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アート・オブ・重機兵少女 ~with AIとのクリエイト

AIによる絵を自動生成はクリエイターにとって、様々な議論はあるだろう。それでも悪用しない範囲で有効活用していくのが正しいといえよう。

そんなわけで、自分のコンテンツにコンセプトアートを描かせてみた。自分自身の脳内のみにしかなかったイメージをAIが絵にしてくれるのは本当に便利である。

『重機兵少女 ホラィ・ト・スフィ』、こちらの作品に出てくる「バカピック」に関しては、小説という事で想像のしやすいように既製のデザインにしている。
それでも絵があるのとないのでは大違いだと思う。それにAI生成の有効性を調べるにも、AIによる自動生成させれば一石二鳥である。

そこで出来上がったイラストと設定を合わせたのが、今回の流れとなります。そして、使用したAIは主に「Stable Diffusion」となります。

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【ゴーレム】

典型的なバカピックの1体。球体の本体に蛇腹で繋がった両手だけと、シンプルな構成。シンプルな構造に反し、半円の怒り目とサメを模した口というユニークな外見を持つ。
だが、戦力としては汎用型の兵器らしく、油断の出来ない存在である。

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このゴーレムに関しては、始めからイメージがハッキリとしていて自分が描いたイラストも存在する。

ただ、シンプルなデザインでありながら、AIに対して、そのビジュアルの方向付けは困難だった。
ロボット、モンスターに対しては「2つの目」というイメージはAIにないというのか、この価値観は日本的なのだろう。人型ロボットの禁忌がAIにも反映というか、ビックデータ的にもないのだろう。

だからこそ、「半円の怒り目」と「サメを模した口」というアプローチを避けるとデザインに反映されやすかった。先のイラストの生成にも「猫の目」と「モンスターの口」と違うワードであった。

【ファハン】

ゴーレムの亜種。その汎用性の高さは、バリエーションの多さにも反映されている。ただ、バカピック特有の顔はなく、単眼のみになっている。
兵器としては移動砲台として後方支援が主になっている。

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先も語った通り、「ロボット」に「目」と指定して、AIから出来上がったモノは完全に自身のイメージと違っていた。だが、これもこれでありだな、と思った一作。また、背景はイメージに合っていた。

ただ、「1本の腕と足、そして一つ目」、このイメージは世界各地で見る事ができる。日本においては、「一本だたら」、ギリシャ神話のヘパイストスなどの鍛冶を司る神に共通している。AIはこの要素を関連付けたのだろうか。

この一つ目のビジュアルから、「ファハン」とスコットランドの妖精の名を付けた。

それに、この作品では想定していなかったが、自分の別作品にこういったデザインは候補にあるキャラであった。
また、単眼のゴーレムは既に出ている要素でもあり、生成したイメージが違っていても、コンセプトアートとしては正解であった。

【ワイバーン】

鳥に似ているが首が長く、本来の名称であるワイバーンと呼ばれる怪物と形状的には一致している。もっとも、『鳥さん』の俗称で呼ばれることが多い。こちらも顔は釣り上がった半円の目で恐ろしい架空の生物より、愛嬌とふざけた姿となっている。

全長は有人戦闘機程度とゴーレムよりも長いが、細い姿とスピードに優れているため攻撃は当てにくい。口からエネルギー弾を撃つことが出来る。ゴーレムとワイバーンは対で戦闘にやってくることがほとんどである。

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ワイバーンは絵としてのイメージがきっちりしているだけに、AI生成は苦労しなかった。ただ、出来上がった絵のデッサンが多少狂っているのはご愛敬だろう。また、空想上のワイバーンは2本足ではあるが、こちらは4本足。まあ、イメージを伝えるだけなら補足を付けておけば、これで十分である。

そもそも、自分が描いたモノのと比べれば、大きく違っていないのだし…
(これも何枚も生成した中で、イメージに近いモノを選択しているとはいえ)

【ファイアードレイク】

巨大戦術兵器として過去には重宝されたが、人類側が戦術兵器を消耗しきった結果、時代遅れになった。まるで太古に絶滅した恐竜のように…

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こちらも、ワイバーン同様、恐竜がモチーフだったため、一発でAIの方向付けが反映された。ただ、自身の中のイメージとは少し違っているけど、巨大さからくる恐怖に関しては一番合っていた。
もっとも、竜脚類と首の長い4本足の恐竜に似ていると作中にも明記しているだけに、これでは首は長くとも怪獣映画の2本足の怪獣になっている。

これもコンセプトアートだから、あくまでイメージの1つ。全体像に関しては別にAI作成したイメージも参照して、実際に絵に起こす機会があれば詰めていけばいい話である。
(商業的な機会では今は影も形も無いが、個人的にはファイアードレイクの映像化はアイデアとしてはあるのだが)

こちらはcraiyonによる生成

【ワニザメ】

名前通りサメに似た姿をしている。名の由来は「イナバの白ウサギ」から。原理は不明だが地中を泳ぎ、その性質上から偵察機とされるバカピック。地中といっても、その姿の一部は地面にも見えている。また、地面に潜っていることに関係して、こちらの攻撃の効きは悪い。

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そもそも、イメージに提示したワード、「シャークマウス」が正しく反映された存在。今まで試してなかったが、「球体サメロボット」なら、AIもゴーレムなどを正しく描いてくれたのかも知れない。

【ゴールドドラゴン】

ドラゴンタイプ。多くの会戦で出現を確認され、そのたび大きなダメージを負っても、次の会戦では大きく改修され姿が変わっていた。ただ、確実な撃破は確認されていないが、現在もなお現れないことから破壊されたと考えられている。
なお、ドラゴンの姿だけでなく、巨大ロボットの姿でも現れたことがある。

   * * *

巨大ロボットのビジュアルはある種、ギャグではあるが、この作中では巨大ロボットと戦闘していたという設定はある。だから、そこまでギャグではない。

絵としては、巨大ロボットと分かりやすい記号だけにAIも一発でイメージ通りに生成してくれた。まあ、オリジナルロボットのコンセプトとしても大雑把ではある。それでも、おおよその方向性が瞬時に生成できるのは、考えようには恐ろしい話である。

with AIへの付き合い方とは

AIによって、絵を自動生成してくれる。これは自分にとって、長らく待ち望んでいた世界である。「ドラえもん」の秘密道具でも似たような道具が度々登場するから、いつかは自分も使えると信じていた。

それが今である。

ただ、AI自動生成で話題になりやすいのが、如何にカワイイ絵を方向付ける話である。これは日本だけの話かもしれないが、それでもAIは日本のカワイイを探求している様だ。

また、AIが賞を取るケースも出ているようだ。

人類はまだAIとの共存を想像できていない。これまでシンギュラリティやなんやとSF作品とはいえ考える時間、議題はあったのにだ。

ちなみに最近ではコンセプトアートをゲームのおまけに出して、著作権的に問題がありそうだと話題になっていた。コンセプトアートと表に出すことがなければ、それは大きな問題ではなかったのに。

結局、人の手でも論理的問題を発生させる。こうなるとAIがどうこうよりも、使う側の問題でしかない。
そんな事を思いつつ、よく分からないデザインをAIに描かせている訳で。

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今回、コンセプトアートで描かれた敵役が出てくるエピソードは『重機兵少女 ホラィ・ト・スフィべすとせれくしょん』はKindle本でも読むことが出来ます。

著者 ツカモト シュン
サブカルコラムニスト、作家等のマルチクリエイター。20年近くネットを見続け、HNタングでも勝手気ままにサブカルチャーを軸としたコラムを書いてきた。「重機兵少女」シリーズの著書がある。

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