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ノベル&マンガアプリ「電撃ノベコミ」はニューノーマルのスタイルとなる? ~新時代のメディア展開

電撃文庫&電撃文庫関連コミックスが読めるノベル&マンガアプリ「電撃ノベコミ」がリリースされたそうです。

ついに一般ラノベレーベルもアプリを出して来たかというのが、印象なこのサービス。他の流れから見ても、当然ではあるが幾つか疑問というのか、個人的には納得できない面もあった。

とりあえず、大きく思った点は二つ。
・LINEノベルを教訓と活かせているのか?
・大手が乗り出した意味があるのか?

・LINEノベルを教訓と活かせているのか?

LINEノベルに関しては、LINEが元電撃文庫編集長の三木一馬、氏の会社であるストレートエッジと提携した小説サービスではあるが、1年しか持たなかった。
極論ではあるが元社員が関与して、通信会社大手であってもダメだったサービスと同じ事をするのはリスクが高いと判断しなかったのだろうか?
(ただ、改めて見てみると独自アプリのLINEノベルは第3期となるらしく、1年でダメだったとの見方も早計であり、今後に対してもまだ展開はあるかも知れない)

・大手が乗り出した意味があるのか?

この手の無料で読めるアプリは確かに大手出版社でもしている。ただ、それらは漫画がメインである。ノベルに関して、電子書籍関連のサービス一環でサブスクなどではやっているにしても、アプリで独自配信といった形は大手ラノベレーベルから出ている印象が無かった。

また、作品的にもLINEノベルの後を引き付く格好になった電子小説サービス『ノベルバ』といったサービスはあるにせよ、大手ではない。
後、最近では権利を持つ作者に掲載を促すサイトが動いている話も聞くが、こちらはどうもあまり表だったやり方ではないから逆に話題となっていた。

そんな中では、ここもやはり大手が打ってでるのも当然だろう。しかし、先のLINEノベルのようにまだ発展途上なサービスで、成功も確実ではない。
そう考えると、わざわざコストもかけて、アプリを出してきたのには腑に落ちない点が多い。

いくら電子書籍が売り上げのウェイトを占めるようになっているとはいえ、この手のアプリはビジネスとしては安パイではない。それだけのリスクを考慮した先行投資と考えれば納得ではあるが。

・それらを解く鍵は

しかし、それらの疑問を解く鍵はアプリの紹介サイトにある作品のイラストから見て取ることが出来ると思った。また、ここに関しても、紹介文でも同じことが読み取れる。なので、そこを引用してみよう。

■電撃文庫の話題作、人気作がここに集結!
『86―エイティシックス―』『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』など今後のメディアミックス作品をはじめ『とある魔術の禁書目録』『ストライク・ザ・ブラッド』『とらドラ!』など電撃文庫を代表する名作、さらには注目の新シリーズも!

上記のタイトルはラノベをよく読む読者だけでなくとも、結構な人が知っているだろう。その理由は簡単。アニメ化されている、また今後アニメ化される作品であるからだ。

つまり、このアプリでメインとしているのは、ラノベからではなく、アニメを見た視聴者を誘導させるサービスではないだろうか。

また、活字が苦手であってもコミカライズ作品も掲載されている。

■電撃文庫のノベルとマンガがどちらも楽しめる!
電撃文庫の小説作品はもちろん、様々なコミック誌で連載されてきた電撃文庫原作のコミカライズ作品やスピンオフコミックなども大量掲載! ノベルでもマンガでも、好きな作品を楽しんじゃおう!

そして、スマホでの合間時間の活用法に対しても、無料でかつ、時間の有効活用が出来る様になっている。
ただ、これはアプリゲームであっても同様なスタイルではあるが。

■毎日無料で電撃文庫が楽しめる!
毎日、午前7時と午後9時に90ポイントずつ回復する「ノベルポイント」「マンガポイント」を使い、アプリ内のノベル&マンガを無料で読める! 合計180ポイントの無料ポイントで電撃文庫&電撃文庫原作コミックスを読もう!

昨今はテレビを前にして、アニメをリアルタイムで見るモノではない。好きな時間、好きな場所、しまいには断続的であっても見る事ができる。そう、ネット配信などによってスタイル自体が変わっているのだ。そして、それは今放送されている作品に限らず、過去の作品であっても同様である。

「電撃ノベコミ」も過去のコンテンツという点は見て取れる。イラストでも紹介文の中でも『ストライク・ザ・ブラッド』が出てきている。
この作品は近年まで刊行され、今のもOVAの展開はあるモノの2011年5月からの作品で、テレビアニメも2013年5月である。
また、『とらドラ!』、『灼眼のシャナ』に関しては過去の作品であるが、今も語られており、アニメをオススメする人も少なくない。

そんな過去のコンテンツ、膨大な作品資産を武器にする点を考えれば、昨今ともマッチしている。そして、ライトノベルという小説が読めるではなく、アニメ化作品の原作、コミカライズが読めるという方が、このアプリにとっては重要なのではないだろうか。

過去の作品は本屋でもなかなか入手しがたい面もある。そうでなくとも本屋自体が今となっては貴重であり、過去の作品まで置く余裕などほとんどの所でないだろう。
それがアプリ一つで簡単にいつでも、どこでも読むことが出来、無料であれば今の時代とも需要を満たしている。

そう考えるとライトノベル全体の作品が読めるサービスではなく、1ラノベレーベルから出して来たことにも意味がある。

過去に2020年のラノベの状況から「紙媒体の終焉か?」と語っていたが、この時の私自身、証拠が少なく半信半疑の部分もあった。ただ、電子書籍の流れなどは絶対的で無視は出来ないから、証拠は薄くとも、語るだけの根拠は持っていた。

だが、この「電撃ノベコミ」の登場によって、「紙媒体の終焉」は加速していくだろう。単一サービスで動かすのではなく、複合サービスで展開させているからだ。

これはAmazonなどでも行われているように、単なる通販サイトから、音楽、動画だけでなく更には多くの複合的なサービスを提供することで顧客を囲い込んでいる。

「電撃ノベコミ」はあくまで複合サービスの一つにすぎない。単一サービスとしては弱いから、この考えは間違いないだろう。そうなると顧客を他のメディア作品に触れさせて囲い込む、新たなメディア展開なのではないだろうか。
そうなると使う側もこれを新たなメディア展開と認識しないといけないのかもしれない。

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ツカモト シュン
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