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人類みな兄弟!

ひとりっ子なのに兄がいる、最近弟も出来た、すべてが自称。みんな自称。面倒見のいい兄みたいなのは昔の同僚、いまは出世してひとつお店を構える店主だけど、ひとつ年上なだけだし、でも年上だから兄(と慕う)

兄のお店はかつてわたしが働いていた病院のちかく。わたしはレストラン業なのに、なぜか医療に憧れて病院で働きたかった(まぁ慣れない過酷さにすぐ挫折したけど)

病院の仕事は8:00〜16:30
兄のお店の賄いは16:00まさにちょうどいい。大食漢なわたしはお昼ごはんを12:00に食べてしまうと16:30には帰りの電車にのるのも危ぶまれるほど腹が減る。

仕事がおわり携帯をひらくと「ごはんたべるか?」のメールが届いている。病院はね、飲食店と違って携帯は見ていられないんだよ?といつも思うけど、返事をしてお店にいく。ラップしてくれてあるんだー。
「今日はいいや」っていうかもしれない私の分を。

白衣の天使が着替えて私服の悪魔になり、お店に着くのは16:45だいたい遅くにご飯を食べる少食の自称兄は食べかけのお肉を、がっつくわたしのお皿に足してくれる。

お腹いっぱいになると、お店の裏の倉庫で寝てしまう。
だいたいこんな毎日だった。身も心もヘトヘトで、人を救うはずの病院に殺されるかと思った。医療崩壊の危機。

3時間くらい青天井で寝ていると、さすがにお店も落ち着いて「送ってってやろーか」となる。待ってましたー!
まぁ、車で来てるのも稀だし、稀だから余計うれしい。
こんなに面倒見のいい自称兄だ、根はわたしと張るくらい悪魔なのに笑

そんなこんなで無事に病院退職!笑
賄いがひとり減った兄のお店は毎日繁盛していた。悪魔が来なくなったから。悪魔もお客になったから。そしてそのお店で働く若手が名乗り出た。

オーナーがお兄さんなら僕は弟ですね!

地獄を見ることをわかっていない若僧めが。
もう賄いを食べに行かなくなったわたしは、お客さんでかよった。ただ、寄るだけの日もあった。たのまれものを買っていく日もあった。ワインを飲むだけの日もあった。

そして仕事がお昼で終わったわたしがある日寄ったら
本来4人いるはずのスタッフが2人だった。兄と弟だけ。
「へ?どしたの?」となる。今日は若手2人で頑張るんだ!とか。あとのスタッフはお休みだそうで。
36歳と43歳で若手を名乗ってやがる。

そこそこ、だけどサクッと帰るお客さんもひき、3人になってから私たちはよく飲んだ。
お酒の強くない私ですら残ったグラス売り用の赤ワインを飲み干した。

「あか持ってこーい!」

赤ワインしか飲めないから。なきゃないでいいくらい下戸。兄と弟はビール樽が空きそうなくらい飲んだ。しょーもない話をたくさんして笑い転げて、昔話に花が咲くどころじゃない、満開。冷凍庫からアイスを引っ張り出して
それぞれに飲みながら、それぞれに携帯をいじって、勝手なことを言っては笑う。

おまえの「いいね!」すっくねー!

Instagramを開いて、いいね!の数を比較しようとしたわけではない。
いいね!が少ないのが悪いと言ってるのでもない。
ただ、声を出して笑いたかったんだ、くそーっ!

でも良くみると兄のInstagramはいいね!が多い。
フォロワーは私の半分くらいなのに、いいね!は倍。
そういうことだな、とポンポンされながら笑われる。

この間あげたのはブルーインパルス。ただきれいだった。ただ、空がきれいで飛行機がかっこよかった。きれいな写真が撮れた、のを載せた。
なかなかの批判のメールももらった笑。
かつての戦闘機だよ?政治家の戦略だよ?といわれた。
そういう考えにしろとは言わないけどそれが現実、という括りのメールだった。どーでもいーわ笑。
ブルーインパルスを最初に指導して指揮したのは、その戦闘機に乗っていたご老人であるのを知らないのかもしれない。当事者たちが、二度と起こしてはならない戦争のために、平和の象徴としてこれを指揮したのかもしれない。

どーでもよくないけど、どっちでもいい。

そんなメールをもらった話をしながら、深酒は進む。
とにかく空がきれいで飛行機がかっこよかったのだ。
ブルーインパルス好き?と聞いたら
「よーわからん。おまえがあげてたからいいね!しただけや」

まぁそーだよねー。私もよく読まずにあげてる人をみていいね!だけする。

「おまえの場合、それすら少ない!笑」

と笑われながら、あなたはすごい人だよ、と思う。
私があげてるからしてくれる人、してくれない人。がいたとして、兄の場合はそれはまずない、と言い切れる。
すげーなー。敵も多いけど味方がすこぶる多い。うらやましいなぁ、こんな人になりたいなぁ。とおもった。

そして2人の会話をニコニコしながら聞いている弟分。
君はほんとにいい子だよ。こんな悪魔たちの弟分にはもったいない。やっと声を上げたとおもったらNetflixひらいて「このドラマ感動するからみてください!」

君はなにを聞いていたんだ。

そして楽しい夜はおわる。
弟「今度いつ賄い食べにきます?」
兄「なんで賄いや!」
弟「賄いだとおいしいおいしい言ってくれるし」
兄「おまえ今日も野菜しか旨いって言わなかったもんな」
私「え?そうだっけ?」
弟「そうですよ」

料理人をめざしている弟分をちゃんと育てるように兄は日々がんばっている。台無しにしてしまった…とは思っていない。伸びしろしかない弟分にはさらに頑張ってもらおう。という私の願いが込められている(懺悔)ごめーん!

まったく、今日は俺とコイツ(弟分)で終わってからお店の今後について話そうと思ってたんだよ!
と、帰る頃になって言い出す兄。しったこっちゃない。

「言ってくれたらよかったのに〜」
「そう言ったら帰ったんか?笑」
「帰ったに決まってる!」帰らなかったから言える。

本当に愉快で愛すべきふたり。
わたしはあんたたちが大好きだよーと実感して終わる長い夜。お店の今後の話は追々。
でもまたこんなシフトの日があったら長居するけどね。

翌日になって「いやー昨日はいい酒だったな」とメールをくれる兄は久しぶりにほんとに楽しかったんだろと思う。
し、そういうところがこの人にファンをつけさせるんだろか、と翌日にまた思い知らされる。
声を大にして言えることは、わたしは本当にまわりにいてくれる人たちに恵まれ過ぎている。
バチが当たるのではないかとビクビクもするけれど、バチが当たっても悔いはないくらい楽しい人たちに囲まれて過ごしている。

長い付き合いになるなぁ、人はなにより大切にしなさい。
と言っていた父の言葉が浮かぶ。
次のお題は決まってなかったけれど、コレにしよ。
父の名言集、色々思い出させてくれるわ、このふたりは。

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