LW05『パステルカラー パスカラカラー』の歌詞に関する覚書: カタカナ表記の外来語を中心に
はじめに
※少しだけタイトルを変えました
『ラブ・ボナペティート』に心を掴まれてしまいました。個人的にアルストロメリアでは『Love Addiction』が今までで一番好きだったのですが、また違った方向性で良いなと思わせてくれる1曲でした。
という書き出しではありますが、今日は表題曲『パステルカラー パスカラカラー』の歌詞について書きます。軽く調べてメモ気分で残しておこうというくらいの記事です。本曲もまた、歌詞にアルストロメリアらしい哲学的世界が広がっていて深淵ながら、ポップな曲調と可愛らしい3人の歌声で素晴らしい1曲になっていると思います。ただ、いつにも増してカタカナが多い。やはりシャニマスのプレーヤーは高度な知識を求められるということですね。そこで、分かる範囲で調べてここに書いておこうと思います。ラテン語は好きなのでちょっと調べてみようか、という感じの気分です。
なお、合っている保証はありません。大方ラテン語とイタリア語 (?) と英語だと思いますが、私はロマンス語はそこそこしか分からないので、もし読んでくださる方がいらっしゃったら、自分でも辞書を引いたりしてみてください。間違っているところがあったら、伝えてください。
カタカナ表記の歌詞と意味
以下、それっぽいスペリングで書き換えて意味を書いていきます。ラテン語の表記は、忘れていない限り長音にはマクロン (母音の上の横棒) をつけます。ちなみに、ラテン語の母音は現代日本語と同じで5つ×長短2種類で計10種類です。格は主格・対格・属格・与格・奪格の5つあります。色々書いていますが、まあ気にしないでください。
ラテン語辞書は以下を使いました。https://www.online-latin-dictionary.com/
イタリア語辞書は以下を使いました。https://www.collinsdictionary.com/dictionary/italian-english/
パステルカラー パスカラカラー
pastel color ?? color
前半は英語で良いでしょう。後半の「パスカラ」って何でしょう?軽く調べた感じ、アルストロメリアの花の品種?ただ、ローマ字表記が分かりません。。紫の花っぽかったので、ジャケット絵の花でしょうか。イマイチ分かりませんでした。
インフィオレ
in fiore
イタリア語でしょうか。fiore「花」ですが、「開花している」くらいの意味だと思います。
infiorare「花で飾る」という動詞の活用形かもしれないとも考えたのですが、*infioreという形は見つからなかったので、上の読み方のほうがいいのかなと思います。なお、ラテン語で「花」はflōs (対格形: flōrem) です。なのでおそらくラテン語ではありません。
意味: 「開花している」
ミヒ トゥアレ デイディエインディエム
mihi tuare dē (?) diē in diem
mihi「私に」代名詞・1人称単数・与格
tuare < tuor「見守る、守る」2人称単数・接続法現在
dē diē in diem「日々」
※dē「...から」前置詞, diē < diēs「日」単数・奪格
in+対格「....へ」, diem < diēs 単数・対格
「デイ」と書いていますが、deiだとイタリア語になります。しかし、どうしても他の部分がラテン語ではないかと思われるため、長母音を示すとして処理しました。dē diē in diem は定形表現ですね。tuare の目的語は与格でいいのでしょうか...?接続法は願望 (optative) の意味で訳します (cf. 中山, 2007: 94)。やっぱり対格じゃないのが気になります。。
意味: 「日々私を見守ってくださいますよう」(自信はあんまりないです)
ウェーリタース リーベラービト ウォース
vēritās līberābit vōs
vēritās「真実」主格・単数
līberābit < līberō「自由にする」3人称単数・直説法未来
vōs「あなたがたを」代名詞・2人称複数・与格/対格
有名なことばみたいですね。聖書からの引用のようです。目的語は動詞に先行するのがラテン語では一般的だったと記憶していますが、『ウルガータ』では語順が変わりつつあったということでしょうか?それとも後代のラテン語非母語話者が自分の母語の語順で訳したのでしょうか?興味深いですね。なお、適当なことを言っている可能性は高いです。以下はそのフレーズについて書かれたウィキペディアの記事です。
聖書の文脈を調べる体力が残っていないので、訳だけ書いておきます。上のページを見れば分かるかも。
意味: 「真実はあなたがたを自由にするでしょう」
デカルト
Descartes
哲学者。デカルトに命令してるアイドルなんてアルストロメリアくらいでは?
エピグラム
epigram
「結末にひねりを利かせるか、簡潔でウィットのある主張を伴う短い詩」だそうです。出典は以下。なお、ギリシア語 ἐπίγραμμα「碑文」 から来ているともあります。ἐπί-「上に」, γραμμα「書かれたもの、文字」ですが、「石の上に書かれた文字」ということでしょうか。
スーベラアイデンス
subrīdens (?)
全くわからなかったので、カタカナをそのまま入れたら以下のページがヒットしました。そこからスペルをそのまま取ってきました。
subrīdens をそのまま発音すれば「スブリーデーンス」となるので、これはまあおそらく英語発音を採用しているということでしょうかね。でも、英語だとしても「サブライデンス」となりそう。正直この発音は考えにくいです。あと、出典が1つなのも少し気がかりですが、、ひとまずこれで取っておくことにします。
subrīdens < subrīdeō「微笑む」現在分詞, 男性/女性・単数・主格
意味: 「微笑んで」
ベルマーレ
bellmare (?)
bell「美しい」, mare「海」ですかね。複合語?辞書で出てこなかったのが気がかりですが、とりあえずこれで。Lの数は合っているか分からないのでご愛顧で。
bel male (maleは「悪く」) かと最初は思いましたが、さすがに意味が通らないので、これよりは良いでしょう。
「海」は青色ですが、何か関係ありそうですね。
意味: 「美しい海」
ウェーレ アク リーベレー ロクェレ
vērē ac līberē loquere
vērē「正しく、本当に」副詞
ac「そして」接続詞
līberē「自由に」副詞
loquere < loquor「話す」2人称単数・命令法現在
loquor は英語のeloquentとかにも含まれていますね。この一節も有名な格言っぽいのですが、どこからきたのか調べる気力が失われたので、また今度調べます (ほんとに?)
意味: 「正しく自由に語れ」
アド イグノースカス
ad ignōscas
ad「...へ」前置詞
ignōscas < ignōscō「許す」2人称単数・接続法現在
adがよく分かりませんでした。後ろが名詞かと最初は思いましたが、名詞なら「イグノースカース」というカタカナにならないといけないんですよね。そして、ignōscusとかignōscaとかの単語は少なくとも使用辞書ではヒットしませんでした。後ろのaが短母音なら、ignōscō の活用形として使えます。前置詞が前綴りとしてくっついて、動詞に意味を加えることはままあるので、(辞書にないとしても) ここはそんな感じだと取っておきます。カタカナが分かち書きされているのが少し気がかりですが。そういえば「インフィオレ」は分かち書きされていませんでしたね。。
というわけで、前綴り+動詞と見ておきます。接続法は上と同じく願望の意味で訳します。
意味: 「許してくださいますよう」
もしかしたら何か見落としていたり、カタカナ表記での判断が怪しい可能性もあるので、前置詞+名詞の場合で可能性が高い訳も書いておきます。その場合、多分「許し」という意味でしょう。また考えてみます。
意味2: 「許しへ」
まとめ
何となく意味が分かるところが増えた気がします。"Vere ac libere loquere" と滑らかに歌い上げたあとに「語るように魔法をかけてあげるからね」と歌うのはすごく綺麗だと個人的には感じました。ラテン語を詠唱するのが、呪文のように聞こえますよね。あと、「語るように」は loquere の意味を踏襲しているのでしょうね。長母音は割と正確にカタカナで表してくれているところが多く、さすがシャニマスだなと思いました。
carpe diem のようなフレーズはすでに『Bloomy!』で使われていて、今回もラテン語が盛り込まれており、アルストロメリアはラテン語と相性が良いのかもしれません。個人的にラテン語は好きなので嬉しい限りです。そういえば、"alstroemeria" も学名なので、ユニット名からしてラテン語といえばラテン語ですね。
見てくださった方がいらっしゃったら、ありがとうございます。重ね重ねになりますが、間違っている可能性も分からないところも結構あるので、ぜひ自分でも調べてみてほしいです。
それでは、良きシャニマスライフを。
参考文献
中山恒夫 (2007) 『古典ラテン語文典』東京: 白水社
ラテン語辞書:
https://www.online-latin-dictionary.com/
イタリア語辞書:
https://www.collinsdictionary.com/dictionary/italian-english/
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