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わくわくを、ぎゅぎゅっと。 -誰もが楽しめるアート教室を-

──アートの需要に、救いの手を。

2021年9月、山形県新庄市のエコロジーガーデン「原蚕の杜」では、沢山の親子が賑わいを見せていた。

インタビューに答えてくれたのは、東北芸術工科大学(以下、芸工大と略す)コミュニティデザイン学科 3年の有我朋恵(ありが ともえ)さん。

有我さんは、この「原蚕の杜」にて行われたアートワークショップイベント「新庄教室」の学生代表として活動の主軸となって活躍している。
福島県で生まれ育った彼女だが、学科での地域実習をきっかけに新庄市を拠点とした活動をはじめ、アートによる楽しく充実した場を作るために「新庄教室」のプロジェクトを立ち上げることとなる。

「新庄教室」は「美術の技術を学ばないアート教室」というコンセプトで行われたアートワークショップイベントであり、芸工大のコミュニティデザイン学科と総合美術コースの有志学生8名がスタッフとして参加した。
このイベントが開催された背景には、新庄市内の学校の減少や中学校に美術部が存在していないという現状がある。

新庄市といえば「新庄まつり」がユネスコ無形文化遺産にも登録され、それに伴い芸術や文化を嗜む人々が多いという印象を受ける。しかし、実際にはそのようなイベントの開催が盛んであるにもかかわらず、学校教育における美術や芸術について触れる機会がほとんどないのだという。

「需要はあるはずなのに必要とされる場が無いことや、学校の授業内だけでは個人の創造性や表現を認めるという環境が作られにくいことを問題に思う」と有我さんは語る。

──さらなる目標に向かって

今回は小学生から中学生までを対象としたアートワークショップイベントであったが、大人の方からの反響も多かった。それを受けて、有我さんは「今度は大人を対象としたイベントも開催したい」と次の目標を掲げている。また、新庄市でアート教室を継続していくことの必要性に対して「芸術において、自分がした行為が『その人自身の表現』になるのは大切なこと。『自分の好きなことや、自分自身について』が分かる機会になっていくのではないか」とも話した。

アート教室の需要が不確定な中でもクラウドファンディングなどを行うなどしてイベントの開催までにさまざまな試行錯誤を凝らしてきた「新庄教室」は、アートの力で心躍る気持ちを地域の人に届け、その良さを伝え続けていくことだろう。

美大生が、山形県新庄市を盛り上げるためのアート教室を開きたい!https://camp-fire.jp/projects/view/472786
「新庄教室」Facebook  https://www.facebook.com/shinjokyoshitu/

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画面中央には、イベント当日に参加者やチームスタッフとワークショップを楽しんでいる有我さん本人の姿が映し出されている。

──取材を終えて

筆者自身も、アートに関する学びや実践活動は何度も繰り返し行ってきた。しかし、考案した企画を実現させ、成功に導くことは決して簡単なものではない。それでも、地域の人々のためにアートの素晴らしさを伝え続けようと奮起する彼女の眼差しは、真剣そのものであった。


美術や芸術の良いところを肌で実感している芸工大生として、私たちは社会に向けて「充実感のある楽しいアート」をどんな風に届けていこうか。そんなことを改めて考えさせられたと同時に、今後のアート活動に対する期待がより一層高まった取材となった。

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永沢ほのか

東北芸術工科大学 総合美術コース 

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