CFexpress typeB選びでお困りの方へ
カードテストしました
最近はデジタルカメラの進歩で動画撮影が出来るようになり、ミラーレスになってからは8K動画さえカメラ本体に記録出来るようになりました。それに伴いデータを高速で読み書きが出来る記録媒体が必要になり色々な規格のメディアが出現しました。
UHS-I規格のSDカードからさらに高速に読み書きが出来るUHS-IIやUHS-III規格になりさらに高速のXQDカードへとなり、そして今の最高速のCFexpressカードが出てきました。記録速度が上がるたびに値段も上がり、下手をするとカメラ本体よりもメモリーカードの購入費用の方が高いということもあります。
色々なメーカーから様々な規格のカードが出ていて、一体何を選べば良いのかさっぱりわからない人が多いのではないでしょうか。
**********************************
重要:これはとても大切なことですが、意外と知られていないので是非知って欲しいことです。
メモリーカードは使っているうちにデータのカスがたまってしまい速度低下やエラーが出るなどのトラブルになることがあります。カメラでのカード初期化ではそのカスは取り除くことが出来ません。定期的にディープフォーマットをPCで行うとびっくりするほど性能が回復することが多いです。
**********************************
そこで手持ちのカードをテストしてみることにしました。
テストしたものは主に動画を撮影するためにそろえたカードですが、動画の記録サイズとか目的に合ったカードを揃えるうちに色々なカードが増えていきました。
1:XQD SONY120GBはNikonD500やD850用に揃えました。
2:DELKIN POWER 512GBはNikon Z9のH264 4K120P動画用です。容量と値段のバランスで選びました。
3:DELKIN BLACK 325GBは知り合いからレビュー依頼で来ています。基本性能はこの中で一番高いです。DELKIN DEVICEは、カリフォルニア州サンディエゴが本社で主に産業用メモリーやOEMを提供している老舗です。
4:PROGRADE COBALT 325GBはZ9のRAW8K60P 高画質で撮影するため安全パイとして業界スタンダードとなっているカードを選びました。
5:ANGELBIRD AV PRO MK2 1TBはZ9のRAW4K120P標準画質で鳥を撮る目的で選びました。1TBという容量なので長時間の録画ができ驚異的なコストパーフォーマンスも決め手になります。オーストラリアのメーカーでRED Digital CinemaのV-RAPTORが必要とする8K RAW 120fpsの記録要件をクリアしてるとのことです。
6:SUNEAST ULTIMATE PRO 320GBは知り合いからレビュー依頼で来ていました。初めて聞いたメーカーでしたが大阪に本社を置く会社で、メモリーモジュールやPC周辺機器の製造販売を手がけているメーカーです。以前のテストなので写真はありません。
7:SDXC Lexar256MB V60はSony7S3でH264 4K120P動画用です。
次の表がテスト結果です。拡大して見て下さい。
大切な要素だけグラフにしてみました
Blackmagic Disk SpeedTestで計測した速度
青の書き込み速度が高いほど性能が高いカードです。
DELKIN BLACK 、PROGRADE COBALT, SUNEAST ULTIMATEPROの順です。
最低維持書き込み速度とメモリー単価
最低維持書き込み速度が実際の撮影では一番重要なファクターです。動画ではとても大きなデータを連続して書き込むのでカードが息切れしていたら録画が止まってしまいます。最低維持書き込み速度が書いていないカードは書き込み速度がいくら速くても大きな映像データは連続して書き込むことが出来ません。
自分のカメラや撮影方法に見合った性能で1GBあたりの単価が安い方がコストパーフォーマンスが良いといえます。ANGELBIRD AV PRO MK2が群を抜いて単価を抑えています。SUNEAST ULTIMATEPROはPROGRADE COBALTと同じ速度ですがメモリー単価が安く費用を抑えたいときには良いかもしれません。速度重視ならDELKIN BLACKが一番でしょう。8K120Pはもちろん12K120Pまでもカバーできるかもしれません。
動画性能
ニコンZ9の動画記録でのベンチマークで
RAW 8K60P 高画質をクリアするのはDELKIN BLACK 、PROGRADE COBALT 、ANGELBIRD AV PRO MK2、SUNEAST ULTIMATEPROでした。ANGELBIRD AV PRO MK2 1TBはカードの発熱のため14分で止まってしまいましたが他のカードの2倍の時間を連続して書き込むことが出来ました。長回しでは1TBの容量が必要ですが、熱で止まってはまずいので夏の撮影では携帯扇風機でカメラを冷やしながら撮影をしていました。
性能が低いXQDカードとか最低維持書き込み速度保証がないDELKIN POWERでもRAW8K30P標準画質ならば止まることなく録画が出来ます。4K120PでもH264 10bitならば問題なく書き込めました。使う用途では十分な速度でメモリー単価も安くて良い選択肢となります。
またSDカードが使える機種で撮影が4K120 PH264 10bitならばSDXC V60規格が使えて、もっと安いメモリー単価で記録することができます。
写真性能
ニコンZ9でのベンチマークです
Losless RAWとJPG FINEの同時記録とLosless RAWのみの秒20コマの連続撮影をして少しでも速度が落ちるまでの撮影コマ数比較です。最低維持書き込み速度保証がある4つのカードは速度が落ちても秒15コマ程度でエンドレスにシャッターが切れました。DELKIN POWERも結構頑張りましたが、速度が落ちてからはなんとか連写しているという状態でした。XQDカードは速度が落ちたら、それ以上連写が出来ない状態になりました。それでも39コマまでは連写できました。
やはり連写をするならCFexpressカードしかないですね。
ここでも最低維持書き込み速度保証が一番高いDELKIN BLACKが頭一つ抜いて書き込みコマ数は一番多かったです。一枚でも多く連写をしたい人には最適な選択でしょう。
意外と頑張ったのはANGELBIRD AV PROで、上位カードにひけをとらず連写出来たのは評価出来ると思います。これはスペックだけではわからないところですね。
CFexpressカードリーダー
撮影したデータはカードリーダーでPCに保存をするのですが、結構リーダーの値段が高い!
PROGRADE(左)とANGELBIRD(右)のリーダーを使っていますがリーダーの上にヒートシンクを貼っています。読み書き時に発熱をして結構熱くなるのでカード保護と安定性確保のため冷却をしています。
ANGELBIRD AV PRO MK2は他のカードと違ってファームウエアアップデートがあります。カードにファームウエア?と思いましたがアップデートをするためには専用のリーダーが必要になります。他と仕組みが少し違うのかもしれません。AV PRO MK2は他のカードと比べて発熱をしてかなり熱くなりますので1TBをコピーしてすぐにカードを引き抜くときは注意が必要です。ファンで風を当てて使っているのでやけどをするほどではありません。CFexpressカードは読み書き速度が速いのでどれも熱くなりますがDELKIN BLACKは少しだけ発熱が少なく安心感があります。
気休めかもしれませんがリーダーにヒートシンクを貼るとかなりカードの温度上昇が抑えられ寿命も延びるかもしれません。
いかがでしたでしょうか?CFexpressカード選びの参考になりましたか?
選ぶ際のキーワードは最低維持書き込み速度保証がついているかどうか。8K動画を撮るとか速いカードを求めているのなら絶対にチェックしてください。そんなに連写しないし動画も撮らないのであれば無理をして速度が速く値段が高いカードを揃える必要はないのでそこそこのグレードで、なおかつコスパ重視で選んでも良いかと思います。
自分の撮影スタイルに合ったカードを選び、効率よく撮影したいですね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?