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SIFU レビュー

★3.8

アクションゲーム好きにはかなりおすすめです。格闘システム、世界観、加齢システムなど本作特有のものがすべてマッチしていて完成度の高い作品なのは間違いありません。また、ゲームをアートと捉えた場合も、このゲームはかなりの高評価となるのではないでしょうか。

ただ、ゲーム自体の難易度はかなり高めとなっています。私個人としてはフロムゲーよりも難しいと感じました。
ボリュームはやや少なめですが、フルプライスでないことを考えると十分だと思います。
攻略難易度の高さと、4面以降ゲーム全体が少し単調に感じてしまうのがマイナス★1.2のポイントです。

隻狼+少少系

ゲームジャンルとしては、死にゲーカンフーアクションと言ったところです。

イーアールカンフー(もしくは少少系)とSEKIROを足して、海外コミックで割ったようなゲームという印象でした。

加齢システム

このゲームの特筆すべきところは、プレイヤーの体力が無くなると歳を取ってしまうということです。また歳の取り方もシビアで、80歳が寿命だったら60回死ねるかというとそういうわけではないのです。

例えば一回目に死ぬと20歳から21歳になりますが、二回目の時は、21歳から23歳へと、加算年齢=n+1となっているので、実は11回までしか死ねない計算になります。

しかし、ステージを始めた際に、最も若かった年齢からやり直すことが出来ます(ステージは全5面)。なので、ゲーム全体を通して11回死んだら最初からやり直しと言うわけではありません。

新しく、より純粋なアクションゲーム

アクション面ではSEKIROとかなり似ていて、体力ゲージの他に体感ゲージというものがあり、体力ゲージを0にしなくても体感ゲージを最大まで蓄積することで一気に倒しきることができます。

とはいえ全く丸パクリというわけではなく、むしろSRKIROよりアクションがタイトになっており、より純粋な格闘アクションを求められる作りになっています。

SEKIROの場合は、弾きや体感ゲージのほかに、忍具や道具、隻狼自身もジャンプや壁蹴り、ワイヤーアクションなどがあり、かなり幅広い攻略が可能でした。

しかし本作では武器も装備も現地調達。

勝てない敵に遭遇した時は、鍛錬が足りないという現実を突きつけられてしまいます。

なので、ゲーム攻略に行き詰まったら、主人公の自宅にある練習場でひたすら鍛錬をつむという、ゲームの腕を上達が求められます。

三面からが本番だぞ

全5面の内3面からかなり難易度が上がってきます。

特に3面のボスのクロキという三節混を使うお姉さんがバチクソに強いです。

救済措置として鍵を手に入れれば3面を始めるとすぐ正面にあるエレベーターに乗ることで、クロキと直で対決できるようになっています。(余計な雑魚的をすべてスキップできる)

そのように、全ての面において、探索して死にまくるフェーズと、最短距離でボスと戦うフェーズを分けて攻略するゲームシステムになっています・

その説明がないというところが、洋ゲーっぽいというか、JRPGばかり遊んでいるとなかなか気づけないところだと思います。

病みつきになる

アクションは歯ごたえがあり、何度死んでもまたやり直そうという気になるのが不思議なところです。

敵に攻撃されたときの選択肢は三つあります。

  1. 弾く。タイミングよく弾き、敵の態勢を崩すことでカウンターを決める。ただ、自分の体感ゲージも蓄積されてしまうので、連続して弾くと、態勢を崩してしまいます。また、こちらの反撃時に他の敵からの攻撃を受ける可能性があります。

  2. 受け流し。これは数瞬の無敵時間が発生するので、1対多の際はかなり有効です。しかし、敵の攻撃には上段攻撃と下段攻撃があり、よける方向を間違えるともろに食らってしまいます。

  3. 回避。大きくステップをして回避します。四方を囲まれたときなど、一度距離を取って1対1に持ち込みたいときに有効です。ただ距離をとると遠距離攻撃(武器投げ)をしてくる敵がいるので要注意です。

これに加え、フォーカス攻撃など、多岐にわたる戦略があり、様々なパターンの敵に有効な攻略法は何か、というのを死にながらトライ&エラーを繰り返していくとあっという間に時間が過ぎてしまいます。

個人的にお気に入りなのは、環境利用と言う技で、ポイントをためると入手できます。

一言でいうと、敵を転ばす技です。近くにある椅子などを蹴とばして、どんなガタイのいい敵もすっころばすことができます。

特に2面では、舞台がクラブということもあり椅子が大量にあるので、すっころばし放題です。ただ、2面でかなり苦戦する箇所に限って椅子が置いていなかったりと、どこでも使えるというわけではありません。でもネイビーシールズの「使えるものなら鉛筆でも武器に使え」精神のようなサバイバル感がゲーム体験としてかなり上がります。

アートが素晴らしい

特に感動したのは3面の美術館です。

現実で美術館に行けば、様々な時代の様々な作りてによる多種多様なアートがあるものです。

しかし、ゲームだとそれはなかなか難しいです。
一度に読み込めるオブジェクトの数は限られているし、種類を増やせば増やすほど開発費はかさむ、その割にはプレイヤーは作品の横をダッシュで通り過ぎていく…。開発者目線に立つと、美術館のオブジェクトの種類に凝るよりゲームの面白さを追求したほうが得ではないでしょうか。(さしてプレイヤーからの苦情も来ないだろうし)

したがって、並みのゲームだったら美術館を舞台にするのは避けるか、作っても壺や絵画等の色違いコピペをたくさん並べるところですが、sifuでは、もうヤバいです。

めっちゃくちゃ凝った特別展を10個くらい合わせたようなとんでもないバリエーションがあります。(まぁコピーも無くないですが、その工夫の仕方なども素晴らしい)

本当に感動しました。
なんて「無駄」なんだと(誉め言葉)。さすが芸術の国フランスの会社が作っただけあります。

特に好きな作品は女性二人の立像です。

仁王像のように左右に立ち並び、それぞれ白と紺の色をしていて、要所要所で配置されています。
実は、これはクロキという3面のボスの人物説明になっていて、ボス戦直前の展示で、クロキには姉or妹がいて、何らかの出来事により殺しあうことになってしまい、クロキは自分の姉妹を殺してしまった、ということが分かります(立ち並ぶ立像が紙芝居形式で展示されていてそのように読み取れる)。それがクロキのトラウマになっているということが分かります。

クロキとの遭遇するカットシーンでは、女の子の木彫りの像を掘っており、おそらく罪滅ぼしの意味を込めて殺してしまった自分の姉妹の像を掘っていたのではないでしょうか。

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