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悪役令嬢モノ、18禁ゲームと語りながらありえない舞台となった作品達の謎? ~そうなった理由とは

ここ数年、悪役令嬢モノのアニメが多いが、その原型であるはずのゲームでの悪役令嬢モノはそうそう聞くことはない。
個人的には今後出てくるタイトルに気になるモノはあるが、ジャンルとしての悪役令嬢モノとは少し違ってはいるようだが。

さて、アニメ化されるほどの人気ジャンル、悪役令嬢モノではあるが、多くでその舞台となる悪役令嬢が出てくるゲームがほとんど無いという歪さ。

これは悪役令嬢が女性モノだから男性である私が知らないだけというのも考えられる。それゆえ、web小説では18禁ゲームを舞台にした作品もあるのでそちらも確認してみた。

最近見かけた作品ではあるが、タイトルは『クズレス・オブリージュ 18禁ゲー世界のクズ悪役に転生してしまった俺は、原作知識の力でどうしてもモブ人生をつかみ取りたい』とある。だが、18禁ゲームを嗜む人には、ありえない設定とは感じ取れるだろう。

さらに補足として、公式のあらすじも載せておこう。

 気が付いたら18禁ゲームの世界。俺が転生したのは"史上最悪のクズ悪役"と名高い全方向から嫌われキャラ、ウルトスだった!
 このままでは悲惨な破滅エンドを迎えてしまう……俺は決意した、原作知識を生かして善良なモブAとして生き抜こうと!!

この時点でどういったゲームか、想像はまったく出来ないことだろう。
さらにはSランク冒険者が出てくるらしいから、更にゲームジャンルすら予測が出来ない。
むしろ、ありえない設定だらけで本当に18禁ゲームが舞台なのか疑うしかない。

18禁ゲームに限らずギャルゲーでは絵とお話誰の紙芝居と揶揄されるが、それは作りやすさ、参入のしやすさからである。それだけにゲーム性の高い18禁ゲームは希である。開発コストが高くなるため、会社自体に資本という力がないと作ることは難しいからだ。
また、やり込み要素の強いゲームにしてもシステムはコスト面からも簡素化されている。まあ、シンプルゆえに中毒性が高くなっている場合があるのだが。
それらからタイトルにある『原作知識の力』といわれても、納得は出来ない部分がある。

そもそも、嫌われた悪役に悲惨な破滅を迎えるのなら、それはそれで話の見所ではあるだろうに、タイトル、あらすじがいちいち矛盾している。

実際、この作品のweb原作で冒頭を読んだけど、話の内容は見えてきてもゲーム内容が何一つ出てこなかった。
この後の展開が如何に面白くなろうとも、現実で悪役令嬢が出てくるゲームが無いようのに、作品内ではありもしない存在をさも素晴らしいと語るのと大差が無いのだろう。
現実にあるはずなの原型が、現実離れした設定になっているから。

確かにフィクションにおいて「大きなウソをひとつだけ」といった概念はある。しかし、悪役令嬢モノは大抵、ゲーム世界に転生するという大きなウソから始まる。この時点で二つのウソになっている。

では、なぜこのようなありえない設定のゲームを舞台にした作品が多く繁雑しているのか?

これに関してはweb小説、なろう系と揶揄して乱暴に語ってしまうことも出来るが、それでは説明にもなってはいない。
そして、これに似た話は別の創作にも蔓延している。

これは過去にも触れた話ではあるが、近年では民俗学というか田舎というだけでホラーが起きる舞台装置にされている。

これは田舎を馬鹿にしているというよりも、何も知らない場所だから何が起きるか分からないという無知から始まるのではないだろうか?

実際、悪役令嬢が出てくるゲーム以前に、乙女ゲーム自体が売上本数からプレイ人口は少ない。
それに悪役令嬢モノでアニメ化した作家ですら、悪役令嬢モノのブームに乗っかっただけと公言するほどである。
だからこそ、作者も読者も何も知らないから、何が起きても不思議ではない舞台として悪役令嬢モノを見ているのではないだろうか。

とはいえ、乙女ゲームをプレイして、自身の体験を作品にきちんと反映できていると感じたの作品も存在する。
それは『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』である。web小説分での結末はプレイヤーであれば、その手があったかと脱帽したことだろう。

それだけに悪役令嬢モノは本来ゲーム原型だったモノが、ジャンルとして確立したことでゲームという原型が形骸化したのだろう。これはホラーにおける田舎においても当てはまる話である。
田舎で起こるホラーが成功を収め、乱立している様と。

また、18禁ゲームにしても、近年は泣きゲーの時代ほどの影響力はないのは明白。今となっては『Fate/staynight』が18禁ゲームと知らない者も少なくはない。これは単に時代の変化でもあるだろうが。
それだけに18禁ゲームに触れない18歳以上の人間がいることも不思議では無い。つまりは未知の世界なのである。

冒頭に触れた「クズレス・オブリージュ」の作者は18禁ゲームに触れてきたかは分からない。ただ、想定する読者には触れていない事を前提にしているのは作品を読めば分かる話である。触れている人間からすれば違和感しかないのだし。
もっとも、この作品にしても原型が18禁ゲームよりも、別のweb小説であるのは感じ取れる。

類似した作品は「マジカル★エクスプローラー」があげられる。なお、この作品は18禁ゲームを舞台としながらアニメ化企画進行中とのこと(そもそも、アニメ化企画進行中とは…)。

それでこの作品のweb原作冒頭を読めば分かるが、18禁ゲームは何でもありの舞台装置であると説明するところから始まっている。

マジカル★エクスプローラー エロゲの友人キャラに転生したけど、ゲーム知識使って自由に生きる 1 プロローグ

フィクションにおいて「大きなウソをひとつだけ」と先に語ったが、逆に言えばそれは以外は現実にすべきという話になる。
しかし、「マジカル★エクスプローラー」においては、初手からその言い訳から始まっている。18禁ゲームはウソしかないフィクションとして。

ホラーにおいても田舎を舞台にする理由とは現実を描くことからの逃避ではなのではないか?
誰も知らない世界なら、ウソを多くつける。現実と比べる材料が少ないから。

それにweb小説においてアプリゲームに転生する話というのはあまり聞いたことがない。MMORPGだと嫌というほど聞く話なのだが。
つまり、これも同様な話では無いのだろうか。アプリゲームは近年、身近なコンテンツだけに、ウソは付きにくい。

田舎にしても、悪役令嬢モノにしても、18禁ゲームにしても、これらを舞台にするのは全てウソであっても、ウソと感じにくいからではないか。更には今では誰も知らないMMORPGもそうだろう。

しかし、「マジカル★エクスプローラー」18禁ゲームを舞台としながらアニメ化企画進行中である。そして、今放送しているのが美少女ゲーム業界の人間が多く関わり、当時を空気感を描いている『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』である。

製作サイドとはいえ18禁ゲームの事実に近いエピソードが語られている中で、ウソだらけの18禁ゲームを舞台にする意味とは何なのであろう。しかも、これらの作品らはKADOKAWA系列であるのに。

これは単に界隈の差ではあるだろうが、しかし、こういった相反する作品を同じ会社から出していることは広く売ることの阻害というか、想定してないのだろう。

実際、ありもしない18禁ゲームを舞台にされても何が楽しいのか分からない。それがweb小説という好き者同士の世界であれば問題はない。しかし、商業展開として広く知ってもらうとなると、まず理解されない。

ただ、仲間内だけの楽しみであれば、乙女ゲーを原型にしていたはずだが、ジャンルが確立して原型が形骸化するのも私は否定しない。あくまで仲間内、楽屋落ちで商業展開するなと言うことである。
それが今の商業コンテンツの流れだと思う、なんともやるせない。

それに18禁ゲームで全方向から嫌われキャラというと『SchoolDays』の伊藤誠を思っているのかも知れない。確かに嫌われキャラでは、伊藤誠は当てはまっているが、システム面を含めての全方向だと違ってくる。
そういう意味では攻略対象を奪いに来て、更にはスチルの回収するにはそんなイベントを見る必要になる方が意味合いとしては適切な気がする。

この様な考えも2000年以降エロゲーしか知らない人にとっては、それは分からなく無いな。それに「伊藤誠」は18禁ゲーム外でも有名である。

さて、話のまとめとして現時点でのピクシブ百科事典、悪役令嬢ものに的確な言葉が載っていたので、こちらを引用してまとめていきたい。

悪役令嬢ものにのめり込みすぎたことで、半可通な知識で現実の乙女ゲームジャンル全体を批判する、小馬鹿にするなどといった残念なファンも見受けられるが、「自分のジャンルを偏見で批判してほしくない」と言いながら、「他のジャンルは偏見で批判する」などと言う行いは断じて許されるものではない
作者・読者とも、利用させてもらっている側として、元のジャンルには敬意を払うべきであろう。

さっきも語ったが仲間内だけで作られたモノに、とかく言うのも確かに大人げないモノである。ただ、それが商業化、アニメ化もされるような作品に対しては、何も言わない方も問題ではないか。
そして、そのジャンルだけが粗製乱造されて販売されるのは、源流に対する敬意はあるのだろうか?

また、「マジカル★エクスプローラー」にしても、現時点でアニメ化企画進行中とある。途中経過の情報に誰が喜ぶのか?
これに関しては、投資家ではないかと考えてしまう。これはKADOKAWAのIR資料からも読み取れる部分がある。それは現実離れした設定である悪役令嬢モノとて、ここまでアニメ化されては同様ではないだろうか?

後、元のジャンルへの敬意に関して、これだけは語っておきたい。

出典:漫画:緋賀 ゆかり 原作:入栖  マジカル★エクスプローラー エロゲの友人キャラに転生したけど、ゲーム知識使って自由に生きる(1) KADOKAWA

このくだり、web原作からではあるのだが、18禁ゲームを「クリックゲー」と揶揄することはある。テキストを読み飛ばすだけのクリックと。この揶揄自体は別に大きな問題では無い。
問題はその前の文章は戦闘SLGとあることだ。

18禁ゲームでなくともゲームをする人にとっても1行で矛盾している分かることだろう。作者個人でこのミスをするのはまだ許せる。だが、書籍化編集担当など多くの人間を経てコミカライズに至っても、このミスが残ることは作品をどう考えているのかよく分かることである。
これこそ、所謂なろう系だ。

もっとも、こういったガバはweb小説が商業展開する際に多く見受けられる話である。

もはや、ありえない設定を舞台にした作品が多く世に出る問題とは、作り手の話ではなく、何も考えず商業として出している元締めの方とかいいようがない。

(タイトル画像はAI生成によるモノです)

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