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ザ・バットマン 感想

★3.5 

仕事終わりの夜一人で劇場(もしくは暗い部屋)で見るのがおすすめです。暗い廊下からゆっくりと明かりのあるところに出てくる、バットマンごっこがやりたくなります。

『ザ・バットマン』レイトショーで

平日TOHOシネマズの20時からの回で、劇場には3,4人ほどの仕事終わりのサラリーマン男性がちらほらと。

私は奥さんと二人で見に行きましたが、実はこれが失敗でした。
絶対に一人で見に行ったほうがいいです。孤独な男の物語を夫婦で見ると全くひたれません。

ストーリー

ゴッサムシティに住む銘家のブルース・ウェインは幼い頃、強盗に両親を殺されてしまう。それをきっかけにブルースは己を鍛え上げ、ゴッサムから犯罪をなくすため、昼は引きこもりとして、夜はバットマンとして軽犯罪者をボコす生活に明け暮れていた。
そんなある日、選挙活動中の現職ゴッサムシティ市長が何者かによって殺されてしまう。
犯人は、殺害現場になぞなぞが書かれた冊子を置いていた。あて名は「バットマン」。
謎を解いていくにつれ、ゴッサムの闇に飲まれていく。
マット・リーヴス監督、ロバート・パティンソン主演の新作のバットマンとなっております。

全部のシーンがかっこいい!

まずこの作品、特筆すべきなのは、カットごとの作りこみが半端ない、と言うことです。

赤と青の光がバットマンの黒を際立たせる

とくに、赤と青の使い方がとても印象的です。

例えば、右から赤、左から青の光が当たった真っ黒なバットマンのスーツはディティールが際立っていて、非常にフェティッシュというか、バキッと輪郭が決まってて滅茶苦茶かっこいいんですよね。

ノワールが分かってるぅ!

それに、ずっと夜の雨が降るシーンが続くゴッサムシティがもうたまんないです。
ノワールとして映像の完成度が鬼高いです。映画では珍しいくらい、びしゃびしゃ雨が降ります。霧っぽいやつじゃなくて本格的な雨です。

バットマン至上最高にかっこいい登場シーン

それから、なんといっても登場シーンはとくに最高でした。
濡れた路面に反射した街灯の光。真っ暗な路地からズシン、ズシンと足音が響き渡り、やがて…

闇からゆっくりと現れるバットマン。

「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」っと心の中で叫んでしまうくらい、最高にかっこいいです。

「正々堂々」なバットマン

イメージですが、バットマンって上から奇襲したり、振り返ったら後ろにいたり、みたいな、お化けっぽい神出鬼没さがあったと思うんですよ。むしろ、そこがダークヒーローっぽさをだしていたんだと思いますが、今作ではびっくりするくらい正々堂々と真正面から戦います。
例えば、バットマンの格好で敵のクラブに入ろうとします。ノックして受付と話すバットマンはちょっとシュールで笑えます(たぶんそれは作り手の狙い何でしょうけど)。
ほかにも、まだ鑑識が捜査している、警官のごった返した現場に、バットマンの恰好で現れるシーンも滅茶苦茶シュールギャグとして面白かったです。

「ちょっと、あんた何やってんの!ダメだよこんなところ来ちゃ!あー、ダメダメ勝手に証拠品触らないで!!ちょ、警部!!これ、いいんですか!?」みたいな警官たちのノリが終始面白いです。
あんまりにもカットが決まりすぎていて、笑っていいのか分からなかったのですが、思い返してみればあれは絶対ウケ狙ってたなと思っちゃいます。

それからスターウォーズのスピンオフの『ローグワン』のオマージュシーンもありました。ダースベーダーの登場シーンのやつです。(予告で使っちゃったのはちょっともったいないなと…)

吹き替え最高 ありがとう

それから吹き替えが最高でした。

バットマン役が櫻井孝宏。高貴な雰囲気を漂わせながらも、弱弱しくて繊細で、心に闇を抱えている青年を、こんなに上手に演じられる人は日本に一人しかいません。もう最高です。他に言葉はありません。最&高です。

他にはファルコーネは千葉茂が演じていて本当に最高だった。もうあのレベルのベテランになってくると、ほんのちょっとした一言でも聞いているだけで楽しくなっちゃうというか。すごく力が抜けた演技なのにぴったりはまってて、そのアンマッチ感が逆に笑っちゃうくらいマッチしてて本当に最高。

気になるところ

個人的には3時間はあっという間で、普通に面白かったです。

多少思い入れもあるとは思いますが、自分の中での近年のバットマン映画の面白さ比較は以下の順になりました。

  1. ダークナイト

  2. ジョーカー

  3. ザ・バットマン ← “本作”

  4. バットマンビギンズ

  5. スーパーマンvsバットマン

  6. ダークナイトライジング

奥さんと見に行ってしまったせいで、キャットウーマンとのなれそめというか恋愛描写がいまいちハマりませんでした。

特に奥さんはいまいちだったみたいです。

そりゃ本国ではロバート・パティンソンと言えば『トワイライト~初恋~』で全米のティーンが恋をしたイケメンかもしれませんが、映画に疎い奥さんは誰?と言う状態だし、本作では9割ずっとバットマンだし、ひげ生えてるし、で、好きになる要素は無かったみたいです。なるほど、その視点は無かったと言ったところ。


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