の開業医が、教える側もしくは教わる側、もしくは両方に問題があるという認識ですが、僕はちょっと違うと思っていて、教える側に負担になることを無料でさせれば不満もたまるし、教え方も雑であったり攻撃的になる可能性は高くなるので、それを改善させなかったDrに問題があるのであり、雑であったり攻撃的であった指導を受けた新人がやめるのも、元をたどればそういう指導をさせてしまったDrに原因があると考えています。

なので、僕自身は新人が来たら既存スタッフに「指導手当」としてお金を支給する代わりに、お金をもらって指導をしているんだという認識を持って指導をしてもらっています。

新たに発生する仕事の責任の所在とそれに対する報酬というものがしっかりとしていれば、実はスタッフの不満が爆発することはないのではないかと考えています。

もし新しいスタッフがすぐに辞めてしまうということを経験している開業医がいたら、試しに「指導手当」を支給してみるのも一つだと思います。

それでもダメなら、また考えればいいだけですし、2人に半年払っても12万年程度。

これで気持ちよく指導してくれ、新しい人が辞めないのであれば安いものだと思います☺️




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