金山に生きる魅力、はっけん
山形県金山町。山形県北部に位置するその町は、豊かな山々の自然が広がり、また白壁と杉板張りの美しい町並みが印象的だ。その舞台で地域のために活動する1人の女性がいる。
東北芸術工科大学コミュニティデザイン学科を卒業した新潟県出身の本間真生さん。2021年4月から金山町地域おこし協力隊として活動している彼女は、「地域の資源を活用した関係人口の創出」をミッションに掲げ、イベントの企画・実践や展示会の開催など、精力的に活動を行っている。
金山町地域おこし協力隊 Facebook
https://www.facebook.com/Kaneyamaokoshi/
──ありがとうを伝えたい
「私という「外者」のフィルターを通して、金山町の面白さを再確認してくれたら嬉しい」
ホテルシェーネスハイム金山にて『みつける、金山展』が行われた。「外者」視点から金山町で見つけた魅力を写真や山菜、郷土食品の実物を展示し伝えている。
今回の展示を企画する上で重要になったのは、「外者」が地域についてどれだけ気づきを得られるかだ。本間さん自身が金山町で暮らし、体験し、感じたことがこの展示で表されている。
金山町の魅力を探る中で、大学での学びが活かされたという。共感して聞く、じっくり聞く、要約して聞く、深掘りして聞くといった「4つの聞く」を学んだことが、地域の方との交流を深め、金山町の魅力を見つけるきっかけとなった。
地元の人には当たり前の情景・文化が、町外から訪れた人にはとても新鮮で魅力的に感じる。その視点を展示を通して共有し、またそれに気づかせてくれた地域の人々への感謝を彼女は語る。
本間さんは、自身が地域に馴染んでいく中で見つけた金山町の最大の魅力として、人の温かさをあげている。金山町の人たちは、「外者」に寛容な人柄で様々な行事に誘ってくれる。新しいチャレンジに対しても前向きな地域の方の人柄が、本間さんの活動のなかで何度も背中を押してくれたのだという。
──生きるを創造する
地域という形成されたコミュニティで生きるとはどういうことか。その答えの一つをこの金山の地で見ることができる。
本間さんは地域コミュニティを「生活の土台」「生きていく基盤」と捉えている。それは親族のようにお互いを気にかけそれぞれの役割の交換を果たしながら地域を維持していくという、地に根を張った姿がある。買うことだけではなく自ら作り、それをコミュニティの中で共有し生活文化を育んでいる。
「都市部で感じるお金を稼いでどう使うのかといった生活から、ここ金山町の暮らしは、自ら作り、自ら生きることを創造するということ、私はそこが地方で暮らす一つの豊かさ、指針だと思う」
都市から離れた地方での暮らしは、一見不便に感じることもあるかもしれない。しかし、本間さんの捉え方は前向きだ。自然豊かで人との結びつきが強いこの町だからこその生活が存在している。
金山町では人と人とのつながりが、「生きる」を創造しているのだと考える。他者との関係が希薄化している現代の日本で失われつつある姿が、ここ金山町にある。地域コミュニティのなかで何を感じ学び得るのか、それは私たち次第である。
──────────────────────────────────
山室 茉由
東北芸術工科大学 総合美術コース
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?