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[大変]管楽器奏者に必要最低限なエフェクトの知識

エフェクターてなんぞや

管楽器奏者のみなさんは「エフェクター」という装置をご存じでしょうか
エレキギターの人なんかがよく足元においてフミフミしている箱がそうなんですが、(違う形のもあります)管楽器奏者にとっても知っておくとトクな知識があります。
とはいえ、やっぱり管楽器奏者にとって「いい音は自分自身の努力で出すもの」なので、あまりこちら方面に詳しくなっても「元の音がダメなら結局ダメ」ということではあるのですが、知っておいてソンと言うことはありません。

いまは動画を作ったり、録音をしたりということが個人で手軽に楽しめるようになりましたよね。
エフェクトをまったく使わない録音もそれはそれでアリかも知れませんが、例えばカラオケ音源に合わせて吹いたりすると自分の音だけが浮いた感じに聴こえることもママあるのではないでしょうか。

そんな方に役に立つかもしれない、最低限の知識だけをピックアップしてみたいと思います。
※書いている本人もそんなに詳しくないので本当に最低限です。間違ってることもあると思います。


1)リバーブ

管楽器奏者の皆さんにいちばん知ってほしいのがこのリバーブです。残響音を付加するもので実にたくさんの種類があります。基本は「ルームリバーブ」という種類をほんの少しかけるだけでいいのですが、かける度合いでかなり印象が変わってきます。「ホールリバーブ」という種類をそこそこかけてあげると、まるで洞窟のなかで吹いているように聞こえます。たとえばバッハの「無伴奏チェロ組曲」なんかを管楽器1本だけで吹いてある程度のホールリバーブをかけると気持ちいいでしょうね。でも基本的にそこまでリバーブをかけると気持ち悪くなることのほうがほとんどです。上手くなった気になるのでたくさんかけてしまいがちですが、「ルームリバーブをほんの少し」というのがいいですよ。ほかのエフェクターでも同じですが、かけ具合は曲調により加減することがたいせつです。


2)ディレイ

原音に、時間的に遅らせて減衰した音が付加されます。文字で書くと伝わりにくいかもしれませんね。俗にいう「エコー」だと思ってください。普通は、原音に対して少し小さな音が遅れてやってきます。「プッ(原音)プッ(大)プッ(中)プッ(小)プッ(極小)・・・」という感じで消えていきます。遅れてくる音が早めに来るのが「ショートディレイ」遅く返ってくるのが「ロングディレイ」などとも呼びます。遅れてくる音が元の大きさとあんまり変わらないのもあります。この仕組みを発展させて「ルーパー」というのがありますが、ここでは扱いません。(※違っていたらすみません)曲のテンポに合わせて返ってくる音を調節できるものもありますね。結構扱いの難しいエフェクターで、邪魔になることもしばしばあります。テンポの速い曲や、音符の細かい曲なんかだと「ナニ吹いてるかわからない」みたいな結果になることもありますので、使うときには控えめにしておいた方が無難です。


3)コーラス

原音に位相をずらした音を・・・とか書くとますますよくわからないですよね。
ひとりで吹いているのに、二人や三人で吹いているような厚みを持たせるエフェクトだと思ってください。
たくさんかけると、ウネウネ気持ち悪くなります。厚みを増やしたいときに使いますが、そこそこにしておいたほうが良いようですね。
かけ方次第では別の楽器のようにもなって面白いですが、ナマっぽさとはトレードオフになります。


4)ディストーション/オーバードライブ

エレキギターを買ってアンプにつないで弾いたら「ペーン」とか聴こえてきて、期待していた「ギャオーン」とは違ってしょんぼりした少年はこの中に居ませんか?
あのロックギターの「ギャオーン」というひずんだ音はこのエフェクトが必要なんですね。
エレキギターの醍醐味ともいえるエフェクターで、非常にたくさんの種類があります。全部ひっくるめて「歪み系」とも言いますね。
管楽器に歪み系をかけるのはとっても難しいですし、サックスだったら「グロウトーン」という奏法がありますので使う要素はあんまりないと思いますが、それでもトランペット奏者なんかはきれいに「ファズ」という呼ばれる歪み系エフェクターを使っている方もいらっしゃいます。
ただし、ゲインがあがりすぎてすぐにハウリングを起こしたりするので、とっても扱いが難しいものになります。


5)ワウ/オートワウ

ワウとはもともと、ワウペダルというペダル装置で踏み込むことによって「ワウワウ」という音に変化させるものです。
だいたいギターの人がカッティングするときなんかに使っていますね。
管楽器を吹きながら足でもエフェクターを操作するのはしんどいので、このワウが自動的にかかる「オートワウ」というのがあります。
タンギングをしたりするとワウワウいうので、まだ使えそうですね。
どちらも使いこなすには練習が必要ですが、80年代くらいにはこのワウを使う人がたくさんいました。


6)オクターバ/ピッチシフター

オクターバというのは、原音に1オクターブないしは2オクターブ上または下あるいはその両方をミックスしてくれるエフェクターです。
オクターブ上が出てくれる、というのは管楽器奏者からするととってもうれしい感じに聞こえますが、原音から計算してオクターブ上の音を作ってくれているので期待通りの音ではないです。どんな感じなのかは一度試してみたほうが良いかもしれませんね。
なので黒田はオクターブ上の音は滅多に使うことはありません。むしろ使うならオクターブ下のほうです。
1オクターブ下の音がミックスされるとめちゃめちゃ分厚くなります。存在感が増します。
マシマシすぎてほかの楽器から邪魔になることもあるので、よくよく考えて使わないといけませんが、強烈な厚みが得られます。
また、ピッチシフターですが最近のものはコード進行に合わせてハーモニーを単管で構成することができる優れものがあります。(ハーモナイザーとかいう名前もついていますね。)もちろんめっちゃめんどくさいので黒田はその機能は使いません。
オクターブ下とか、完全4度下、完全5度上などを使いますが、楽曲によっては当然ディスコードしてしまいます。
無視するか限定して使うかですが、使うときは飛び道具的に使うことが多いので「こまけぇことぁ良いんだよ!」って感じで使っています。


7)フェイザー/フランジャー

いちおうこの二つは種類は違うらしいのですが(あんまり興味ない)マルチエフェクターにはだいたいついているもののほぼ使うことがありません。
周期的に音が変化する、なんともメロディ吹きには要らない機能で、興味があれば一度使ってみばどうして要らないのかわかると思います。
ゆったりした曲で、鍵盤のパッド系音色に薄くかけて雰囲気が出るかな、とかギターのカッティングにかけて愉しむとかでしょうか。
そういえばドラムソロにフランジャーかけてたのがありましたねぇ・・・


8)コンプレッサー/リミッター

はい、ここまで来てリバーブと同じくらい重要なやつきました。
管楽器にエフェクトをかける場合、「なにはともわれ」「なにがなんでも」かけたいのがコンプレッサー(略称「コンプ」)です。
コンプレッサーは、入力の小さな信号を持ち上げるもの、リミッターは入力の大きなものを押し下げるもので、どちらも同じような機能だと思ってください。
われわれ管楽器奏者はタンギングをしますが、このタンギングをしなかった音は小さい信号になって送られます。逆にタンギングをした音は大きな信号となるわけで、この差が大きいとうまくエフェクトがかかりません。
そこで、これらのエフェクターを使って信号の平均化をするのですが、かけすぎると全部おなじになってしまいますから、ここもかけすぎには十分注意してくださいね。


9)イコライザー

最後にまた重要なやつがあります。その名も「イコライザー」。
これは音作りのもっとも要になるものですから、これについて語りだすと百家争鳴、テーブルの向かい側に座った奴といつ喧嘩がはじまってもおかしくないほどのコダワリがあります。
そしてなにより黒田はなさけないことに、ココでえらそうにイコライザーについて語りだすほどの胆力も知識も持ち合わせていません。
自分でいろいろといじってはみるものの、うまくいったということがあんまりないのです。
それほどまでに奥の深いこのイコライザー、これだけはとにかくいじっていじっていじり倒すしかないと、黒田も日夜励んでおります。
黒田にわかるのは、「キンキンしていると感じるならハイを削れ」「ハイを削りすぎるとモコモコするぜ」「イコライザーで『どこかを持ち上げる』よりは『ほかを削れ』」
「ミッドをあげるとメロウになるが、必ずしもそうとも限らない(意味不明)」くらいなものでしょうか。
ただ管楽器単品(例えばテナーサックス)でみた場合はいい感じだが、ほかの楽器のとある部分(例えばベース)と干渉しているのでロウを少し削ってみよう、とかそういった工夫は必要です。
単純な3バンド(ハイ、ミッド、ロウ)だけでも大変なのですが、最近はもっともっと細かいイコライザーが普通についてくるのでいつまでたっても作業が終わりません。
自宅で録音のあとイコライザーとみらめっこしているうちに朝になった、ということが何度もありましたのでみなさんもご注意ください。(特に凝り性の方)


補足)エフェクターの種類について①

上に挙げてきたエフェクターたちは、「コンパクト」などと呼ばれひとつひとつカラフルな箱に装置が収められていて、必要なものを買ってつないで使用するのですが、いまは「マルチエフェクター」というのが発達してきています。
その名のとおり、一つの箱に複数のエフェクターが詰められているとっても便利なものです。
今もそうなのかどうかは本当のところはわかりませんが、むかしは「マルチエフェクターは便利だがひとつひとつの機能の『効き』がコンパクトに比べてよくない。やっぱコンパクト最強。」と宣うギタリストがたくさんいました。
たぶんいまはそんなことないんだと思いますけど、この辺の議論もいつ喧嘩が起こるかわからないのでもう普通の人はマルチでいいです


補足)エフェクターの種類について②

さんざん、ギタリストのはなしを引き合いに出しておいて恐縮ですが、管楽器用のマイクからギター用のエフェクターに信号をとおしてもあんまりいい結果は得られません。
いちおう音は出るでしょうし、役割は果たすとは思いますけど、管楽器用のマイクから得られる信号とギターやベースから得られる信号は違うんだということを覚えておいてください。
黒田は普段ボーカル用のマルチエフェクターを使っていますが、トランペットのランディ・ブレッカーさんはギター用のエフェクターを使ってます。
上手いことやればできるんですけど、そんなに自信ないのでここには書きません。
とか言いながら、このあいだギター用のマルチエフェクターをひとつ買いまして試し試し使ってます。


***

あとがき

さて、いかがだったでしょうか。
このくらいギタリストたちにとってみればすっごい基本的なことだと思うのですけど、管楽器奏者にとっては馴染みのない方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
黒田もそんなに詳しいほうではありませんが、エフェクターを初めて触る、という人たち向けに書いてみました。

実際にはこのほか、※エフェクターをつなぐ順番※という重要事項があるんですが、黒田もじつはよくわかりません。
いろんなギタリストたちに質問しながら、試行錯誤やっているような状態です。

まぁ、なんにせよ冒頭に書いたように「元の音がショボければそれはどう弄ってもゴミ」なので、がんばりましょう!

おまけ

黒田がマルチエフェクターを使いまくったライブ記録がありましたので置いていきますね!

Crow Blows AltoSax /w chicken souL (Youtube)


京都在住のサックス/フルートプレイヤーです。 思ったことを自分勝手に書いていきます。 基本、内容はえらそうです。