開業後の薬の処方の仕方
当院では開業してから、新患で初めて薬を処方する場合は、基本的に1回目の薬の処方は2週間です。
その理由はある一定数、薬の副作用で飲めないという人が出るからです。
実際、降圧剤、HLの薬、その他、飲んだら具合が悪くなったと言って薬が無駄になるケースが少なくないからです。
そのため、まずは2週間処方をします。
この際、薬が飲めるかどうかの判断と、副作用の有無を評価したいので、2週間後に来てくださいと言って、いやらがれることは実はあまりありません。
だいたいOKしてくれます。
その上で、2週間後に飲めた場合は1ヶ月分処方します。
そしてその際に、次回、採血をしますと伝えます。
その理由は副作用がないかどうかのチェックのためです。
そんなに多くはありませんが、降圧剤での肝機能障害、高脂血症の薬でのCKの異常高値などの経験があります。
また、何かあった際、ちゃんとチェックしましたという自己防衛的な意味もあります。
これもほとんど拒否されることはありません。
1ヶ月半、ちゃんと毎日飲めている場合は、1ヶ月もしくは2ヶ月処方を継続していきます。
しかし、最初の2週間、その後の1ヶ月でちゃんと内服ができない場合は、1ヶ月以上の処方はしません。
その理由は、内服がちゃんとできていないのを理解しながら長期処方をして、合併症(脳出血、脳梗塞等)があった際に、「飲めていないのを知っていながら長期処方をした」と言われないためです。
そんなこと言う奴いないだろう!って思うかもしれませんが、そんなことはありません。
本人は言いませんが、家族は色々と難癖をつけてくる可能性があります。
勤務医時代、同じではありませんが、似たような内容で家族から難癖をつけられたことがあり、それ以後、かなり気を使って処方日数を決めています。
自己責任の意味がわからないような人には長期処方はしません。
どうしても長期処方をと言われれば、一筆書いてもらいます。
そのくらい気をつけています。
その理由は単純で、万が一、トラブった際の家族のクレームに使っている時間が勿体無いので、それなら一筆とったほうがはるかに楽だからです。
あと慢性疾患で2週間処方、1ヶ月処方の採血にも意味はあります。
一つは特定疾患管理料というものがあります。
225点ですので、一回2250円、1割なら230円くらい、3割なら700円くらい自己負担があります。
初診料は高いので問題ないのですが、再診料は安いので、2週間後に飲めているかの時の金額は安くなるのです。
しかし、1ヶ月後に来た際には特定疾患管理料が算定されるので、高くなります。
同じことをして1ヶ月分処方したのに金額が上がるということへの不満を示す患者もいます。
そのため、2週間処方、その1ヶ月後採血は採血分がかかるので、あまり支払い金額の増加が気にならなくなります。
その1ヶ月後は採血がないので安くなります。
そんな面倒臭い、患者を騙すようなことをと言う人もいますが、安全確保は必須ですし、また、支払い金額増加に伴う医療事務へのクレームはクリニックの雰囲気を悪くし、また、待合室の患者さんたちにも不快感を与えます。
それらを回避するためには、必要な「技術」だと僕は考えています。
違法なことをしているわけではなく、法律で認められた料金を請求しているだけなので、何ら問題はないですし、トラブル回避と安全確保という点ではこの処方日数と検査を組み合わせた方法がもっとも効果があると考えています。
実際、この組み合わせにしてから、特定疾患管理料が算定された際の支払いが高いというクレームが消えました。
もし今後、開業をする場合は、こういうちょっとした安全確保とトラブル回避も考えて検査・処方日数を考えると、より効率的な診療ができると思います☺️